大羊春秋~羊務執筆者党史~ 第31回
この「大羊春秋」(だいようしゅんじゅう)とは、私 前多昭彦が主宰していた同人誌サークル「羊務執筆者党」(ようむしっぴつしゃとう・略称SSP)の活動を振り返る「回顧録」です。
GELBE SONNE 6(2版)
平成7(1995)年の春、『GELBE SONNE 6 姫ちゃんのおませなひみつ』(ゲルベゾンネ ゼックス)の再版が決まります。
いったいどのような経緯で再版が決まったのか、私は日記をつけていませんのでもはや知る由もありませんが、やはりこの「姫ちゃん本」への愛着があったと思います。
それと、ハッキリ言ってしまうと、「夢よもう一度」という思いもあったでしょう。そう考えると動機に安易さが感じられるのは否めません。
詳細は次の通り。
『GELBE SONNE 6 姫ちゃんのおませなひみつ』(2版)
◎入稿日:平成7(1995)年4月5日(水) ※領収証の日付による。
◎発行日:平成7(1995)年4月8日(土)
◎B5判・52頁・本文用紙90kg・無線綴じ・600部印刷(見本誌14部)
◎頒価600円
◎表紙:コート紙・フルカラー
◎ジャンル:男性向
◎内容(ほぼ掲載順)
・表紙&表紙4イラスト/大島洸一
・中表紙イラスト/あかつきにゃおみ
・目次イラスト/あかつきにゃおみ
・漫画「土曜の午後はデート日和り」(12頁)握手0.5秒
・イラスト/握手0.5秒(3点)
・漫画「水沢先生に捧ぐ」(10頁)大島洸一
・漫画「Un malheur de Yuka-Hijiri」(5頁)LEONE
・漫画「ポコ太の決心」(4頁)神家処奈他
・イラスト/LEONE(2点)
・『GELBE SONNE 9』の御案内(1頁)イラスト/大島洸一
・イラスト/あかつきにゃおみ(1点)
・4コマ漫画「姫ちゃんはりぼん」(5頁)
・「Vorstellung der Schreiber und Redakteure」(2頁)※編集後記に該当。
本誌からI上がペンネームを七條乱雄斎からLEONEに、私が真慧多昭彦から真衛多昭彦(読みは同じ)に改名しました。
第2版では表紙の入稿を、この頃普及が始まっていたデータ入稿で行いました。
大島洸一による表紙イラスト(タイトル含む)をスキャナーでパソコンへ取り込み、言わばレタッチを行い、同時にタイトルなどの改変をしました。
変更点は次の通りです。
メインタイトルの「GELBE SONNE 6」とサブタイトルの「姫ちゃんのおませなひみつ」が混同されどちらがメインか紛らわしいため、区別を明確にし分かり易くする。
表紙左下の「成人向」の表記を「成年向」に変更、また文字サイズを大きくし視認性を良くする。
裏表紙右下の表記されたスローガンをサークル名に変更する。
作業はこの頃、なし崩し的に「SSP」に復帰していたI上が、自宅のパソコンで行いました。
データはMOに収められそのまま「日光企画」へI上と私とで入稿に行きました。
一方で本文の変更点は、LEONEによるイラスト1点を、大島洸一のイラストによる『GELBE SONNE 9』の発行案内に差し替えています。
この頃、「パソコン通信」において「SSP」の「サポートNET」が設置され、本誌の奥付にその電話番号が記載されています。
これは当時、NIFTY-Serveの某フォーラムがキッカケで知り合った握手0.5秒とI上共通の知人であるNが、いわゆる「草の根BBS」運営しており、その方の御厚意で、BBSの一部に「SSP」のコーナーを設けてもらったのです。ちなみにホスト所在地は山口県宇部市でした。
ここでは同人誌即売会の参加情報などをUPしていました。
頒布方法については次の通り。
初頒布は「コミックレヴォリューション」です。
【コミックレヴォリューション17】
◎開催日:平成7(1995)年4月16日(日)
◎会場:東京都豊島区池袋「サンシャイン文化センター ワールドインポートマート」
◎配置場所:「R-15b」
◎売り子:真衛多昭彦(筆者)
NIFTY-Serveの某フォーラムのCさんが応援として記録されています。
搬入数は200部で頒布結果は72部でした。
当日は委託頒布も行っています。 ※《》内は委託部数
◎夢屋花乃屋《20》9部
同人誌即売会での頒布は上記の「C・レヴォ17」のみです。
通信頒布は行っていません。
本誌の頒布のメインは秋葉原にあるソフト販売店の「メッセサンオー」による買取です。
今回、資料を読み返したら買取数は400部と記されており、我が事ながらもその多さに驚きます。買取価格は即売会頒価の8割でした。
また、資料には平成7(1995)年4月20日(木)と記されているのですが、この日付が何を表すものなのかは不明です。
「新宿書店」での委託頒布も行いました。
※委託価格420円(店頭価格600円)
・平成7(1995)年4月=55部(開始)
・平成7(1995)年5月=45部(終了)
※4月の委託頒布開始日(納品した日)は不明です。
「新宿書店」はその名の通り新宿にあった書店ですが、普通の書店ではなくいわゆる「アダルト本」の専門店です。東京・神田神保町にある芳賀書店のようなものと言って良いでしょう。
いつ頃からか分かりませんが、男性向ジャンルを中心に同人誌の委託頒布を行っていました(買取ではありません)。
新宿の他に池袋や秋葉原などにも店舗がありましたが、本誌がどこの店舗で頒布されていたのかは不明ですが、各店舗に分配されていたとも考えられます。
最終的に『GELBE SONNE 6 姫ちゃんのおませなひみつ』の「第2版」は「印刷部数600部+見本誌14部」で、総頒布数は581部という記録が残っています。
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一般的に書店における委託頒布の場合、こちらの取り分は頒価の7割か8割です。そのため、これを考慮して多くのサークルでは、委託頒布の頒価は即売会よりも高く設定していました。
しかし、「SSP」では同人誌即売会での購入と書店での購入に不公平感が生じないように、頒価を同じにしていました。
ある日、握手0.5秒との電話で同人誌の委託頒布の話題になり、その際に彼は「即売会の方が来るのが大変なのだから、頒価に差があっても良いのでは」という旨を語りました。私はこれを聞いてなるほどと思ったものです。
「新宿書店」は当時、池袋店の店長であるTさんがかつて「SSP」の通販の常連だったという大変嬉しいことがありました。そのため、即売会ではわざわざスペースにお越しいただいたり、私が池袋店へ精算に行った際は、いろいろとお話をすることがありました。良い思い出です。
その後、「新宿書店」は全店閉店したとのことですが、それがいつ頃のことなのかは分かりません。
「Google」と「Yahoo!」で検索したのですが、該当する記事はヒットしませんでした。
《第31回「GELBE SONNE 6(2版)」おわり》
※文中敬称略
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