自省録 マルクス・アウレーリウスの言葉
自省録は、ローマ皇帝で五賢帝の1人のマルクス・アウレーリウス・アントー二ーヌスの書です。2000年の時を越えた普遍的とも言える言葉を紡ぎ出し、啓蒙書・自己啓発本ともいえる名作です。
マルクスアウレーリウスは西暦121年にローマで生まれ、161年に皇帝に就きました。読書と瞑想に耽ることがなにより好きな内向的なマルクス・アウレーリウスにとって、皇帝としての責任を一身に負い、政務や戦争に忙殺されるのは本意ではなかったようですが、与えらた責務を全努力を傾注して果たそうとしていたことは、この自省録から伝わってきます。
以下、「自省録 岩波文庫 神谷美恵子訳」から印象深い言葉を抜粋します。
第1巻ー3 母からは、神を畏れること、および惜しみなく与えること。悪事をせぬのみか、これを心に思うさえ控えること。また、金持ちの暮らしとは遠くかけはなれた簡素な生活をすること(を教えられた)。
第1巻-8 セクトスからは、怒りやその他の激情の徴候をゆめにも色にあらわさず、このうえもなくものに動ぜぬ人間であると同時に、このうえもなく愛情にみちた人間であったこと。仰々しくなく賞賛すること。多くの知識を持ちながらそれをひけらかさぬこと(を教えられた)。
第2巻ー4 君には一定の時の制限が加えられており、その時を用いて心に光明をとり入れないなら、時は過ぎ去り、君も過ぎ去り、機会は二度と再び君のものとならないであろうことを。
第2巻ー5 至る時にかたく決心せよ、ローマ人として男性として、自分が現在手に引き受けていることを、几帳面な飾り気のない威厳をもって、愛情をもって、独立と正義をもって果たそうと。
第6巻ー30 単純な、善良な、純粋な、品位のある、飾り気のない人間。正義の友であり、神を敬い、好意にみち、愛情に富み、自己の義務を雄々しく行う人間。そういう人間に自己を保て。神々を畏れ、人を助けよ。人生は短い。地上生活の唯一の収穫は、敬虔な態度と社会を益する行動である。
第9巻ー12 働け、みじめな者としてではなく、人に憐れまれたり感心されたりしたい者としてでもなく働け。ただ一事を志せ、社会的理性の命ずるがままにあるいは行動し、あるいは行動せぬことを。
第9巻ー30 高処から眺めよ。無数の集会や無数の儀式を、嵐や凪の種々な航海を、生まれ、共に生き、消え去っていく人々の有為転変を。
第11巻-18 親切というものは、それが真摯であり、嘲笑やお芝居でないときには、無敵である。
第12巻-6 すべて君が苦手だと思うものにも慣れよ。なぜならば左手は習慣の無いために他のあらゆる仕事には不器用なのに、手綱は右の手よりもしっかりと持つ。それはこれに慣れているからだ。
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