見出し画像

「鶴の舞い」詩

「一緒に 折り紙する?」

母の 春めいた声に 縁側の
ピンクのゼラニウムも うなづき
籠の 黄色いインコがさえずる。

「もっと折って」とせがめば
たちまち 縁側に
鶴の学校が 出来あがる。

素早く 折り目をつけ
ぷーっと 膨らます。
まるで 精緻な機械を見るようだ。

母さんの指先は 規則的に 動き
細い手の爪は 象牙色に 光る。

色とりどりの鶴は 自分が
一番スマートよと
どれも すまし顔。

オレンジ色の 翼を 
大きく広げた 鶴は
すぐにも お日様めがけて
飛び立ちそう。

「いくつ 折れたかしら?」
「うーん すごく たくさん」
僕はまだ 10までしか 数えられない。

二階の ベランダから 鶴を飛ばす。
鶴は シャボン玉のように
ペールブルーの空に
風のマントに乗り 羽ばたき
やがて 回転しながら 落ちてゆく。

枝の百舌鳥は 驚いてキョンキョン鳴き
犬は走り回って 鶴を 追いかける。 

今 一人で 鶴を折れば
[坊や 下手ねェ]と
空から 声がする。 

#ポエム #詩 #詩人 #エッセイ #小説 #自由詩 #現代詩 #やさしさを感じた言葉
#オリジナル #詩のようなもの #スキしてみて #短編小説 #創作
#母さん   #父さん #フォトアルバム #涙 #私の作品の紹介
#立山  剣 

 


この記事が参加している募集

#スキしてみて

527,588件

よろしければサポートお願いいたします。いただいたサポートはクリエーターとしての活動費、制作費に使わせていただきます