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「働く幸せとは何か」という問い

石川貴也 / 側島製罐(株)

今回は2021年の総括記事です。

2021年もあっという間に終わってしまいました。予定では2年目にはインフラ整備を完全に終わらせて3年目はいよいよ代表者交代に向けての準備期間と思っていましたが、一朝一夕にはいかずというところです。

とはいえ、今年も去年以上に挑戦を続けてきました。艱難辛苦の日々も振り返ってみれば良い思い出で、会社も自分も一年前と比べたら大きく変わることができたと思っています。

今回は総括記事としつつも、タイトルの通り「幸せに働くとはどういうことなのか」というところに焦点を当てながら書いていきたいと思います。

今年一年で僕らが挑戦したこと

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約一年前の2021年1月4日、全社会議を開いたところから今年は始まりました。5時間かけて全社員に対して「自分たち本当にこのままでいいの?」という問いかけをした会議です。

自分たちとはいったい何者なのか、何のために働いているのか、というところから始めた今年は、MVV策定をはじめ抜本的な改革を進めることになりました。去年同様、実現したことを箇条書きにまとめてみます。

2021年1月~2021年12月でやったこと

【全体】
・Google Workspace導入
MVV策定
・コーポレートロゴのリニューアル
・MVVの策定
・全デスクにデュアルディスプレイ導入
・Slackに社内Twitter、MVVシェアのチャンネルを開設
・コーポレートHPリニューアル(途中)

【人事総務経理】
ビズリーチ社を活用したプロフェッショナル人材を含む採用×5
・クラウド会計導入
・クラウド勤怠導入
・クラウド経費導入

【製造部門】
・5Sプロジェクトの始動
・安全ルール策定プロジェクト始動
・毎月勉強会の開催
・QC資格取得推進
・玉掛け、天井クレーン講習受講推進
・全体朝礼&MVV輪番スピーチの導入

【営業部門】
・新商品開発×3
・パンフレットの更新
・朝礼&MVV輪番スピーチの導入

【配送部門】
・朝礼&輪番MVVスピーチの導入
・配送予定表の電子化(途中)

【広報・その他】
・メディア掲載(ラジオ×1、ウェブメディア×15、新聞×2、その他×3)
Twitterフォロワー増加(2350人→4800人)
Twitter公式アカウント開始(0人→602人)
・Twitterトレンド掲載
・ギフトショーへの出展
愛知Twitter会の着地型観光イベントの参加
・パネラー登壇×4
通販サイト開設

去年と比べると項目数自体は少なくなっています。去年はインフラ整備を中心に主に電子化など割と粒度の小さなものが多かったですが、今年は大変パワーが必要な改革が中心となりました。特に大変だったのは①MVV策定②プロフェッショナル人材の採用の2つです。この2つは別記事にもまとめていますので詳細は割愛。


「幸せに働く」とはどういうことか

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今年は会社のMVV策定をするにあたって、改めて「生き方」について大いに考えさせられる年になりました。会社の存在意義という根源的な問いに対しては「世界にcanを」という一つの解を出したわけですが、その過程で自分も含めたメンバーの幸せがどうあるべきか、という点は深く考えさせられました。

そもそも、今の時代は”労働”が日銭を稼ぐための唯一の手段ではなくなっています。投資で当ててFIREするのも良し、会社ではぶら下がって余暇で趣味に没頭するのも良し、という世界では、「働く」ということ自体が搾取的で悪と認識されがちです。しかし、そんな時代でも自分は「幸せに働く」ということを改めて追求していきたいと考えるようになりました。

ここで改めて「幸せに働く」という定義について考えてみたいと思います。自分が定義する幸せとは、腰掛作業定時退社年収1000万、のような労働を”悪”であると前提したものではなく、大義を掲げ、自らの能力を高めて小さな夢を一つずつ叶えていき、結果として自分も社会も幸せになる、という金銭的な対価だけに依存しないミッションドリブン的なものです。

これは決して今はやりのパーパス経営、デザイン経営を目指してこのような方針にしたわけではありません。弊社は残念ながら、大量生産大量消費の時代の成功体験を引きずり続けてしまった会社でした。理念や社是もなく自己治癒をする力学が働かないまま走り続けた結果、あらゆる箇所に大きな病巣を抱え、気付けば現状維持すらままならない緊急オペが必要な状態になっていました。昨年はその応急処置として細々としたパッチワークを施したわけですが、今年は根治に向けて自分たちの存在意義からやり直すこととなりました。それが冒頭の全社会議であり、その結果としての最適解でMVV策定に繋がるわけです。

弊社でも、MVV策定前は「なんで給料あがらないんだろうな」「仕事辛くて嫌だ」「うちの会社にやりがいなんてない」「給料上げてくれないなら会社辞める」という声を聴くことも多々ありました。しかし、MVVを策定する過程で自分たちの存在意義を見つめなおしたことで、金銭的な価値だけに依存しない幸福というものの解像度を上げていくことができたのではないかと考えています。世界に対して当事者意識を持ち、より良い世界を作っていくという自己超越欲求を満たすことを通じて幸せになり、自分自身もその恩恵にあずかる、というのが幸福のエコシステムであり、その過程の挑戦・挫折・成功といった体験を通じて個人としても豊かな人生を築くことが「幸せに働く」に繋がります。そんな理想論ばかり言って、と苦言を呈されることもありますが、そもそも、社員がやりがいをもって生き生きと働いていない会社からは、血の通った人の心を動かすモノは生まれない、という正論的な観点から見ても、幸せに働くことを追求するのは極めて合理的なはずです。

