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マカ・ママレードの2023年に見た映画

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マカ・ママレードが2023年に見た旧作・新作、色々な映画の感想のまとめです。
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記事一覧

ミステリーの醍醐味とは〜映画『ナイル殺人事件』感想(ネタバレあり)〜

(以下、映画『ナイル殺人事件』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)

『ナイル殺人事件』を見た。ケネス・ブラナーが監督・主演を務めている。
ケネス・ブラナーがポアロを演じる作品としては、『オリエント急行殺人事件』に続く二作目だ。
ちなみに筆者は原作は未読で、この作品以外の『ナイル殺人事件』の映像化作品も未見である(岩が落ちてくるという情報はなんとなく耳にしてい

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荒唐無稽なボンドの極限〜『007/ムーンレイカー』感想(ネタバレあり)〜

(以下、映画『007/ムーンレイカー』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)

『007/ムーンレイカー』を見た。
007がクライマックスで宇宙に飛び出すという、荒唐無稽なボンド活劇ここに極まれりという作品だ。
森の中で走る女性を犬が追いかける恐ろしくも美しいシーンや、ベニスの美しい街並みを背景にしたヨットでの攻防戦、ロープウェーでの格闘など見せ場が多いが、何と

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なんでもありのボンド~映画『007/黄金銃を持つ男』感想(ネタバレなし)~

『007/黄金銃を持つ男』を見た。
初見時は、これも確か小学生の時で、テレビで放映されたのを録画したんだったと思う。
差別的な描写やゆるいストーリー展開などは相変わらずで、この時代のボンド映画はそういうものなのだと割り切って(そういう描写を許してしまうということではなく)見るしかない。
何が魅力なのかよく分からない美意識の発露である「黄金の銃」というのも、そのよく分からないところが面白い。
先程ゆ

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楽しい分、少し寂しい気分『007/美しき獲物たち』

(以下、映画『007/美しき獲物たち』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレはありません。ただし、映画に関する情報を出来るだけ入れないで鑑賞したいという方はご注意ください。)

『007/美しき獲物たち』を見た。

この頃のボンドを見ていると毎回思うが、当時の冷戦の緊張感を作品に上手く活かしつつ、決してソ連を完全な悪役にしない構図にしているのは抜かりないなと思う。
アクションに関しては、ロジ

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この時点での007決定版~映画『007/私を愛したスパイ』感想(ネタバレなし)~

(以下、映画『007/私を愛したスパイ』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレはありません。ただし、映画に関する情報を出来るだけ入れないで鑑賞したいという方はご注意ください。)

『007/私を愛したスパイ』を見た。
これも小学生の時、テレビ放映されたものを見たのが初見だったと思う。

ソ連のスパイとボンドのバディものとして楽しめる。
水陸両用の自動車など、シリーズでおなじみのワクワクする秘

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ロジャー・ムーアらしいボンド~映画『007/オクトパシー』感想(ネタバレなし)~

(以下、映画『007/オクトパシー』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレはありません。ただし、映画に関する情報を出来るだけ入れないで鑑賞したいという方はご注意ください。)

『007/オクトパシー』を見た。

007は「ファベルジュの卵」の秘密を追い、インドへ向かう。同じく「ファベルジュの卵」を狙うカマルと死闘を繰り広げるが、オクトパシーという名の女性が現れる。

アバンタイトルの最後のセ

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初めての方はテレビシリーズから見ることをおすすめします~映画 『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』感想~

(以下、映画『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)

映画 『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』を配信で見た。
総集編だということは、配信サービスの今作の紹介ページや既に見た人の話で知っていたので、特にがっかりということもなかった。
テレビシリーズのエンディング直後からの続きの物語を見ることができて、個人的にモヤモヤしていた部

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今までのボンドアクションベスト盤~『007/ユア・アイズ・オンリー』感想~

(以下、映画『007/ユア・アイズ・オンリー』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)

『007/ユア・アイズ・オンリー』を見た。

高所でのアクション、カーチェイス、ウインタースポーツを駆使した雪上での追いかけっこ、水中での肉弾戦と今までの007シリーズに出てきたアクションシーンの名場面がこれでもかと詰め込まれたような作品になっている。しかも、それぞれのアクシ

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ボンド「らしさ」の始まり ~『007/ゴールドフィンガー』

『007/ゴールドフィンガー』を見た。たしか小学生か中学生くらいの時に一度テレビで見た記憶がある。

誇大妄想を持つ敵、ボンドの愛車アストンマーチン、秘密道具を駆使したスケールの大きいアクションの数々など、007の映画と聞いて思い浮かべるもの、007の映画に求めるものが、シリーズ3作目の本作において一気に花開いた感がある。
敵が遂行しようとする作戦などは、「そうはならないのでは?」と思ってしまうよ

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「昔の映画だから」と侮れない迫力~『女王陛下の007』感想(ネタバレあり)~

(以下、映画『女王陛下の007』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)

『女王陛下の007』を見た。
小学生か中学生の時にテレビで鑑賞したのが初見で、正直ラストシーンしか記憶に残っていなかった(しかしその記憶も今回見直してみたら結構違っていた)。
見直してみて、アクションシーンの迫力に驚いた。
007シリーズを一作目から順番に見直しているが、今作以前のボンドは

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いつかどこかで、ありえたかもしれない日本~『007は二度死ぬ』感想~

(以下、映画『007は二度死ぬ』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレはありません。ただし、映画に関する情報を出来るだけ入れないで鑑賞したいという方はご注意ください。)

『007は二度死ぬ』を見た。
たしか小学生か中学生の時に、DVDで見たのが初見だったと思う。
脚本が『チャーリーとチョコレート工場』などで有名な作家のロアルド・ダールである。

日本ロケを敢行しており、当時の日本の様子をう

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荒唐無稽とシリアスの融合~『007/サンダーボール作戦』

『007/サンダーボール作戦』を見た。小学生くらいの時に、テレビ放映を一回見た記憶がある。

アバンタイトルが、スパイアクションものとして大変面白い。
本編も、水中アクションに特化した作りが興味深く、見せ場に事欠かない。
合成を駆使した、今見るとレトロな雰囲気も味わい深い『ロシアより愛をこめて』などのアクションもいいが、今作の「本当に水中で撮影したアクション」も、迫力があって見応えがある。
ケレン

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仕事ができる気になる映画~映画『AIR/エア』感想(ネタバレあり)~

(以下、映画『AIR/エア』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)

『AIR/エア』を見た。配信で字幕版である。
基本的に会議をしたり、商談をしたり、電話をかけたりするだけの映画なのだが、非情にテンポよく物語がまとめられていて、飽きずに見ることができる。特にクライマックスのマイケル・ジョーダンとナイキの交渉のシーンでは、新聞記事などのモンタージュを巧みに入れる

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ゆったりとしたボンド~『007/ロシアより愛をこめて』感想~

『007/ロシアより愛をこめて』を見た。小学生の時に、テレビ放映されたものを録画して見た記憶があるが、内容に関してはほとんど覚えていなかった。

最近は、ダニエル・クレイグ版のボンドに慣れ親しんだせいか、ショーン・コネリー版の少しほのぼのとした雰囲気に最初違和感があったが、鑑賞するうちにそのレトロな雰囲気が良いと思えてきた。女性キャラクターの扱いがひどいという印象もうけたが、これはボンドが人でなし

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