見出し画像

そうだ!海の向こうで一旗上げねば!!

タイ旅!
#9, 日本①

【前回までのあらすじ】これは、まえだゆうきがタイに絵本を売りにくる前の話じゃ。

タイに絵本の売り込みにやってくる前、私は千葉県の市川市というところで、絵本を描きながらアルバイトの生活を送っていた。

バイト先は自宅のアパートから歩いて10分くらいの所にある家具屋さん。


朝、まだ夜が明けやらぬうちから店の鍵を開け、
駐車場で待つ運送会社のトラックの運ちゃんを起こし、家具を搬入し、倉庫にしまい、売り場に並べ、組み立て、販売していた。


そして夕方、仕事が終われば一目散に家へと帰り、ひたすらに絵本の執筆を続ける毎日を繰り返していた。

きっと世の中の絵本作家、漫画家、ミュージシャン、お笑い芸人の方たちが、同じ空の下、同じような思いで、同じように活動を続けているように。

自分で言うのも何だけど、私はいつも調子の良いことばかり言って、人懐っこくて、憎めない性格な所があって。

そのせいか、私は自分の夢や目標を、人から否定されたり、馬鹿にされた事はあまりない。


家具屋の店長も、社員の人も、学生バイトの後輩も、主婦のおばちゃんも、皆、純粋に私の夢を応援してくれていたように思う。
(ちょっと変わった奴だとは思われていたかもしれないけどね)


私も私で、そんな皆の優しさに応えたいという一心で、毎日毎日アイデアを練り、プロットを書き、絵コンテにおこし、絵本を作っていた。


出来上がった絵本は、(大体3ヶ月に1作ぐらい出来る)
年に10回程度ある、全国の絵本賞に応募し、出版社にも売り込みをし、最終的には電子書籍で売る。


いくつかの作品は入賞したし、作品が増えるにしたがって、電子書籍の収入も増えていった。

多分、このままコツコツとバイトを続けながら絵本を描き続けていけば、いずれ賞で大賞を獲って出版も出来るだろうし、電子書籍の収入が増えれば、バイトを週に2日とか3日とかに減らすことも可能だと思う。

その当時、それは全然イメージできる範囲の未来だった。




問題は、そこに辿り着くまでにあと何年かかるのか。
『そして、その先に何があるのか。』



夢を追いかけるのに年齢は関係ないと、嘘偽りなく、私は心の底から思うけれど。


20代で追いかける夢と30代で追いかける夢は、その内容も、取り巻く環境も、リアリティーも全く違う。

 

たとえ、職場の皆が優しくて。
35歳を越えてバイト生活を続ける私に対して、黙って何も言わずに、応援していてくれたとしても。


自分の中でのモヤモヤや葛藤が、それで解消される訳ではない。

月並みではあるけれども、いい年して絵本作家目指している男なんて、まぁまずモテないし。
(デートに行く金すらない)


周りの30代男性に比べて、仕事で責任あるポジションについていない分、自分が進歩してるとか、成長しているという実感が湧きにくい。


このまま、単純作業を続けている内に、自分という人間がいたずらに年齢だけを重ね続け、やがて人生の袋小路へとはまり込んでしまうのではないか。という不安もある。



何か、新しい道を探さねば。
ただただ、絵本を描き続けるだけじゃなくて。


もっと違う何か。


そうだ、海外!
海外に行かねば。


このまま日本の絵本マーケットで勝負し続けていても、ジリ貧になるだけだ!


海の向こうで、一旗あげねば!


そんな謎の強迫観念のようなアイデアが、その頃の僕を支配していた。


そして、「いつか海外で絵本を売ってやる!」という想いを内に秘めながら、せっせと家具を組み立て、売り場に並べ、そして販売していたんだ。

→日本編②に続く


【タイ旅!】#10,日本②はこちら!

【タイ旅!】#8,ラプラーオはこちら!


絵本作家まえだゆうきがタイで絵本を出版するまでの、100%リアルなドキュメンタリー紀行文。

タイ旅!
毎週日曜日、連載中!

応援よろしくお願い致します!!


【その頃の僕はこんな絵本を描いていた】


この記事が参加している募集

皆様のサポートお待ちしております。頂いたサポートは「世界の子供たちへ絵本を届け」「旅の紀行文をnoteで発表し」皆様に良質の文章を還元する為使わさせて頂きます 絵本のレビューありがとうございます⭐️ https://www.amazon.co.jp/~/e/B082YC42XL