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国境の南。人生と男と旅と。愛も言葉も身体も捨ててみよう

 愛、は要る?
 愛、は欲しいけど、
 でも実はそれほど重要ではない。
 最近、そんな風な考えも、ようやく、出てきた。

 愛はほんとうはそんなには要らない。
 言葉もほんとうはあまり重要ではない。
 文学や哲学は言葉を求める。
 けど、
 ひとの心を満たすのは、だらだら長い言い訳じゃない。
 説明じゃない。
 だからいったん
 愛も言葉も捨ててみよう。
 
    誰にも言えないことなんて、もう持っていない。
 誰かに言いたいことも、さほどない。
 けれど
 時空は、ひとりで埋める、にはいくぶん大きい。

 女ともだち。すごくイイ。
 大事な女ともだち、3人いる。
 3人もいる、かもしれない。
 3人しかいない、かもしれない。
 でも私には3人がちょうどいい。

 たったひとりの友だちなら、
 その子との距離感がわからなくなる。
 たとえば縮みすぎる。
 あるいは離れたくなる。

 ふたりの女ともだちだと、
 ふたりを比べてしまう。
 この子は今、恋をしている。
 この子は今、恋を遊んでいる。
 
 女は誰でも恋で遊べる。
 せつなさでさえ、よくよくみつめれば
 この上なく愉しい。


 女ともだちが3人いると、
 ひとりと人生を語り、
 ひとりと男を語り、
 ひとりと旅を語る。
 人生と男と旅。
 これ以上の快楽をわたしは知らない。

 旅の果てを見たい。
 クリーム色の空。
 白壁に張りつくジャンキーの群れ。
 女の子。
 教会、あるいはギターの調べ。
 ハエ。
 黒いマリアと祈るひと。
 黄土色のパン。
 便箋と拡大鏡。
 
 古い映画とベンジャミンの鉢。

 その土地の男に恋をして、三日もしたら、
 日本の言葉でさよなら、を告げる。
 あるいはさよなら、も言わない。
 消える。

 消えたい願望はずっとある。
 消えるは死ではない。
 わたしは
 アラジンの魔法のランプからもくもく出てきた
 女。
 まぼろし。

 いつかまぼろしは消えるから
 だから消えたい。
 貪欲な身体をどうしたらいい?
 貪欲な身体は、道端に捨てよう。
 どこかの貧しい男のために
 貪欲な身体を捨てよう。

 愛は、欲しいけど、
 愛は、さほど重要ではない。
 愛は、決して
 重苦しい錨ではない。
 胸をつんざく雷でもない。

 愛は、ときどき見かける
 モンシロチョウだ。
 白くてひらひらしている。

 South of the border, down Mexico way.
 
 

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