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鳥取旅行。純粋な“好き”の波紋を教えて下さったご婦人オーナーさん vol.1(2019年50歳)

3泊4日の「鳥取風水開運ひとり旅」最終日。
帰りの電車は夕方発なので、ちょっとだけゆっくり出来る。
チェックアウトも12時まででOKだ。

……がしかし。
風水開運行動である「イタリアンを食べる」をどうしても果たしたい私は(←強欲)、予定していたイタリアンレストラン(ホテルから徒歩10分ほど)を訪れるため、鼻息荒く10時40分に退室。そして只今、11時。念願のイタリアンレストラン前にいる。

「うわー。散策しながら来たつもりだったけど、結構あっさり着いちゃったなー。開店までまだ30分もあるよ…。どうしよう…」
ちょっとカフェに入るにしても、どこかを観光するにしても、点在するそれらの移動時間を考えるとかなり微妙な残り時間である。
「ランチ時で混雑する前に入りたいしな……。それにしても、旅先でこの空白タイムは勿体ないよな~」
仕方ないので、付近をあてもなくぼんやり彷徨う。

少しして、謎めいた一角がふと目にとまった。
3階建ての1階部分。一見店舗みたいなのに、大きな窓やドアのガラスにまで薄いスモークシートが貼られているのが、なんかちょっと違和感。

見上げれば、半円形のシンプルな看板に店名らしき文字。
でも、何屋さんなのかの表記は無い。
おしゃれ感も漂っているので、危険な香りもしない。うーん、謎だ!

引き寄せられるようにツツッと近づき、失礼のない程度の距離から中を窺う。……が、よく見えない。
一旦離れて建物周囲にヒントを求める。……見事に何も無い。


「美容室なのかなぁ?それとも事務所?」
根っからの好奇心旺盛な私。いよいよ窓に鼻がつくくらいに大接近し、ジロジロと覗いた。

そしたら、ようやくうっすら見えたのだ。優雅な洋食器が……。
おお、何個もある。ティーセットもある。……あ、値札も発見!どうやら販売しているようだ。

瞬間、血が滾る。
「もしかしたら、好みのマグカップが見つかるかも!」

……そうなのだ。実は、滞在中ずっと探し回っていたのだ。今回の開運土産である「マグカップ」を!(←貪欲)
けれど、欲しい容量もの(400ml以上)がどこにも見つからなかったので、すっかり忘れ去っていた。そこへ、突然のチャンス到来である。

「ただ、小売店っぽくないんだよな~。スモークシートでうっすら隠されてるし……。個人でも買えるといいんだけど……」
もしかしたら、卸店かもしれない。が、とにかく思い切ってアタックすることにした。

「こんにちは~!」
ドアを開けると、そこは奥行きたっぷりなワンフロア。
左右には棚があり、様々な洋食器がズラリ。
お値段や陳列方法から鑑みると、小売店である可能性が高く、期待も爆上がる。
だが、ここまで経っても肝心のお店の方の姿が無い。

「こんにちは~」
静かな店内で何度も声を張り上げるものの、やはり反応がない。
個人経営のお店にはよくあることだが、「買うか分からないけど、わざわざ呼び出している」感に苛まれ始める。

「仕方ない、諦めるか。高級品の中、ひとりで居るのも何だし……」
とドアに向き直った時、「は~い!」と上階から年配のご婦人(のちに店主さんと判明)がご登場された。

そのあまりに長かったに、私は尚のこと複雑な気持ちになった。
けれど、自分の素直な欲求に立ち返り、ご挨拶後、すかさず個人で購入可能かを確認。
可能であることを知ると、追ってクレジットカードの可否も伺ったのだが、何故か一拍置いて、言いにくそうにご回答されたのだった。

「……使えますがね……手数料の関係があるもんで、うちはいつでもいいから、何年かかってもいいから現金での支払いをお勧めしているんです。それで長いことやらせてもらっています……。なので、昔っからのお客さんも多いんです」
「?……そうですか」

予想外に単純明快ではなかったお答えに一瞬混迷したが、なるほど、クレジットカードは使わない方がベターなようである。
「旅行で来たので、後日支払いには来られないんです……。なので、今現金でお支払い出来る範囲のもので検討します」
買えるものは一挙に狭まり、一層高まる「おじゃまします、恐縮です」感。それでも開運ゲットに向け(←やっぱり貪欲)、ありがたく店内を見せていただくこととなったのだった。

いや~それにしても、洋食器好きな私(尚、鑑賞専門)にはたまらぬ空間。残り時間が気になりつつも、一品一品に目を奪われること甚だしい。
なので、手っ取り早く在庫の有無を伺ったのだが、「時季的に大き目のものはもう扱っていない」とのこと。冬ならばココア用などで大き目のものもあったらしいのだが、只今5月。初夏に大量の暖かい飲み物など、皆さんもう飲まれないのだ。

奇跡の展開を夢見た私は、ションボリしなびた。
ただ、ご対応はとても嬉しかったので、お礼を告げお店を出ようと踵を返した。
……と、なぜかここで店主さんは、急にお店の説明を始められたのだった。


……つづく(次回はいよいよ店主さんワールドが炸裂します😅)

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