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エッセイ

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不妊治療/不良品のわたしから

不妊治療/不良品のわたしから

カレンダーを見返すと、その日は去年の10月1日だった。ビルの合間から灰色の空が覗き、ビル風が強かったのをはっきりと覚えている。この日の記憶には色が無く味気のない白黒で再生されるのだけれど、それはこの記憶が楽観的なわたしの数少ない後悔の一つだからかもしれない。

この日はパートナーとともにオフィス街にある不妊治療専門の病院を訪れた。1年ほど前からタイミングを見ながら妊活を行なってきたが、なかなか結果

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明るい夜にむかついた

明るい夜にむかついた

夜10時。
前の人の踵を眺めながら地下鉄から地上へと階段を上る。左の踵には「なんで」、右の踵には「どうして」と書いてあるのが見えた。左右の踵がリズムよく上っていくのと同時に、私の心に言葉が積もっていく。

右足。
「どうしてうまくいかないんだ。」
左足。
「なんでダメなんだろう。」
右足。
「どうしてできないんだろう。」

言葉がどんどん積もっていって重くなる。
マイナスなイメージがどんどん積み重

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保護犬をお迎えした話

保護犬をお迎えした話

「うちに犬がいる……。」

家に帰って玄関のドアを開けると必ず、タタタッと音がする。
元保護犬のヨークシャテリア、女の子で名前はパル。
家に帰るといつも出迎えてくれる。
初めて会った人と目が合った時のような恥ずかしさというか、少しのくすぐったさ。
パルと暮らし始めてから3年が過ぎても、この瞬間だけは不思議な気持ちになる。

「あんなに犬嫌いだったあんたが、まさか自分ちで飼い始めるなんて。」

保護

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