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【デイサービスvol.4】誕生日をお祝いされたことがない人の誕生日会
ここ数年、子供が産まれたら一歳になる前からハーフバースデーでとか、学校では二分の一成人式など子供をなにかと祝う風潮がありますね。でもちょっと時代をさかのぼるとそんなお祝いばかりしている時代ではなかったようです。
デイサービスに勤めていた頃、工藤さんという70代前半の男性が通われていました。大工さんだったことから職人気質で機嫌を損ねると怒鳴った瞬間、振動で壁にかかっていた額縁が落下したことがあるほど恐い方でした😱❗️
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その反面手先が器用で毎週私たちの作るお昼ご飯を美味しそうに食べてくれました😄💕
私の当時いたデイサービスは地域密着型で、市内在住者しか通うことのできない小規模な施設でした。利用者同士、住んでる家が近所の方も多く地域の話題などが蜜なのですぐに皆さん仲良しになっていたように感じます。
工藤さんがデイサービスに通われてしばらく経つと会計士として事務所を構えていた山下さんという80代の男性が入ってこられました。工藤さんとは真反対な職業や性格...大丈夫かな?と思っていたのも余計な心配😜すぐにお二人は仲良く会話し、ジェンガも楽しむ関係でした。穏やかで優しい山下さんのことを工藤さんは亡くなったお兄さんと同い年だと話し「兄貴」と慕っていました。
デイサービスのお誕生日会
今思い返すと工藤さんが誕生日の月は少し盛大にしたと思われます。それは家族との縁も薄く、風前の灯火のような環境にいたからです。いろんなことがありデイサービスから帰る時は住み慣れた自宅ではなく他の施設。身体の具合も悪いため少しでも労ってもらいたい心境の中、何かしら起きる施設のトラブル、人間関係のストレス、閉鎖的な空間など居心地の悪い日々が続いている話をよく聞きました。一人ではないけれど、ひとりぼっち...そんな時間を寂しく感じているように思い、せめて誕生日会は喜んでもらえたらいいねと職員同士で話しました。
当日は職員利用者女性陣でケーキ作り、作っている間に工藤さんには内緒で職員からのバースデーカードを書いて午後から誕生日会開始🍰
本人が昼寝から起きて席に座った瞬間に...
「工藤さん!おめでとうー!!😃✨🎉」
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パーンとクラッカーをやったか、どうか??思い出せないけど気分はクラッカーを鳴らしてました🎉笑
最初は豆鉄砲をくらったような顔をして「❓」と私たちを見つめる工藤さんにバースデーカードを渡して読んでもらうと、次第にことの状況が飲み込めたようで鬼の目にも涙が...😭👹
「俺、誕生日なんて祝ってもらったことないよぉー...」
ハンカチ(お皿拭くふきん)を片手に涙を拭かれ男泣きされていました。
私たちまでホロっとしてし🥲大成功だったねー!!とみんなで喜び合いました。
工藤さんの横に座っていた山下さんも「工藤さん、よかったね...✨」と天を見上げながら頷かれ、兄貴の優しい気持ちにまた涙😭
子供の誕生日、家族の誕生日、友達の誕生日、恋人の誕生日ももちろん大事ですが、一度も祝ってもらった経験がない方の誕生日を祝うことはとても特別な想いがします。
私たちの世代になるとサプライズも当たり前でちょっとやそっとじゃあまり驚かないのかもしれません。涙するほどの嬉しいサプライズをだれかにできたことは感慨深い思い出です😄
まだお二人がそれぞれお元気かどうかはわかりませんが、デイサービスが倒産するまで支え合ってきた利用者さんと私たちの短くて濃い日々...あの頃は楽しくよく笑いました🤣
その中でも誕生日会といえば工藤さんの誕生日会が頭に浮かびます🎂
読んでくださいましてありがとうございました。
※工藤さん、山下さんの名前は仮名です。
サポートいただけたら嬉しいです😃こんなことを書いて欲しいなどのご意見、ご要望もお応えできたらと思います。日々ゆるやかに更新中💌