Part 4:隔離日病棟でのフラッシュバック

正直、ICUで大変良くしてもらってはいたものの、色々とトラウマにはなってることもあると思う。(トラウマとは、悪い記憶という意味ではなく、恐怖を刻み込まれた記憶のこと)呼び起こされたICUでのワンエピソードと、それを引き出した環境の物語。

今回のCOVID入院隔離中の部屋は、二重扉になっていた。

自分が入院していた無菌室は、二重扉の外扉は室内のベッドからは見えないほど内扉から離れていた。

しかし、以前の他施設の病棟無菌室の二重扉は思い出された。

そして、なんとなくICUを連想させる空気感が漂う雰囲気が…… 以前のICUでの記憶を呼び起こした。COVID隔離病棟にいた、その真っ只中でというよりは、今時間差でって感じ。

自分が学生時代ICUに入院中、ベッドで眠っていたら、眠りの中で聴きなれた音が聴こえてきた。聴きなれたなんかの音が、どこか心地よく感じた。何の音かは直ぐには思い出せない。しかし、ICUという異次元空間で、自身も重症な状態においては、実世界を思い出させる音というものは心地いいのだろう。

心地よい気分で、8割眠から5割、2割とだんだん覚醒していくにつれて、自分が心地よく感じたその音の正体が分かった。

蘇生の音だ……!

循環停止(VF)、呼吸停止の患者が運び込まれ、ICUフロアの広くはないが、病室より広い間隔の向かいのベッドに運び込まれた。私のベッドから歩けば届く距離にあるその向かいのベッドで心臓マッサージを受けている。私が心地よく感じた聞き覚えがあるあの音は、心臓マッサージ中のあの空気音ではないか!と気がついた。

その瞬間、吐き気がした。死戦を潜っている患者をスタッフ総出で必死に引き戻そうとする時のあの音。心臓マッサージ中のあのゴボッっという空気音。おそらく、他の背景音も自分が職場で聞きなれているから……  自分が元気な時を思い出させるから……  工場職の人が、遠くで微かに聞こえる汗水垂らしながら働いていた職場で聞き慣れた機械音を聞いた時の感覚か何かを、蘇生音で感じてしまったのだろうか? 自分に反吐が出た。

同時に、眠っていて、何の音かなど分からなかった。そう自分に言い聞かせるしかない。その患者は複数回のアドレナリン+アミオダロン+DCショックでも蘇生ならず、アトロピンでの3回目ショックでも蘇生ならず。少なくとも7回以上のDCショックを受けてなお、心拍再開に至らず、現場の空気も、声も、もはや暗くなり始めていた。40代くらいの若年男性の予期せぬ突然の心肺停止(VF+呼吸停止)。この状況下でも、まだ若い患者の蘇生に皆が尽力している。

全力で蘇生し、おそらく最後のアトロピン+DCショック後、皆が固唾を飲む。

ピッピッピ。澄み渡ったICUに響くその音は、晴れて心拍が再開した時の正常な心電図モニターの音だった。

「蘇生!」

歓喜と安堵に満ちる。

私も向かいのベッドで密かに内心喜ぶ。

少し時間差で喜びが落ち着いてきた頃、最初蘇生音だと気づいた時の自己嫌悪感ほどではないにせよ、他者の生死を彷徨う瞬間の音が心地よく聞こえてしまったことの罪悪感や嫌悪感が蘇る。後日、牧師さんにそのことを話した際に、「人が息を吹き返す時の音」と考えれば、むしろ喜ばしい時かもしれないという言葉に救われた。

今回の新型コロナ感染時の一連のことで、私は幸いICUにいた時のような重篤な状態にはならなかった。

しかし、場の緊迫感や様々な潜在的な共通点もあったのだろう。おそらく、切迫した状況の患者さんもいたことだろう。スタッフに、とても優しい元ICU看護師も複数名いた。

過去のICUでの記憶を呼び起こすには、十分な空気感の時もあったのだろう。

現在、心を整理している最中なのだと思う。

当時のことが昨日のことのように鮮明に思い出される。

これは、厳密にはフラッシュバックと呼ばれる再体験とは違う。とはいえ、色々な記憶が呼び起こされたことで、色々発散が必要な状態ではあるのだろう。

これらの記憶のせいか、初のセクシー美少女VR動画を作成し、それにアラーム音とナースコールのいかにも忙しいICUっぽい音をつけてしまった。

▶️再生は⬇️

色々、言語化できない思いを、このような非行で発散する必要がある時期なのだろう。

医療関係者の方がもしこれを読んでいたら、この動画は見ない方が平静を保てるかもしれない。

最後に、実際に倒れている方に遭遇した時にどうすれば良いかを丁寧に教える消防局のビデオを載せる。あなたの迅速な行動が、命を救う。しかし、自分の身を危険に晒すのは厳禁❗️まずは、自分の安全を確保した上で、目の前の命を助けることに全力を注いでください。

注釈:DCショックは、VFやVTなどのショックで心拍が再開する可能性があるものの場合、初回はアドレナリン(エピネフリン)を入れずに実施する。それでも心拍再開に至らなければ、アドレナリン投与後にDCショック。三回目のショックの前にはアドレナリン+アミオダロン、それを繰り返しても蘇生に至らなければ、リドカインやアトロピンと投薬が変更されて蘇生が続けられる場合もある。プロトコルは適宜改訂され、国によっても多少の差がある場合がある。その点は御留意いただきたい。医療現場での判断は、ここでの情報に限らず、最新のプロトコル、院内での指導やルールを含めた幅広い情報をもとにされるだろう。

今回は、ICUに到着以前に循環停止しており、VTという直接DCショックをかけられる状態。アトロピン投与以前に最低4回はDCショックをかけている。アトロピンを3回投与した時点で、最低7回はDCショックを受けていることになる。
注釈(続):一般的に、心肺蘇生を開始してから30分が一つの目安とされてます。とはいえ、患者さんの年齢や病歴を含めた様々な背景が現場での判断に関係します。ご質問がある場合には、蘇生を担当した医師や主治医にご相談ください。

突然の心肺停止の原因には、治療可能な遺伝疾患も含まれます。病理解剖は、患者さんのご病気や合併症の解明のみに留まらず、ご家族に遺伝する疾患の有無や類似した疾患の方々の治療にも結びつく場合があります。もし、解剖の話しが出た場合には、固定概念を一度保留し、主治医の先生や解剖についてお話しされた先生にもう少し詳しい話を聞いてから、気持ちが落ち着いた時にご決断されると良いかもしれません。

ぜひサポートよろしくお願いします。 ・治療費 ・学費 等 に使用し、より良い未来の構築に全力で取り組みます。