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一期一会

ずっと、一期一会が苦手だった。

昔から、寂しさという感情が怖かったから。
孤独とは全く違う、寂しさが苦手だった。

孤独は、時には、自ら選ぶこともあるし、
それによって、成長もする。
本当に孤独が嫌だったら、
頑張って、人に頼ることも出来る。

でも、寂しさは、
別れと共に感じるものだから。

幸福で満たされた後にくるものだから。

大好きな人たちに、環境に、
また次は、いつ会えるのかわからない、
もう二度と会えないかも知れない
恐怖でもあるから。

人には手の及ばない、
時の流れの一部という
抵抗のできないものだから。

小さい時から、
目の前から人が手を振っていなくなる事が
嫌で、嫌で堪らなかった。

心がぎゅっと、
締め付けられて、とても悲しくて。

この感覚に慣れることは、
今でも出来てないのだけれども。

だから、変化しないことが
一番幸せだと、ずっとそう思っていた。

変わらなければ、
ずっと、ずっと大好きのままでいれるから。


でも、地球は常に変化していて、
その一瞬、一瞬に美が存在している。

島も動いていて、躍動していて。

地熱活動とか、生命活動には
変化、一期一会、集散離合が不可欠で。

集散離合をするから、
新しい感動を見つけれて。

私の中に眠っている、
まだ見つけたことのない、
未だに感じたことのない感情を
新たに、発見することが出来て。

そして、新しい大切な人もまた、
一人、一人と増えてくれる。


変化がなければ、
美の探究も出来なくなる。

自然界が変化しなければ、
完璧なる四季も訪れない。

春に小鳥のさえずる、
美しい音色を聞くことも。

夏の眩しい太陽に、
目をしぼますことも。

金木犀の香りを、
見つけたときの喜びも。

雪の結晶には、同じ形がないのだと
自然の不思議に
感動することもなくなってしまう。

太陽と月の巡りも消えて、

流動する雲を見上げて黄昏ることも、

通りすがりの
無邪気な子供の笑顔に癒されることも、

日常の些細な人の親切に
救われることもなくなってしまう。


でも、日常の些細なことが
私にとって、とても大切だからこそ。

だからこそ、
もう二度会えないなんて、とても寂しくて、
ずっと関わり合っていたくて。

だから、一期一会に耐えらなかった。


私は、感動することが、大好きで。
心が躍動する感覚、期待とか。
人の心が動く瞬間も、本当に美しくて。

ずっと、感動を探し求めて
生きていきたいと本気で思っている。

でも、だからきっと寂しさは、
感動の副作用で。

仕方がないのだと、心で受け止めよう。

そして、もし、
もう二度と会えないのなら、

永久に、幸せであれと、
魂の底から、ちゃんと願える人になろう。

一瞬の完璧な儚さに、
美しさを、強さを、生命の存在意義を
感じられる人になろう。

さよならの瞬間に
強く願うことが出来れば、

その波動で、人の人生に何か素敵な
奇跡を起こせるかも知れない。

たくさんの人が、
一人の人の為を想ったら、
その人の人生をより素晴らしく、美しく、
より完璧に出来るかも知れない。

私はその中の一人になりたくて。

だから、一期一会の寂しさを受け止めて
儚い瞬間に永久の美を、
見つけて生きていこう。






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