見出し画像

帰国子女を育てる ということ(その3)

今回は、海外滞在時の子供の英語教育について書きます。

日本に帰国してから転入した公立小学校では、新鮮なことの連続だったようです。体育の時間の「前にならえ」、給食を児童達が配膳する、掃除も児童自身でする、などなど。
英語については、CDブックでヒアリング力を維持するぐらいで、次第に英語から遠ざかってきた時に、また海外勤務をすることになりました。

2回目の海外赴任は非英語圏でした。ちょうど中学生になる時です。現地の公立学校は現地語(英語以外を「特殊言語」ともいいます)。とても現地語が分かる年齢でもなかったので、インターナショナルスクール、昔でいうアメリカンスクールに通うことになります。

インターナショナルスクールは、いつでも席が空いているわけではなく、私の場合はたまたま枠が空いていました。
そして、面接。これは、入学の条件ではなく、子供の英語力を測定し、英語のレベルによっては1学年下のクラスに入学させるか学校が判断するためです。
余談ですが、この面接者の女性(先生ではなく、事務局長のような立場)は、以前マンハッタンの幼稚園で働いていたことがあり、子供が米国時代に通っていた幼稚園の園長先生を知っている、ということが分かりました。世間は狭いものです。

「では、来週から通学するように」、となりました。幼少期の英語は「遊び場英語」ですので、最初は英語ができるかどうか不安だったようですが、ヒアリング力はそれほど低下していなかったので、ストレスなく授業に入ることができました。

中学生ともなると宿題の量がかなりあります。PCを使ったレポートが中心です。自分で調べて自分なりの意見を交えてレポートにする。深夜まで宿題と格闘することになります。社会では、ギリシャ時代、ローマ時代についてのレポートがありました。これを手伝うのは難儀でした。人名など英語読みが分からなかったです。
欧州人はギリシャを故郷のように感じていると思わせる場面が何度かありましたが、子供のころの教育が理由の1つかと思います。

毎日英語と格闘するので、英語力は向上します。そうなるとどの程度のレベルなのか測定したくなってきます。そこで英検を受けることになります。英検が帰国子女枠で日本の高校を受験する時の条件になっている場合もあるからです。欧州では、一定レベルの英検はロンドンで受けます。土曜日のフライトでロンドンに行き、ホテルに宿泊し日曜日に受験し、その日に戻ります。

欧州中の日本の子供と親がロンドンに集結することになり、会場でイタリアに引っ越しした家族に出会ったりしました。1泊2日とはいえ、1000ユーロぐらいの出費になります。夜はロンドンの和食料理屋に行き、普段はなかなか食することができない日本食を楽しみました。

最初の海外赴任という家族もいました。もちろん、子供にとっては相当な試練です。しかし、しっかりした日本語を学んでいるので、日本語と英語がチャンポンになることもなく、しっかりした英語をマスターしていたようです。
これをみて、言語力が身につく幼児期に海外にいると英語だけでなく日本語も中途半端になり、思考回路も妙になる。それよりは、小学校までしっかりとした日本語教育を受けてから、海外で英語を学んだ方が、きちんとした日本語・英語をマスターできるのではないか、と思うようになりました。

親の都合で海外赴任する場合には仕方がありませんが、そうでないなら高校の時に1年間海外留学する方がいいように思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?