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マシーナリーとも子ALPHA

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バーチャルYouTuberマシーナリーとも子のサイドストーリー『マシーナリーとも子ALPHA』連載中
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マシーナリーとも子ALPHA ~豆の霧散篇~

マシーナリーとも子ALPHA ~豆の霧散篇~

 ズビビビビビビ!
 ワニツバメのビーンズ・ガンから閃光が迸り、アークドライブ田辺の前に置かれたパン粉を包んだ。
 次の瞬間、パン粉は炒り豆に変化していた。

「ほえーっ、変な銃だねえ」

 田辺は感心しながらポリポリと炒り豆を食べる。うまい。

「へっへっへっ。コイツでいまマシーナリーとも子に嫌がらせしてるんでスよ! 今日はお好み焼きを豆に変えてやりましたが奴さん怒り狂ってブリッジしてましたよ」

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マシーナリーとも子ALPHA ~豆の銃篇~

マシーナリーとも子ALPHA ~豆の銃篇~

 ドアを開けるとカランカランと音が鳴る。

「いらっっしゃい」

 象頭の店主が新聞を持っていた新聞を起きながら応じる。もう2本の腕はダンベルを上下させていた……4本腕なのだ!

「あ……どうも」

 ワニツバメはペコリと喫茶店の店主……ガネーシャに頭を下げた。

***

「ガネーシャ?」
(うむ、このへんに新しく喫茶店を開いたらしいのだ)

 ワニツバメの左腕に共生するワニ――エジプト神の一柱

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マシーナリーとも子ALPHA ~繋がる飛翔物篇~

マシーナリーとも子ALPHA ~繋がる飛翔物篇~

「どうだネギトロ……さん! 私たちの新しい姿は!」

 頭に1基、胸と肩を取り待つ左右2基、腰に1基、そして四肢に2基ずつファンネルが連結し、人型となって吠えた!

「きっ、気持ち悪いーー! おいたか子、いいのかよあれ。ネットリテラシーが低くないか?」
「は? 別にネットリテラシーは関係ない。なんでもネットリテラシーにするな。ただ……まあ気持ち悪いわね……」

 ファンネルマンは両腕を高く掲げ、ネ

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マシーナリーとも子ALPHA 〜妬く飛翔物〜

マシーナリーとも子ALPHA 〜妬く飛翔物〜

「いい天気だねえ」

 ネギトロが空を眺める……彼に瞳は無いが、とにかく空を見上げた。

「そうだなあ」
「平和だねえ」

 マシーナリーとも子と鎖鎌はネギトロの散歩に来ていた。ネギトロに足が生えネギトロ軍艦寿司ドッグとなってからおよそ3ヶ月が過ぎた。どういうわけか彼はそれからちょくちょく散歩に出たがるようになった。習性まで犬に近づくものなのだろうか? 

「ねぇママ……なんだか血の匂いがしない?

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マシーナリーとも子ALPHA 〜磨く味噌篇〜

マシーナリーとも子ALPHA 〜磨く味噌篇〜

 不毛の地、南極。そのとある地点に奇妙な山脈があった。地上からは見えないが広大な古代都市が広がっている、謎深い山脈である。南極には遥か古代から、有史以前より脈絡と続く文明が隠されていたのである。無論、ほとんどの人類はそのことを知らない。時折、探検家が迷い込むこともあったが彼らは例外なく狂い死んだ……。その文明の住民によって! 
 だが、おお、どうしたことだろう! いまその山脈を登るロープウェイに乗

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マシーナリーとも子ALPHA ~光の巨人篇~

マシーナリーとも子ALPHA ~光の巨人篇~

 五反田市街に怪獣が現れた。巨大な二足歩行のウシだ!! 50メートルはある! ウシはビルをなぎ倒し、人々を食べる! 肉食ウシなのだ!
 こんなとき、ふだんは自衛隊が現れる。またはトルーたちN.A.I.L.がやってきてその超人的能力で鎮圧する。あるいは虫の居所が悪いサイボーグによって惨殺される、というのが常だった。だが今日は違った。身長50メートルはあろうかというヒューマノイドタイプのエイリアンが現

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マシーナリーとも子ALPHA ~鰐の役割篇~

マシーナリーとも子ALPHA ~鰐の役割篇~

「あ〜〜……う、ウマ〜〜……」

 ワニツバメはパイプをぷかぷかと喫みながら馬を思い浮かべた。アークドライブ田辺特製のトンカツを食べたあとはもっぱら店先でパイプをくゆらせるところまで1セットにしている。まだ口のなかに残っている脂を、煙草でスッキリとさせるのが応えられないのだ。恍惚として薄目で太陽を見上げながらふとワニツバメは思った。こんな生活でいいのか、と……。

