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社内コアメンバーとビジョンを言語化する3つのメリット

お正月って落ち着きません。子年の僕はチャカチャカしていて何かやってないと落ち着かず…なので【M&A売却でのExitを薦める3つの理由】でピックアップした
【起業からのグロース編:コアメンバーとビジョンを言語化する3つのメリット】
について書こうと思います。

「ビジョン」は会社が目指すこと
「行動指針」はそのためにすべきこと

これをシンプルで分かり易いフレーズにコアメンバーで言語化するメリットは3つあります。

①「会社が目指すこと」「そのためにすべきこと」をコア(ボード)メンバーで整理できる

経営者の頭の中には常にいろんなテーマがマルチタスクで走っています。一番会社を想う気持ちが強いからこそ、伝えたいことがどんどん広がってしまい、結局上手く伝わらないこともあります。

・社長がターゲットとする「解決したい(社会)課題」を絞る
・それを「どう解決するか」を時系列で社長が箇条書きにする
・コア(ボード)メンバーと一緒に、その箇条書きをカテゴライズする
・コア(ボード)メンバーと一緒に、フレーズをブラッシュアップする

こうして社長とコア(ボード)メンバーが、ビジョンや行動指針を一緒に整理することで「判断基準が統一化」され、「社長のワンマン化を回避」でき、三人称として「"当事者感"を持つメッセンジャーが増える」という効果が期待できます。

②「社員だけでなく、顧客とも共有でき、エンゲージしやすい」

シンプルにブラッシュアップ、整理されたビジョンや行動指針であれば、社員だけでなく顧客ともエンゲージしやすくなります。例えば採用面談で志望理由を聞く場合、理念や行動指針が明確にwebから伝わっていれば、未来の社員を選ぶ際にも、共感からスタートできるmtgとなり採用後のエンゲージメントも深まります。

理念は抽象度が高くなりがちですが、実現するための行動指針が明確なら解像度も高まり、社員であっても自信を持って顧客へ理念を語れるようにもなります。結果、顧客からの共感が得られたりエンゲージが深められたりして、サービスは全国の自治体シェア約30%にまで伸びましたが、離反があったのは数件でした。

③「主観評価から客観評価に変わり、社員の納得感が高まる」

例えば開発チームが新しい機能を計画する時も、理念にフィットするかが判断基準となるので、一時的な感情で機能追加の判断をしてしまう、ということを回避できます。また、人事評価の際も、会社として目指す姿を作り出すために用意された行動指針にどれだけコミットできたかを確認するので、上長の主観ではなく客観評価となり、社員の納得感も高まります。

何をすることが会社の目標達成に貢献できるのかがオフィシャルに行動指針として上手くリンクされていないと、社員のモチベーションも上がるはずがありません。

具体的には・・・

私たちは公共機関を顧客の中心としたメール配信サービスをプロダクトとしていました。行政には多くの制度がありますが、住民はそれをよく知りません。制度を作ることは得意ですがそれを周知する手段が行政には少なく、だから「知れば、明日は変わる」という住民目線から、自分達のプロダクトを通じて「すべての人に安心・安全・快適なつながりを」という実現したい社会課題の解決を理念に落とし込みました。

そのために、例えば
・1時間に300万通配信できるエンジンを構築する
・緊急時でも自動で住民に情報を届けることができる
などの大きなタスクを決め、それを実現するため日々の行動に必要な指針を20項目用意し、わかりやすい言葉でプロットする、という流れで「理念」から「行動指針」へとブレイクスルーしていきました。

会社のトップだけでなく、マネージャーや主任クラス、社員までが理念や指針を語れると、文化も自ずと構築されていきます。

参考にした書籍

具体的に「理念」「行動指針」を構築するプロセスで参考にした書籍は「ビジョナリーカンパニー2(ジム・コリンズ著)」です。

簡単に紹介すると、ごく普通の会社が飛躍し、その実績を持続させることに成功した企業(かつ、世間にその名をあまり知られていない会社)11社の特徴・傾向をデータとしてまとめた本です。例えば経営者の謙虚さ、勝利への確信を持ち続けること、人材の選び方(目標に合わせて人を選ぶというより、最初に優秀な人材を選ぶこと。「バスに乗る仲間」という表現は、当時私たちもそのまま採用させてもらいました)、自社の強み(経済的原動力)は何で、情熱を持って取り組めるものが何かを深く考え、必要であれば他の中核事業を切り捨てる判断力、などのデータ・事例から飛躍の法則をまとめています。

私もこれは当時好きだった経営者から教えてもらい、読んだ時にすごく刺激を受けました。一気読みし、本にメモを書き込み、整理し、そしてコア(ボード)メンバーに向けて広げてみる・・・という感じでした。

当時クライアントだった大手化粧品メーカーの方から、「ビジョナリーカンパニー2をベースに起業した会社がどうなるのか見て見たい」と言われたことを思い出します。本書の中に、第一水準から第五水準までの経営者象が示されています。私がM&AでExitして直後代表を退任し、起業し育てた会社を離れた時には、心境としては第五水準に近づけたかな、という気持ちでした。「この会社は自分のもの」という感覚から、「あの会社と一緒に歩んでこれたな」という感覚が第五水準です。

ちなみになぜ「2」かというと、前作の「ビジョナリーカンパニー」では、私たちが知るUSメガ企業の事例が多く、なんとなく共感しづらい部分があるのに対し、「2」ではあまり聞いたことがなく一般的な企業が大きく飛躍した事例として、取り組んでいたことが統計的にまとめられているところに夢を感じるので、「2」を推してます^^

多くの経営者の方が手に取ったことのある書籍だと思いますが、是非多くの経営者の皆さんに読んでいただきたい一冊です。



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