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フィクションラーニングとは?アニメ、漫画の好奇心を学びに活かす方法

アニメ、漫画、ゲームの娯楽物って面白いです。生理的欲求の睡眠欲、食欲を超えたりして、無理して楽しんでしまうときが多々あります。

当たり前ですが、娯楽物を嗜むときは好奇心からスタートするかと思います。「友達が推奨してくれた」、「PVが面白かった」、「レビューが気になる」など、色々な理由があり、アニメを見てみよう、漫画を自ら読んでみようと思うはずです。

私は、この「娯楽物への好奇心」を学びに活かせないかな?とずっと考えてました。

そこで考えたのがアニメから生き方、ビジネススキルを学ぶ「フィクションラーニング」という手法です。この方法により、娯楽物を生きるための実践的な知識・知恵に昇華させることが可能です。今回は、そのコツを書いていきたいと思います。

1:普通にアニメ、漫画を見ているだけでは勉強にするのが難しい

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アニメ、漫画から何かを学ぶということは基本的に難しいです。漫画×学びで代表的な作品として「ワンピース」が挙げられると思います。Amazonで「ワンピース、学び」と調べてみると

・『ONE PIECE』に学ぶ最強ビジネスチームの作り方
・ワンピースのキャラに学ぶ「 魅力的な人」になる心理テクニック
・『ワンピース』に学ぶ仕事術
・『ワンピース』に学ぶ就職活動
・ワンピースに学ぶ反日問題

すげぇ。ワンピースでどこまでも学べます。就活から反日問題まで網羅できる。義務教育の教科書はワンピースで良いのではないか?と思うぐらいです。

上記のような書籍があるので、娯楽物は学びになると最初に思いました。しかし、実際にワンピースを読んでいると愉悦・恍惚感に浸ることが多く、学習という観点で読もうとすると没頭感が減ってしまい、純粋に作品を楽しめませんでした。

これは当たり前であり、ワンピースは「エンタメ作品」です。現実世界では、大航海時代ではなくGAFAの時代。情報伝達手段は、電伝虫ではなく、スマートフォン。

このように、フィクションの漫画、アニメでは環境が違いすぎて、普通に学びとして落とし込もうとすると、現実との乖離で上手く実践できないケースが多いのです。つまり、ワンピースを普通に楽しんでいるだけでは、就職活動も反日問題への理解促進も上手くいきません。

ただ、例外として学問を「漫画で学ぼう」シリーズがあります。あれは、逆に、ある程度の現実世界に当てはめて書くので、エンタメ要素を盛り込むことができない。また、学びを第一目的とするので、主題を逸らさないために意外性も生まれません。つまり、理解はしやすいし学びにはなりますが、エンタメとしては面白くないのです。あのアニメ・漫画を見るとき、特有の没頭感が無くなってしまいます。

ここまで踏まえた上で、エンタメ、私たちが普段から慣れしたんでいるアニメ・漫画への「好奇心」を殺さずに学びに変えるとはどのようなことなのでしょうか。

2:娯楽物という「カクテル」の原料を、まずは知ること

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先ほどのワンピース×学びの書籍ですが、ある特徴があります。ほとんどの書籍が心理学、経営学などの学術的な観点で説明をした後に、ワンピースのキャラクター、場面で照らし合わせていきます。まず現実世界の学術的な知識が無いと、フィクションとの乖離を埋めることができません。

そこで、まず何でも良いのでビジネス書、心理学、社会学、経営学、民俗学等の「入門書」を「軽く」インプットすることです。まずは「知識の引き出し」を作ることが最初です。

学問は、生涯研究し長い年月をかけ練られてきた現実世界の知恵の結晶です。アニメ、漫画は著者が色々な学問・経験から着想して、エンタメに昇華します。そのエンタメにする段階で、無駄な部分は省かれ、魅力的なキャラクター、ストーリーが添加された状態で世に出されます。これは漫画家の人から聞いた話です。

そのため、まずは上流の知識部分(ネタ)を可能な限りインプットする。これを、私は、お酒の「カクテル」で例えています。お酒の原液部分だけだと、すぐに酔ってしまい、長く楽しめない。下手したら記憶すら無くなります。この感覚は、難解で専門的な学術書を読む感覚と似ていませんか? 無理して、読んでもすぐに脳がパンクしてしまいます。

そこで、割りものである水、トニックウォーター、ジュースなどで薄め、飲みやすく、美味しくしていきます。つまり、学問は「お酒の原液」、娯楽物は「カクテル」と例えられます。

フィクションラーニングのコンセプトは、このカクテルを純粋に楽しみ、お酒の原液部分を追々理解していくところにあります。まずは、甘く飲みやすいお酒から。大学生がカシス系から飲み始める感覚と似ています。

そのため、最初のインプット、お酒の原液部分である学問の勉強は、完全に理解、落とし込みまでする必要はありません。何を書いてるか把握するだけでOK。つまり、本の目次と太字を理解するレベルで良いのです。理由に関しては次項に記載して参ります。

