流謫社

架空の出版社です。一人です。 (矢野南/lutaku 他) 詩や音楽など 長めの闘病生…

流謫社

架空の出版社です。一人です。 (矢野南/lutaku 他) 詩や音楽など 長めの闘病生活者

マガジン

  • 日記(closed)

    他人に見せる気が全くない日記。富豪がいたら買ってください。暇つぶしにはなると思います。

  • 昼夜の手記

    手記三部作完結編 第一部:病室の手記(https://note.com/lutaku/n/n3822b5ddddce) 第二部:喫茶店の手記(https://note.com/lutaku/n/n543c1d3c9c4d)

  • 詩2

    詩の連載 その2 前作は詩集にまとめました https://note.com/lutaku/m/m23cb92551249

  • 詩のまとめです。いつか紙の本にしたい。 この連載は第二詩集になりました。 https://note.com/lutaku/n/naac58b14fe3d

  • 逗子巡礼 五十詩五十景

    神奈川県逗子市の五十町丁を歩き、詩を書きます。モノクロ写真付きです。(連載休止中 2024年5月現在)

記事一覧

【掌編】凌霄花

 詩を書く者、朝此処に居る。  帰路にて北東へ橋を越える時、再び大木の影が水面に靡く、穏やかな流れを見て立ち止まったのだ。橋上から海は見えない。此処には海へ続く…

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15時間前

2024年8月14日水曜日

100〜
流謫社
15時間前

2024年8月13日火曜日

100〜
流謫社
1日前

2024年8月12日月曜日

100〜
流謫社
3日前

2024年8月10日土曜日

100〜
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4日前

2024年8月9日金曜日

100〜
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5日前

【掌編】清水橋

 清水橋を越えるとぴかぴかの立体駐車場がある。夏の日差しは田越川を静かに際立たせている。干潮に現れる岩に凛々しく立つ鳥、熱を上げた橋上で人はそれを見つめていた。…

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5日前

2024年8月8日木曜日

100〜
流謫社
6日前

2024年8月7日水曜日

100〜
流謫社
7日前

2024年8月5日月曜日

100〜
流謫社
9日前

昼夜の手記(5)

昼夜の手記 (1) 5  万策尽きて夜景は静かだ。過ぎ去っていく割り増しのタクシーを目で追ってみる。散歩では誰とも目が合わない。やっぱり今日だって何もないよ。裸…

流謫社
10日前

2024年8月3日土曜日

100〜
流謫社
11日前

昼夜の手記(4)

昼夜の手記 (1) 4  とある雑居ビルが目についたら、僕はいつも一本の中指を震わせながら目をカッと開いて見せる。君への捨て台詞はこれまで僕が生きてきた中で最も…

流謫社
11日前

【詩】夏

夏 夏風邪が止まぬ夕立ちを越えて居た 木の葉が揺れていた 一人きり夏の駅前で 高層ビルに囲まれた 日陰の中で一人きり ここから早く出たい ここからここから だからこ…

流謫社
12日前

昼夜の手記(3)

昼夜の手記 (1) 3  おおヴァイヴのようにち切れていく音波、深い雲の隙間から出てくる夕陽だ。おおダーリン、君は湿度計さ。僕は咳き込みそうになりかけて慎重に深…

流謫社
12日前

2024年8月2日金曜日

100〜
流謫社
12日前
【掌編】凌霄花

【掌編】凌霄花

 詩を書く者、朝此処に居る。
 帰路にて北東へ橋を越える時、再び大木の影が水面に靡く、穏やかな流れを見て立ち止まったのだ。橋上から海は見えない。此処には海へ続く川があるだけだ。名を久木川という。袂に咲く花の名を、彼は小さな図鑑で調べていた。田舎で作ったママレイド・ジャム-jammesのような色だ。目を閉じ彼は墓-tombeauに成っていた。
 
 絵を描く者、昼間此処に居る。
 海へ向かう人々の手

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【掌編】清水橋

【掌編】清水橋

 清水橋を越えるとぴかぴかの立体駐車場がある。夏の日差しは田越川を静かに際立たせている。干潮に現れる岩に凛々しく立つ鳥、熱を上げた橋上で人はそれを見つめていた。私が見たその後ろ姿には虚しさが重たくのしかかっているようだった。電車に纏わる音や、人々の声は、昼間の方が幾らか穏やかな息づかいに思えるのだ。
 昔、この場所には交番があり、こぢんまりとしていた。駐車場は瓦礫にも見えるおんぼろの壁がその歴史を

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昼夜の手記(5)

昼夜の手記

(1)



 万策尽きて夜景は静かだ。過ぎ去っていく割り増しのタクシーを目で追ってみる。散歩では誰とも目が合わない。やっぱり今日だって何もないよ。裸眼で病院の看板を捉えると乳母車からの風景が去来した。西洋風の建築はあの頃、まだこの町に似合わなかった。それどころか浮いていた。低い視線で虫たちはよく見えた。それに比べて雲の上をどうやって見れば良いのか僕には理解できずにいた。だから蝶や

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昼夜の手記(4)

昼夜の手記

(1)



 とある雑居ビルが目についたら、僕はいつも一本の中指を震わせながら目をカッと開いて見せる。君への捨て台詞はこれまで僕が生きてきた中で最も酷い罵倒であったのだと思う。人は筋肉の緊張が極限にまで達した時にこんな正しい怪物を纏うことができるのかと驚いたほどだ。過呼吸も神経痛も、君への”理不尽な誹謗中傷”による、君からの怨念だろうか。君は症状をよく知っていたのかもしれないが、

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【詩】夏



夏風邪が止まぬ夕立ちを越えて居た

木の葉が揺れていた
一人きり夏の駅前で
高層ビルに囲まれた
日陰の中で一人きり

ここから早く出たい
ここからここから
だからここから出て
でもこれからだ

2024/8/2 駅前で

作:矢野南

昼夜の手記(3)

昼夜の手記

(1)



 おおヴァイヴのようにち切れていく音波、深い雲の隙間から出てくる夕陽だ。おおダーリン、君は湿度計さ。僕は咳き込みそうになりかけて慎重に深呼吸をした。もっとも。立ちのぼる蜃気楼をだった。もう現れないショー。共に自閉しよう。どこか夜空の上で一人、呼びかけられる音はまだ続いている。視覚動物のプライドが自閉する。盲目で君の沈黙を知ろう。瞼へ。脊髄を止めたい。僕より。果たして主

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