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日本は先進国から中進国になるのだろうか?(みずほ銀行 唐鎌大輔氏/Morning satellite Mar,2024)

日本は先進国から中進国に後退の懸念について解説する。

最初に、日本の株価は、最近数ヶ月で急騰しており、要因はインフレの賜物と考えている。

日本の経済金融政策として、インフレ目指してきたことから、一時的には良いことであるが、インフレの社会では、自国通貨の価値の低下、株や不動産、輸入品の価格が上昇する。

一方で、他国や市場からはデフレからインフレのパラダイムシフトが織り込まれ、日本経済に対する見る目が変わってきた可能性がある。

ただ、見る目が変わったというのは、良い意味だけではないこともある。例えば、日経平均が初めて40,000円に乗せた2024/3/4時点の世界主要株価指数(1年上昇率TOP10)を見ると、上からアルゼンチン、エジプト、ナイジェリア、トルコ、10位に日本となっている。やはり、対ドルで、大きな通貨下落を起こしている国の上昇率は、名目上高くなる。

つまり、見る目が変わっているというのは、日本が所属しているグループである先進国から中進国へ移りつつあるのでは?と考えられる。

今後の円相場の影響を考えてみよう。
円の実質実行為替レートは半世紀ぶりの安値であるが、これを上昇させるには2つの経路がある。

⑴ 名目ベースで円高ドル安として上昇する。

⑵ 日本が相対的にインフレになる。日本の物価が上がれば、実質レートは円高化されるため。

最近のドル円相場見てる限り、⑵であるインフレを通じて円高に進む可能性が高いと考えられる。ただし、ドル円相場140円前後で、インフレが進んでいくと考えている。

理由として、人口動態の影響が最も大きい。今から10年後は、現在の就業者数(労働力人口)の水準は、生産年齢人口(15-64歳の日本の人口)では賄えなくなる、見えている未来となる。

そういう社会になると、経済活動を維持するために、労働者の奪い合いが起きる。労働力人口が不足ため、名目賃金の上昇が起き、サービス・物価が上昇し、消費者物価が上昇し、結局インフレになりやすいと考えている。

結局、現在の日本株高要因は以下の2点になる。
⑴ インフレに押し負けそうな実態経済の結果
⑵ 先進国から中進国へのステップダウンを織り込んだ相場

通貨安やインフレを織り込んだ末の株高や円安であれば、継続した円安や株高が続く可能性があり、それを覆す仮説や材料も今はないだろう。

そのため、円安の中で、経済を強くしていくことが大切となり、インバウンドや熊本であったTSMCの対内直接投資など、どれだけカードを増やしていけるかが、日本の今後のステップとなるだろう。

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