***

「あのー、私こんなこと

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マシーナリーとも子ALPHA ~刻む日報篇~

マシーナリーとも子ALPHA ~刻む日報篇~

 2020年2月29日(土) 晴れ。本日は休日につき歴史への介入および人類の抹殺行為は控える。マシーナリーとも子から映画を見に行くとの報せ届く。勝手にしろ。N.A.I.L.とくに動きなし。デマヒューマンおよび異星からの干渉とくになし。

***

 吉村さんに促されて薄汚れたバインダーを開き、最後のページを開くとこう書かれていた。

「……? 日記ですか?」
「日記っつーよか日報だな。この支部の前

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マシーナリーとも子ALPHA ~刻む意思篇~

マシーナリーとも子ALPHA ~刻む意思篇~

***

「なあなあ鎖鎌、写真撮らん?」
「またあ?」

 錫杖ちゃんが糸車を手に取って顔の横に持っていく。いま破壊したサイボーグの回転体だ。私は錫杖ちゃんの顔と糸車を挟むように頭を持っていき、適当にピースを決めた。錫杖ちゃんは糸車を持っているのと逆の腕で力こぶを作るようなポーズを決める。

「私、両腕使っちゃったから鎖鎌が撮ってくれ」
「はいよ〜……。ねえ錫杖ちゃん」
「何?」
「そのポ

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マシーナリーとも子ALPHA ~刻む年輪篇~

マシーナリーとも子ALPHA ~刻む年輪篇~

「飽きた……」
「はあ?」
「さすがに食べ飽きたな……バウムクーヘン」

 鎖鎌がゲップをして口を拭いた。バウムクーヘンはまだ半分以上残っている!

「なんだ今日は早いな……じゃあラップをして取っておくからな」
「あぁ〜!? また残したのかよ!」

 6切れほどバウムクーヘンが乗った皿をダークフォース前澤が冷蔵庫に入れようとするのを見たエアバースト吉村は嘆いた。前澤が開けた冷蔵庫の中には……同

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マシーナリーとも子ALPHA ~徳の病院~

マシーナリーとも子ALPHA ~徳の病院~

「んじゃ測るぞー」

 マシーナリーとも子が両手に太鼓のバチのようなものを持つ。バチのようなものは周囲の光を吸い込むような黒い本体を持ち、黄色や赤に光る数個のランプ、液晶画面などが備えられていた。
 バチをアークドライブ田辺の左腕にあてがう。

「アークドライブ田辺……7900……」
「7900、と……」

 マシーナリーとも子が数値を読み上げ、それを聞いたネットリテラシーたか子がファンネルに記述

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マシーナリーとも子ALPHA 〜仮眠室のひみつ〜

マシーナリーとも子ALPHA 〜仮眠室のひみつ〜

 事務所の窓から下を見下ろす。
 木の陰からチラチラとワニと少女の姿……N.A.I.L.のバイオサイボーグ、ワニツバメだ! ワニツバメは木から身体を覗かせたり、また引っ込めたりを繰り返している。吉村はその姿を見ながら、じっくりとコーヒーの香りを吸い込み、ゆっくりと啜った。これがメシウマってやつだな。

「おーい二人とも見てみろよ! ワニが踊ってるぜ」

 吉村に呼ばれてダークフォース前澤と鎖鎌がノ

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マシーナリーとも子ALPHA 〜徳高き自転車篇〜

マシーナリーとも子ALPHA 〜徳高き自転車篇〜

「自転車がほしい」

 マシーナリーとも子は空に向かって呟いた。その場にいた全員が一瞬、彼女を振り返ったがすぐに各々が取り掛かっていた仕事に戻った。
 マシーナリーとも子はムッとして立ち上がり近場にいたエアバースト吉村の側頭部をグリグリとしながらふたたび言った。

「自転車が欲しいなぁ〜〜!」
「あだだだだ! なんだよ! だったら買えばいいだろ! 知らないって!」
「ちょっとはなんで? とかどうし

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マシーナリーとも子ALPHA ~それぞれの日曜日篇~

マシーナリーとも子ALPHA ~それぞれの日曜日篇~

 朝。爽やかな朝。外では太陽の煌めきに呼応して、スズメたちがチュンチュンと歌っていた。だがこの部屋には小鳥たちのさえずりは届かない。寝息を立てるように一定のリズムで轟音をあげて回転する二基のダブルチェーンソーがあるからだ! そのチェーンソー の持ち主は……当然シンギュラリティのサイボーグ、ネットリテラシーたか子だ! 時計の針が7時を指すと、ハンガーラックにかけられたファンネルポートから一基のファン

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