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『「gっはは!おべおもしれ!たこじゃね、たこ!」』


「うぁだば、じじゃ酒ざぁづってぐいんぐいんだぁばmouどばんでだだでぁ」


久しぶりに訊く曾祖母の方言が懐かしい。


「だぁづてあいけどnn、それだんばたのしみでぇや」


両親も祖父母も使わないこの土地の言葉、幼いころの耳に残っているから、僕はかろうじて聞き取れる。


「往生でねぇの」


盆でも正月でもないこの季節に、僕はなぜだか故郷に帰りたくなって。ひとり列車を乗り継いで、曾祖母のもとへ。

亡くなって何年も経つ曽祖父が大酒飲みだった話、これはもうなんども聞いているのだけど。


「だっでじじゃあ酒てば、たこ焼酎よたこ!」


たこ?これは初めて聞く。逸話もそうだけど、たこの焼酎なんてものが存在したっけ?

耳の遠い曾祖母に、たこというのはあの海を泳ぐ八本足のやつのこと?って苦労して問いかけたら。


「gっはは!おべおもしれ!たこじゃね、たこ!」


そんなやりとりをなんどか続けたけど、なんど訊いても「たこ」と聞こえる。でもあのたこじゃない。気になって仕方がない。


「どうで戸棚aaにあんべざ」


現物があるというから、僕は曾祖母のいうとおりの場所にあった一升瓶を取り出す。ラベルをみてようやく理解した僕。


あぁ竹か。

たこ、蛸じゃなくて、たけ、竹。

竹で作った焼酎ね、竹ね。


って竹ぇぇぇぇ?


曾祖母に飲んでいいかと問う前に「呑べy」というので遠慮なくもらうことにした。どうせ曾祖母は飲まないだろうし。


コップに少しだけ注いで…くいっと…


たしかに、竹の味がした。


ひいじいちゃん、これが好きだったのかよw


別にいいけど。


















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