マシーナリーとも子ALPHA

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ノート

マシーナリーとも子ALPHA ~池袋市街の殺人篇~

「ここか……最近噂のトンカツ屋は」

 4人の男たちはのれんの前に立つ。「とんかつ処田なべ」。池袋新進気鋭のトンカツ屋としていまにわかに話題の店だ。

「なんでも揚げ方が違うらしい」
「どう違うんだ?」
「店主の左腕が銃なんだと」
「腕が銃?」

 4人の中で一際長身で垢抜けた印象の男は素っ頓狂な声をあげた。なんで腕が銃なんだ?

「とにかく入ってみよう。味は間違いないらしい」
「よし」

 のれ

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マシーナリーとも子ALPHA 〜隔世の5年篇〜

「ンギャーッ!」

 爆裂! 池袋の路地に衝撃波が走り、爆心地の人類はもちろん、半径50mほどにいた人たちも吹き飛ばされる! ロケット弾の着弾だ!

「セリャーっ!」
「ンギャーッ!」

 爆煙を切り裂いて猛ダッシュで突っ込んだダークフォース前澤は左手の殺人格闘兵器トングを用い、まるで週末のパン屋で思い思いにパンをつまんでいくように人類たちの首を引っこ抜く!

「トリャーッ!」
「ンギャーッ!」

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マシーナリーとも子ALPHA ~朝食の技篇~

朝の定食屋……。いっけんごく普通の光景である。だが耳を澄ませていただきたい。なにか聞こえないだろうか? あなたは店の奥へ奥へと歩みを進めていく……。するとだんだんと聞こえてくる異音! まるでモーターのような轟音! あまりにも朝の定食屋には不釣り合いな大きな音だ! これは一体!? 
 あなたは店の最奥へと歩いていく……。そこには異様な風貌の3人の客がいる! いや、正しくは人ではない。ロボだ! シンギ

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マシーナリーとも子ALPHA ~揚げる徳~

「……じゃあ出すぞ?」
「お願いします」
 マシーナリーとも子がフンと力を込める。すると腕のマニ車の天面に設けられた4つの丸い凹み(彼女の場合はここにコーデックスが収められている)からウニョーと半透明のものがところてんのように出てくる! 
 ところてんのようなものが伸びる先にはアークドライブ田辺が用意した、ボウルに入った氷水が置かれている。氷水に入ったところてん状のものはやおらに色が濃くなり、硬く

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マシーナリーとも子ALPHA ~破滅の談話室~

「お楽しみのところすみません。シンギュラリティのサイボーグの方だとお見受けしますが……」
「あぁ~~?」

 ワニ人類のためにシンギュラリティと人類の関係をホッピーに例えて教えてやってたら、ゴツゴツしたタコみたいなやつに話しかけられた。なんだこいつは? オレンジ色でうねうねしている……。宇宙人か?

「ワニ、知り合いかよ?」
「いや、シンギュラリティって言ってんでしょうが。用があるのはアンタでしょ

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マシーナリーとも子ALPHA ~魔境の談話室~

「……わかりませんね」

 通信機のフタを閉めながらタイムリリース原田はため息をついた。こいつはシンギュラリティに12ロボいるタイムマシン技師で、これまでも何度も通信機やタイムマシンの具合を見てくれていた。半年ほど前にも私がうっかりタイムマシンの時間調節バルブをへし折ってしまった時、たか子さんに内緒で直してくれる気が効いて腕の立つヤツだった。そいつが、通信機を直せないと抜かす。

「なにぃ〜〜? 

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マシーナリーとも子ALPHA ~愛顧のカブトムシ~

「マシーナリーとも子、虫捕りに行きますよ。支度をしなさい」
「はあ?」

 マシーナリーハウスのドアチャイムが鳴ったので開けると、麦わら帽子に虫捕り網に虫取り籠のフル装備をした上司がそこにいた。

「事情はこれから説明します。が、あなたはどちらにしろ虫捕りに行かなければなりません。上がってもいいかしら?」
「はあ……まあ……いいけど」
「ありがとう」

 夏休みのガキみたいな格好のネットリテラシー

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マシーナリーとも子ALPHA  ~猫と住む少女~

その日、私の街から大量の猫が消えた。
 猫とともにあの女の子も消えた。

***

 私がつぶれかけの靴を見つめながら学校からの帰り道を歩いていると、小さななにかが通り過ぎた。
 最初は虫かと思ったけど、遅れて鼻の奥に酢飯の香りがしたので思わず振り返った。
 空中に浮いていたのは寿司だった。
 それも酢飯に乗っていたのは魚の切り身じゃなくてハンバーグだった。

「ハンバーグ!?」

 私は流石に声

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マシーナリーとも子ALPHA 〜研ぎ澄ます刃〜

2045年の茨城県は、人類による愚行の繰り返しとシンギュラリティの侵攻によって文明レベルが江戸時代の水準まで後退していた。
アスファルトによって舗装された道路は砕かれ、電気と水道は通っておらず、中継局も壊滅したため電波によるネットワークすら通らない。
人類から見放された地、茨城県に残っているのは松の木やアンコウ、納豆と、文明を手放した世捨て人のような者たちが少し、あとはカマドウマくらいであった。

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マシーナリーとも子ALPHA ~涙の鰐篇~

鎖鎌は顔面から地面に激突し、ようやく立ち上がったところだった。だがすぐに、親友がワニに呑み込まれる様を見て今度は尻餅をついてしまった。

「錫杖ちゃん……?」

 なにが起こったのか、目で見たのによく理解できていない。ワニにはマントラが刻まれ、ワニツバメは力を手にしていた。
 しばらくぼんやりとその様子を眺めていた鎖鎌の意識は、友が奪われたという点に焦点を合わせて突如覚醒した。

「お前ッッッッッ

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