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大羊春秋~羊務執筆者党史~(6)

この「大羊春秋」(だいようしゅんじゅう)とは、私が主宰していた同人誌サークル「羊務執筆者党」(ようむしっぴつしゃとう・略称SSP)の活動を振り返る言わば「回顧録」です。

『SCHAFS NACHRICHTEN』定期発行時代

当時、私が思い抱いていた同人誌サークル像とも言うべきもがあります。それは、かつて所属していた「高橋留美子総合F.C. U&R」のような会員を募り、その会員の投稿による機関誌(同人誌)発行をメインとするというものでした。
更に会員は多数在籍し、言わば大所帯の賑やかなサークルにしたいという願望がありました。

党員番号の制定の他に会報の製作・発行もその考えの表れでしょう。
本を出せないため、それの一時的な代替手段、つまりサークルとしての活動の間が持たないための穴埋めでもありました。

紙名は戦後、西ドイツにあった小政党の機関紙『DEUTSCH NACHRICHTEN』(ドイッチュ・ナハリヒテン)にヒントを得て、『SCHAFS NACHRICHTEN』(シャフス・ナハリヒテン)としました。意味はドイツ語で「羊ニュース」です。
勿論、ドイツ語が分からない私の造語ですから文法的に正しいか分かりません。(笑)
略称は『SN』です。

ところで、私が卒業した市立中学校は学級新聞などの校内新聞の発行が盛んでした。
なんと、その新聞製作に使用したレイアウト見本などが残っていたため、紙面構成にそれを流用しました。
サイズはB4で片面コピーです。
『vol.4』にI上の寄稿がある以外は全て私が単独で作りました。

文章は若さゆえか(当時21歳)、青臭く力んでいて今読み返すと恥ずかしいばかりです。ただ、内容に共感してくれるかは別として、内輪受けに走らず、第三者に読まれても恥ずかしくないような客観的な文面を心がけていました。

タイトル周りのデザインは『Völkischer Beobachter』(フェルキッシャー・ベオバハター)を真似たものです。これがどういうものなのかは剣呑なので敢えて説明しません。
実は「大羊春秋」を執筆するにあたり、久し振りにGoogleで検索して元ネタとなったものを見たのですが、『SN』のタイトルがそっくりなのにギョッとしました。若気の至りとは言え洒落になっていません。
ちょっとギャグにしてはブラック過ぎで、今の私にはできないですね。

『SCHAFS NACHRICHTEN vol.1』

初期の『SN』は、文面は別としてレイアウトなど作りそのものは今でも遜色無いと思っていますので、全紙紹介したいのですが、原版が「uol.1」と「vol.2」、コピーでは「vol.4」しか残っておらず残念です。

発行部数、つまり郵送(実際は送りつけていたに等しい)していた人はI上の他に、鴨志田淳ことHさん、連絡先を貸していただいたIさん、あと、私の高校の同級生であるA藤にも送付していたかもしれません。A藤は後に「SSP」の活動に加わることになります。
とにかく、前述した私のサークル像から見栄を張って、理由をこじつけてできる限り多くの方、といっても4、5名ですが…… に送っていました。
郵送にはミニレター(郵便書簡)を利用しました。これはかつて在籍していた「U&R」の会報『隆盛号』がミニレターで送られていたのを倣ったものです。

こうして昭和63(1988)年10月31日(月)に第1号が発行され、その後、前述の通り毎月末発行された『SCHAFS NACHRICHTEN』ですが、平成元(1989)年3月31日(金)発行の第6号をもって休刊状態になってしまいます。
実は第6号で発行が止まったというのも確証が無く、もしかすると第5号だったかもしれません。
いずれにせよ、何故作るのをやめてしまったのか、今となっては忘却の彼方で自分でも分かりません。

後に、平成2(1990)年11月30日(金)に体裁をB5判4頁(B4判両面1枚)に変えて復活するのですが、どういう訳か「Vol.8」となっています。
いったいこれはどうなっているのやら…… 単純な間違いなのか、それとも「Vol.7」を作っていたのか。真相は藪の中です。

その後また間が空き、平成3年(1991)年5月26日(日)に「Vol.9」が出ます。この号から『SN』は通信頒布の案内ペーパーに生まれ変わり、通頒の常連の方に郵送されるなどして、平成8(1996)年2月23日(金)発行の「Vol.18」まで製作が続きました。


B4判の片面とはいえ『vol.6』まで毎月末に発行され、半年間続いたことになるわけですから、我ながらよく作ったものだと驚きです。
集中力が落ち気力・体力が低下した今では到底できないでしょう。

《第6回おわり》

※文中敬称略

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同『vol.2』
同じく『vol.4』