妊活日記―幸せなのに「ごめん」が聞こえる…
2023/1/16(月)夫婦の妊活日記⑬
私は若い頃からあまり愛想が良くない。
一人で歩いてるだけで「機嫌悪い?ごめん!」と謎に謝られるタイプの顔つきと表情なのだと思う。
だけど大人になって、自分のこういった特性にも気付き、気を付けるようになって…そんな風に言われることも少なくなっていたのに。
また私は、どうやら必死に生きているだけで謝らせてしまう状態になったようだ。
今日の文章は、そんな自分に気付いた日のお話。
私には短大の頃からの友達がいて…あの頃には想像もできなかったけれど、私以外皆「お母さん」になっている。
どの子も、私にとっては「我が子ちゃうかな?」ぐらいに可愛い子たちで、成長が楽しみで仕方のない姫と王子達。
この友人たちとは、結婚などで少しずつ住む場所は離れたりしているものの、「一年に一回せめて会いたい」と子ども付きでデートをしている。
4年前のある日のこと、友人Kから「そろそろデートしたい♡」と誘いがありショッピングモールでデートすることになった。
子どもが二人いる彼女はベビーカーを押してやってきた。
まずはフードコートでお昼ご飯を食べて、キッズコーナーで子どもを遊ばせながらおしゃべりをして…互いに生活環境や愚痴の内容は変化しても、互いに「相変わらずやなぁ」なんて安心しては笑いあって…お互いを心配しあって、尊敬しあって、嬉しい笑いジワを増やした。
何だか若いころに戻ったような幸せな感覚をあじわっては、
「やっぱりたまに会ってエネルギー貯めないとあかんな」
と言い合った。
一緒にいる間、特に何かを感じたわけではなかった。
…多分第六感というやつ。
別れる時間になって、K親子をエレベーターで見送るときのKの顔を見て、反射的に聞いてしまった。
「子どもできた?」
彼女は、それまでの10年以上の付き合いでは見たこともない表情で目をそらして一言
「うん、ごめん」
どこか泣きそうな、叱られた子どものような顔だった。
ただただショックだった。
身体が動かないようなボー然とする感覚。
彼女に子どもができたからではない。
とっさに彼女が謝ったから。
長い時間一緒にいたのに、それまで言ってもらえなかったから。
私には嬉しい彼女の妊娠が、彼女にとって私にはうしろめたさなのか…そう思うと申し訳なくて仕方なかった。
「子どもがいなくて悩んでいる」というだけで気を使わせてしまう人がいるということを痛感した瞬間だった。
「妊活に悩む女性は、他者の妊娠を喜べない」…そんな話は確かに良く聞くけれど、Kちゃんは私も同様に自分の妊娠を悲しむと思っていたのだと思うと、悲しくて申し訳なくて…「妊娠できない」という事実を友達に対して申し訳ない思いになった初めての出来事だった。
でもその時に感じたもう一つの本音。
「私、友達の妊娠、ちゃんとめちゃくちゃ嬉しいやん!」
ということ。
自分の本音に、心底ホッとした。
Kちゃん親子と別れた後、謝られたことにショックを受けながらも、今度の子の名前は何かな?お祝い何にしようかな?なんて浮かれていられる自分に安心する。
大丈夫、私はまだ大丈夫…そんな風に。
その日の夜、夫に少し話をしながらこっそり泣いて、思いを昇華した。
私たちは妊娠できないというだけで謝られる存在に、いつの間にかなってしまったのだ。
何か気を付けるべきことがあるのだろうか…そんなことを考えて眠りについた、嬉しくて悲しい夜のことだった。
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