俳句連作「答合せ」
答合せ
五月闇母の着物の幾重にも
ハンガーの競り合ふ音や月涼し
草原にしろき犬立つ夏が立つ
無職なりぢつと見てゐる蝸牛
麦笛をたどりて夢の庭へ出る
絵筆より光染みゆく白夜かな
覚えつつ歌ふ童謡山滴る
鹿の子のまなざし我を透きとほる
触れらるるまま触るるなり梅仕事
青嵐むかし泣かせた子の家に
籠あかるく新玉葱の行脚かな
夏至の日の国道線のみな滲む
蛍狩手をやはらかき檻として
何人(なんぴと)も他人のごとき夜釣かな
蝙蝠の数より多き気配なり
暁光やわづかに動く睡蓮花
むつむつとつつく水羊羹の父
蚕豆を答合せのやうに剥く
振り返り振り返りゆく祭かな
海霧やガードレールのふと消ゆる
2023.7
カクヨム掲載作品を投稿しようチャレンジです。
このとき俳句を詠んだのがおそらく4年ぶりくらい。いま見返すと、詩情と言葉が追いついていない感じがあって、ちょっと恥ずかしい気もする。
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