なんとなく理解している。でも人に上手く説明できない。このぐらいがフィクションラーニングの最初の段階では丁度良いです。

さて、ここまでで「知識の引き出し」は作成できたとします。目次、太字を理解するレベルで良いので、無理しないでインプット可能な点が魅力の一つです。


3:好奇心相互作用を起こす「フィクションラーニング」の理論



その後には、娯楽物というカクテルを純粋に楽しんでいきます。難しくありません。普通にアニメ、漫画を気楽に見るだけです。

ここでは学びを得ようとしなくて大丈夫です。純粋に没頭してみてください。初見のアニメ、漫画であれば新しいカクテルを飲んでいるが如く、もう一度見る場合は、親しみのある知った味を楽しむ感じです。

そして、その後がフィクションラーニングまで昇華させるポイントです。「楽しかった」で終わりにせずに、余韻に浸ります。キャラクターの印象、自分がストーリーで引き込まれたポイントは何だろうと考えていくのです。

ここで先ほどの原液である知識部分が役に立ちます。

「そういえば、このキャラクターの考え方は哲学者のXに似ているな」
「なぜ惹き込まれる話し方なのだろう。コーチングの技術的な観点ではどうなのだろう」

このような疑問から、娯楽物と学問を往復し、学習を加速させていきます。簡単に書くと、これがフィクションラーニングです。そして、この方法は「好奇心相互作用」を起こす方法でもあります。

では、今からフィクションラーニングのテーマである「好奇心」の仕組みについて書いていきます。

では、「好奇心」とは、そもそも何でしょうか。

好奇心とは、一般的に何も知らない事柄に対して湧き起こる心理であるかのように誤解されます。しかし、ドイツの哲学者であるルードヴィヒ・フォイエルバッハは次のように述べています。

「人は自分が知る手だてのあることしか知りたがらない。その限界の外にあるものは何であれ、その人物にとっては存在しないも同然だ。したがって、それが関心や願望の対象になることはあり得ない」

つまり、何も知らないことについて頭を働かせることは、そもそも興味がないので難しいということです。また逆もしかりで、知りすぎていることにも好奇心は湧きません。例えば、友人との会話で、ある漫画が「面白いよ」の一言だけで紹介してきたとします。その作品について、全く知識が無ければ読みたいという気持ちは湧かず、また、全て読んで完全に理解していた場合でも作品を再度読もうという好奇心は起こりません。

つまり、少しだけ知っていることが、好奇心に火をつけるのです。

ここで先ほどのフィクションラーニングの方法を整理しましょう。

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つまり、最初に軽い理解に留めておいた学問知識が、アニメ、漫画という娯楽物をヒントとし、完全な理解を求めて好奇心が沸き立つのです。

更に好奇心を細分化していきます。

拡散的好奇心:目新しいもの全てに惹きつけられる
知的好奇心:知識と理解を深めたいという意欲
共感的好奇心:他者の考えや感情を知りたいという意欲

上記のように3パターンに分類されるのが、心理学的観点からの好奇心です。まずは、目新しいものに引き付けられる拡散的好奇心の後に、知的好奇心、共感的好奇心と続いていきます。

フィクションラーニングの考え方で上記の好奇心を当てはめていくと

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まずは、アニメ、漫画という自分の知らない世界であるフィクションを楽しみたい、知りたいという「拡散的欲求」からスタートします。その後に、最初に学んでおいた理解不足の学問知識を結び付けようとする「知的好奇心」、そして、作中の好きなキャラクター、また物語を知りたいという「共感的好奇心」が生じていきます。

学びの部分では「知的好奇心」、「共感的好奇心」が落とし込みの原動力部分に該当します。そしてこの2つはフィクションラーニングで相互作用していきます。

・キャラクターを知るためには心理学を深めたほうが楽しめる。
・物語を理解するためには経営学を知っておくと観点が増える。

上記のように「共感的好奇心」から「知的好奇心」へ上手く連動していきます。

このように、フィクションラーニングは、娯楽物への拡散的好奇心を引き金とし、知的好奇心、共感的好奇心を利用して「好奇心相互作用」を起こしていく楽しい学びの方法なのです。

そして、今の社会では、大抵の人が「娯楽物」に触れている、また嗜んでいる可能性が高いです。そのため「人に話す」というアウトプットが行いやすいことも魅力の一つです。いきなり、心理学や経営学を人に話すより受け入れられやすく、作品もより魅力的に伝えることもできます。

他にも色々な観点、具体的方法があるのですが、今回はまずコツからということで書かせていただきました。

最後に整理すると、手法は至って簡単で

①まずは、アニメ、漫画を学ぶための専門知識を軽く身に着ける。ここでは完全に理解しなくて良い。
→娯楽物をテーマとしやすい心理学、社会学あたりがまずはオススメです。もちろん様々な学問の触りだけでも理解しておけば観点が増えるので広く浅くが良い手法です。
②アニメ、漫画を純粋に楽しむ。
③好きなアニメ、漫画を①の知識と紐づける。また、純粋に作品を知りたいと追求していく。

この3ステップのみです。②→③だけではフィクションから学ぶことになるため、環境の前提条件が現実と違いすぎて、実践的な学びには昇華できません。また、①を行うことによって、作品を通して①の知識を深めたい欲求も、好奇心を沸き立たせる感情として利用できます。

休日に、真面目に専門書を読もうとして、アニメ、漫画を見てしまったという人には特にオススメで、私もこの方法を実践しています。詳しくは私の過去記事など見ていただけると雰囲気がつかめると思うので参考にしてみてください。


参考書籍

・子どもは40000回質問する~あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力~ 著者:イアン・レズリー、 須川 綾子

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