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銀行の預金金利正常化により、今後は銀行間の競争化が活発化?(ピクテ・ジャパン 大槻奈那氏/Morning satellite Apr.2024)
日銀は先月マイナス金利を解除し、17年ぶりの利上げとなり、私たちが銀行にお金を預けたときに得られる預金金利にも変化があるのか?について解説する。 まずは、伝統的および振興系銀行の預金金利を見ていくと、引き上げ幅は普通預金20~30倍とはなるが、マイナス金利前の2015年末に戻っただけであり、正常化への1歩とは言える程度であり、極めて低金利な状態が続いている。 例えば、100万円を1年間預けた場合、定期預金での金利収入の増加額は最大でも300円程で、ため息が出るようなレ
日本人はデフレマインドから脱却出来たのか?(東京大学大学院経済学研究科の調査結果より/渡辺努教授/Morning satellite Apr.2024)
賃金と物価の好循環は、どこまで進んでいるかついて、東京大学大学院経済学研究科 渡辺教授の研究室のインフレ調査結果を紹介する。 5カ国、23,000人を対象にし、2024年3月後半から4月初旬行った。(春闘による高い賃上げ、日銀のマイナス金利解除を織り込んだ結果となる) ▪️1年後の物価はどうなりますか? 2024年の結果を見ると、日本は、’’かなり上がる+少し上がる’’で、8割を超え、他国と比べても遜色がない結果となる。 ただ、過去を見てみると、インフレ予想の変化とし
なぜスイスは最低賃金4,000円でやっていけるのか?(東短リサーチ 加藤出氏/Morning satellite Apr.2024)
なぜ、スイスは最低賃金4000円でやっていけるのか?について解説する。 スイス ジュネーブ州の最低賃金24フラン、168円で換算すると4,032円、東京都は1,103円、つまり3.62倍となる。また、平均年収2022年で比較すると、スイスは1,368万円、日本は458万円と同様に3.62倍となる。 例えば、2024年1月時点で、マクドナルドのビックマックは、スイスで1,193円、日本は450円に対して2.65倍となる。 スターバックスのアイスコーヒーを見ると、スイスで1
NVIDIAは、なぜ大手企業との提携を進めているか?(大和証券CMアメリカ 矢澤賢氏/Morning satellite Mar.2024)
半導体大手のエヌビディアが、GTC開発者会議行い、AI向けのトップランナーとしての立場を固めたとされる内容について解説する。 今回、次世代チップでたるブラックウェルを発表した。ただ、2023年10月の投資家向けイベントで、投入する計画を既に明らかにしていたため、大きなサプライズはなかった。 しかし、これまで以上に目立ったのは、他社との提携である。Amazonなどのクラウドサービスやサーバー企業はもちろん、製造業における設計やシミュレーション、工場の自動化、電気自動車、ヘル
長期つみたて投資の元本割れリスクはどの程度?(ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏/Morning satellite Mar,2024)
長期積み立て投資の元本割れリスクについて解説する。 例えば、リターンが6%/年率、リスクが18%/年率のケースで考えてみよう。(S&P500およびオールカントリーのリスクは約18%と言われているため) 例えば、100万円投資すると、1年後には平均6%増えて106万円になる。一方、リスクの18%というのは、1年後は平均の106万円を中心に上下18%ずつ、つまり18万円ずつ上下にぶれる。金額でみると、88万円から124万円の間に収まることを意味する。 1年後ではなく長期で見
金価格高騰の裏に“中国マネー”?(メタルズ・デイリー CEO ロス・ノーマン氏/Morning satellite Mar,2024)
ニューヨーク金の先物価格は、2024年2月から3月にかけて、約8%近く上昇し、過去最高値を記録している点について解説する。 金が最高値を付けた背景にある大きな要因の一つは、年間約1,000トンの中国の需要である。中国の投資家は、株式に加えて不動産でも大きな損失を抱えており、そのリスクヘッジとして金が買われているという構造である。 中国の投資家は、一度金を買うとほぼ売らないと言う性質がある。金は西洋から東洋に流れており、この動きは今後も変わらないだろう。 また、米国の利下
ウォーレン・バフェット氏が過去最大の現金保有高を持つ理由について(大和証券 谷栄一郎氏/Morning satellite Feb,2024)
バフェット氏が指摘した射幸心の真意について、解説する。 バフェット氏が、株式株主への手紙の中で、株価の高騰はカジノと表現し、警笛を鳴らした。ここで、重要なのは、バフェット氏がカジノ(ギャンブル)という言葉を使ったことである。 ギャンブルであれば、射幸心に関して、抑制する規制が公的に導入されている。例えば、ギャンブルの代表的な遊技機業界パチンコスロットでは、1分間400円を超えて消費する、もしくは出玉率が400回転で220%を超えることに対して規制がある。 一方で、株式市
Uber technologies ダウ輸送株20種平均採用の背景について(大和証券CMアメリカ シュナイダー恵子氏/Morning satellite Mar,2024)
配車サービス大手のUberテクノロジーズが2024年2月26日からダウ輸送株20種平均に採用されたことから、理由について解説する。 Uberテクノロジーズは、乗客とドライバーをマッチングするライドシェアのアプリやフードデリバリーサービスのUber Eatsなどを展開し、輸送業界にイノベーションをもたらす企業となる。 2024年2月は、2019年IPO以来、初の通年での黒字化達成、70億ドルの自社株買い計画を発表し、ダウ輸送株指数採用と重要な節目を通過した。 2024年2
循環的な円高 vs 構造的な円安(大和アセットマネージメント 岩手幸久氏/Morning satellite. Feb 2024)
ドル円の予想は、円高派と円安派に分かれ、それぞれ異なる根拠と時間軸で語られているため、解説する。 円高の根拠は、日銀のマイナス金利解除・FRBの利下げによる日米金利差縮小と言う循環的な要因となる。 一方、円安の根拠は、日本の貿易赤字やデジタル赤字、積み立てNISAによる対外証券投資と言う金利差とは無関係の構造的な円売りフローとなる。 分析の特徴として、日米金利差からドル円の水準を推計するのは簡単であるが、構造的な円売りフローからドル円の水準を推計するのは難しいと言える。
米株式と長期金利の関係性について変化の兆し(オールニッポンAM 森田長太郎氏/Morning satellite Feb,2024)
アメリカの株価と長期金利の順相関が続くかについて、解説する。 最初に、株価と金利の動きを見ていくと、過去のトレンドは、景気の上昇による株価と金利の上昇で順相関となるが、2022年以降は金利が上昇すると株価は下落すると逆相関の動きとなり、1990年代で生じた珍しい状況となる。 では、なぜ逆相関になっているのか? 2022年頃からコロナの初期段階の景気回復が終わり、景気のサイクルとしては減速方向に入っていた。しかし、インフレの高騰により、 FRBが景気減速を無視して、インフ
Apple vs Amazon 〜株価を上げる資本戦略を比較して〜(マネックス証券 広木隆氏/Morning satellite Feb,2024)
企業は、資本効率と資本の成長性はどちらを選択すべきかについて解説する。 その背景として、以下のような、東証のPBR改革がある。「日本企業は、利益を成長へ投資や従業員・株主への分配に振り向けず、内部留保として貯め込み、ROE低下による株主価値の毀損を招いている」と。この考えに誤解を与えている可能性がある。 その前に、内部留保という意味を再度理解する必要性がある。内部留保は企業が成長するために必要なキャッシュであり、お金を貯め込んでいる訳ではない。 もう少し掘り下げてみよう