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ポーラ・オルビスHDの売上高3000億円を目指した成長戦略(ポーラ・オルビスHD 久米常務取締役/モーサテSep,2023)

化粧品メーカーのポーラオルビスホールディングスの事業戦略を紹介する。

売り上げ全体の6割を占めるのがPOLAであり、店舗でエステやカウンセリングなどで対面販売を行う。

もう一つの主力事業が、ORBIS。
1000円〜3000円と手ごろな価格帯の製品を揃え、販売方法はインターネット等が中心であり、POLAとは対照的な販売戦略を取っている。

業績を見ると、2020年以降、コロナの影響でマスクが広がり、インバウンド消費の減少により低下。
ただ、この期間に、攻めの投資を行い、その成果が今少しずつ出ている。創立100周年となる6年後に売り上げ目標3000億円達成するため、どのような戦略を考えているか見てみよう。

コロナ下で、対面販売が難しい時期、POLAは、ORBRISの販売で培ったノウハウを活用し、アプリによるオンライン販売に力を入れた。

そのオルビスのアプリは1つのブランドとしては、異例の多さである累計5,000,000ダウンロードを獲得している。

人気コンテンツの1つが、AI人工知能を活用して自分に似合う眉毛の形を提案してくれるシミュレーターである。

スマホのカメラで自分の顔を撮影し、髪を上げ、生え際に×と顎先合わせて撮影する。すると、左が実際の眉、右がAIで分析した似合うと提案された眉。少し細めの眉にした方が良いと言う結果になった。

そして、画面を下にスクロールすると、眉の手入れするポイントや関連する製品が表示され、そこから購入ページにつながる仕組みとなる。

デジタルではあるが、実際に対面で接客を受けてるように感じていただけるのが1番ポイントになる。

このようなORBRISアプリの実績をもとに、POLAブランドでも4月から肌バンクというサービスを始めた。蓄積した20,000,000件以上の肌に関するデータと居住地の地域性や天候などの情報から、そのお客様に合ったスキンケアを提案する。

このように、OMO(Online Merges with Offline)という、onlineで購入したお客様を店舗でのエステやカウンセリングなどオフラインに促すことで、売り上げを拡大する戦略を取っている。

OMO戦略と海外売上高比率の引き上げにより、2029年までに売上高を3000億円、営業利益率を15%以上とする長期計画を掲げている。

特に、中国が最大の成長ドライバーであるため、コロナ期間中にでも、中国に店舗投資をし、2019年末は30店舗のお店が、2023年末には100店舗を超える予定である。

しかし、東京電力福島第一原発の処理水放出に対する反発から、中国では日本の水産物だけでなく、化粧品を含む日用品にまで不買運動が広がっていること、そして人口減少も懸念している。

そのため、中国以外の国への投資を考えており、現在インドネシア・北米もこれから視野に入れ、利益率を2029年までに15%以上に戻そうと反転攻勢を考えている。

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