マシーナリーとも子EX

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マシーナリーとも子EX ~市ヶ谷のタコ捌き篇~

「なんで? こういうことが起きるの?」

 防衛省長官、安藤は鼻水が垂れているのも構わず窓に張り付き続けた。市ヶ谷の大きな堀に、突然ビルほどの高さもあるタコが出現し、街を破壊し始めたのだ。安藤は即座に緊急出撃命令を陸上自衛隊と航空自衛隊に発令した。したが、した後で「改めてこれは何?」と呆然とせざるを得なかった。なんでタコが? あんなに大きく? しかも市ヶ谷に?

「長官…。落ち着いてください。ご対

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マシーナリーとも子ALPHA ~寄る市ヶ谷篇~

 支度を整えたターンテーブル水縁とパワーボンバー土屋は駅から地下鉄に乗った。目的地は豊洲。なぜか「辿り着けない」地となった市場についてその目で確かめるためだ。

「えっへっへ」
「楽しそうだねえパワーボンバー」

 スキップしながら改札を通る土屋に水縁が声をかけた。

「私こういうお仕事って初めてなんですよねぇ〜。前にいた奈良支部は防衛と整備ばっかりだったし。池袋に来れたと思ったら仕事する前に壊さ

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マシーナリーとも子EX ~発つ土屋篇~

「わひゃ!」

 エレベーターの中で後ろからツンツンとガンランチャーをつつかれダークフォース前澤は声をあげた。上野から来た客ロボ……ターンテーブル水縁がニヤニヤしながらランチャーをいじっていたのだ。

「だいぶ馴染んできたみたいだねえダークフォース。買った時ほど重く感じないだろ?」
「は、はあまあ確かに…。最近は空中でも撃てるようになってきました」
「慣れてきたらスタビライザーは切り詰めてみてもい

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マシーナリーとも子EX ~迫る水棲篇~

 涼しい部屋だった。
 地下に作られたその部屋は四方の壁を敷き詰めた岩で作り、出入り口は地上階からの螺旋階段を通すための穴ひとつだった。エアコンも据え付けられていない。だが不思議なことにその部屋は常に気持ちのいい風の流れが感じられ、湿気もなくカラッとしている。
 奥にある本棚に囲まれた机に、男が座っている。おそらく……男だ。体躯は問題なくヒューマノイドの典型的なバランスだった。2本の脚で立ち、腕と

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マシーナリーとも子EX ~作家・西山知之への取材篇~

 なんでも好きなもの頼んでいいのかい? 本当? ギャラから引いたりしないだろうね。
 あっそ。じゃあ遠慮なく頼んじゃおうかな。お姉さーん! スペシャルパフェひとつね。
 ん? なんだよ。俺みたいな中年がパフェ頼んじゃまずいかい? あのさ、言いたいことはわかるよ。でも人の金でさ、こういう喫茶店で頼めるんならさ、いちばんトクって感じだろ。俺もさ,たまに来るよ喫茶店。で、食べ物食べる時だってあるさ。でも

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マシーナリーとも子EX 〜森林のASMR篇〜

「ヘイ……こいつはすごいな」

 いま倒したばかりの鹿の頭を優しくトムが撫でた。その様子を相棒のブラウンがしっかりとカメラに収める。

「トム、今のは音声なしの方が雰囲気があると思う。もうワンテイクだ」
「オーケー、すまない。久々に大物だったからついな」

 言われてトムは数歩下がり、今度は沈黙したまま鹿の頭を撫でた。尺は余裕を持ってねっとりと……カメラに収める。

「オーケーだ! ここで一度カッ

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マシーナリーとも子EX 〜山に響く銃声篇〜

「ぐおおおーーーつ!!!」

 山中にワニツバメの叫び声が響いた。腕から巨大なワニを生やした少女がくるくると回転しながら着地する。その息はぜいぜいと荒い。腕から伸びるワニも同様に憔悴しきっているようだ。その姿を見て轟音とともに歩み出てくる者がある。腕から2基のチェーンソーユニットを生やしたシンギュラリティ最強のサイボーグ、ネットリテラシーたか子だ!」

「うむ……午前中はここまで」
「はぁぁ〜〜〜

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マシーナリーとも子EX 〜イタコとの死闘篇〜

(グガッ……!)

 再度象のような衝撃がトルーを襲う! 敵の動きは想像以上に素早い! なによりも普段から相手の思考を読むことで生活をしているトルーにとって、読心が封じられているというのはかなりキツい状況であった。

「ハハ! どうしたい! そんなもんかい!?」

 掌底でトルーを吹き飛ばした敵……日本最強の超人兵士、イタコの霊障(たまあたり)京子が高い笑い声を放つ! トルーは口の中に溜まった血を

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マシーナリーとも子EX 〜恐山の超人兵士篇〜

 トルーの父はバイコヌール宇宙基地に勤めるロケット技術者だった。彼は仕事が忙しくなかなか会うことができなかったが、たまに家にいる日は熱らしく人類が抱く宇宙への夢、それを叶えるためのロケット技術の素晴らしさを熱っぽく語ったものだった。幼い頃より聴覚が異常に発達し、世の中の音すべてを忌み嫌っていたトルーだったが、父親の話を聞くことは好きだった。
 父親はよくトルーに言い聞かせた。宇宙に向かおうとする生

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マシーナリーとも子EX 〜雪原の暗殺者篇〜

 とても静かな雪原だった。
 上司に言われやってきたその土地はウラジオストクから電車を乗り継ぎ3時間、さらにそこからバスを利用し1時間、バスを降りて30分ほど歩いてようやく辿り着いた。
 駅で買ってきたウォートカは寒さをしのぐためにどんどんその容量を減らし、つい今しがた最後の一滴がセイフーノフの舌を濡らした。その頼りなさに舌打ちしたそのとき、ようやく目的地の小屋が見えてきた。

(まるで『レプカ』

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