ただし、ここで間違えてはいけないのは、結果としては利益を出して所得が増えていかなければいけない、ということです。みんなで一生懸命働いた結果、やりがいはあるけど待遇は変わらない、というのはただの仲良しクラブでありやりがい搾取です。ミッションの実現に向けて全員が挑戦を続けるというのは当然前提にはなりますが、星の数ほどある選択肢の中から価値ある仕事を選び抜いて実行し続けるのはMVVを基礎としたイデオロギーの役割であり、幸せとスタッフの成長、そしてそれに伴う待遇の向上は全てセットであるべきだと認識しています。

一年間で起きた会社の変化

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さて、弊社で今年起こったことの話に戻ってみます。
改革も2年目、年初に根本的な問いを投げかけたりということもあり、今年は去年と違ってネガティブな発言や陰口が起きることもほとんどなく、基本的には前を向いてベイビーステップを重ねていくフェーズとなりました。

昨年
問題提起  …TD
解決方法検討…TD
解決方法実行…TD

今年

問題提起  …BU&TD
解決方法検討…BU&TD
解決方法実行…TD

※TD=トップダウン BU=ボトムアップ

2020年までは、問題があっても愚痴を言ってガス抜きして流すに留まり、関係者全体で問題が共有され解決策が提案されたり議論されたりすることは一度も無く、実行まで自走して辿り着くことはほぼありませんでした。
しかし、今年2021年は大きく変わり、スタッフが自ら問題をシェアし、それをみんなで解決していこうよ、と自律自走の一歩を踏み出すようになりました。

ここで大きく寄与しているのはやはりMVVだと思っています。

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弊社はこのValuesを作って会社での共通の価値観と示したことで、それぞれが自分の想いを発信しやすくなったと認識しています。実際に弊社のMVV策定を経て大きな行動変容を遂げているスタッフたちに話を聞いてみると「仕事がしやすくなった」「意見が言えるようになった」「上司や部下という関係なく話せるようになった」「おかしいと思うことをはっきり言えるようになった」という意見が多く聞かれました。

経営者側になると忘れてしまいがちですが、どれだけ小さな会社であったとしてもイチ社員の立場からすると経営者や上司には生殺与奪の権利を握られているという潜在的な意識があるのが一般的であり、「上司に嫌われないように行動しよう」「余計なことはしないようにしよう」という考えが先行してしまうものです。しかしながら、「上司の言うことに従う」というのは基準が極めて属人的で不安定であり、何を基準に行動すればよいかが明確でない環境下では幸せ以前に自分の意志でやりがいをもって働くことは困難です。そういった前提も取り払わない中で「社員が自発的に行動しない」「あれこれやっているけど意見が出ない」という無理無体な議論は的外れだと思うくらいです。経営者がプリビレッジを無意識に振りかざしてファジーな基準で物事を判断していくというのは結局トップダウンの域を出ず、やりがいという内発的なものと相反する性質のものであると言うのが持論です。

ポジショントークにはなりますが、会社として明確な価値観を定めた弊社においては、その価値観に合えば自分の考えを発信したりや行動してもよい、とValuesが印籠的な役割を果たし、自発的な行動発言が本当に増えたと思っています。これはスタッフが自力で幸せへの第一歩を踏み出したといっても過言ではないと思っていますし、このMVVを基礎として自律自走する組織づくりという観点からは今年の挑戦は大成功だったのではないかと自負しています。また、価値観を変えるプロセスは過去の自分を否定することにもなり一般的にはかなり受け入れ難いものがあると思うのですが、未来のことだけをみつめてここまで一緒に頑張ってくれたスタッフにはこれ以上にないくらい感謝していますし、自分は本当に恵まれてるなと思います。

幸せを追求する会社には同志が集まってくる

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一年間を振り返ってみて、今年は非常に多く方に手を差し伸べていただいたと思っています。まず、弊社、自分と今年関わっていただいた皆様には心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

今年もまだ業績はV字回復というわけにはいかず、大きな結果が出ないままで力不足を痛感している2年目ではありましたが、展示会に出させていただいたり、プロ人材を採用したり、MVVを社内全体を巻き込んで策定したりと一定の成果は上げることができました。その大きな要因は、人や社会の幸せを追求し続ける、という当事者意識の強さとメッセージの発信が起点となっていると考えています。

今年実現したことというのは、自分だけの力では絶対に成し遂げられなかったものでした。どれだけかっこ悪く不格好でも、それを隠さずオープンにして高い熱量をもって努力を続けていて、その想いを掬い上げてくれる人たちがいました。畑違いのところから転職して2年足らずでスキルも力量もない自分がここまでこれたのは、そんな想いに共感して手を差し伸べてくれた社内外の人たちのおかげだったと思います。

「労働は悪」「会社は搾取されるところ」という話がバズる今の世の中ではありますが、自分は世の中そんな人ばかりではないはずだと信じています。自らが価値の作り手となり、本気で世界を良くしようと信じて行動していれば、世の中をもっと良くしていこうと考えている同志が集まってきてくれます。

改めて一つの結論として、「働く幸せとは何か」という問いに対する自分なりのひとつの答えは、”同じ想いを持つ人たちと共により良い世界を作っていくこと”です。テレビのニュースにどれだけ憤っても、自分の処遇に愚痴をこぼしても、何も変わりません。僕らが生きている世界は、僕らにしか変えられません。どうせ一回きりの人生なんだったら、自分が世界に対して何ができるのか、自らの価値を問い続け、変わり続けることが、振り返って後悔のない人生なのではないかと思います。

最後に、このnoteを最後まで読んでくださった同士の皆様へ。僕らの手で、世界をもっともっと良くしていきましょう。来年はさらに、良い年になりますように。

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石川貴也 / 側島製罐(株)
創業116年の製缶メーカーの6代目(予定)35歳|日本政策金融公庫→内閣官房→缶屋|ミッションは”世界にcanを”|