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【経営メモ】社内ルールをシンプルにして、社員を自由にする。日本版No rules rulesはworkしないか?

1.NETFLIXに見る、承認業務の簡素化


NETFLIXが他の競合よりも優れた業績を上げている理由を探った
本がある。

本のタイトルは、「No Rules Rules」

No Rules Rules

「ルールを設けないルール」がNETFLIXのユニークなやり方であり、エクセレントなビジネス パフォーマンスをだしえている根源の1つとしている。

具体的にいうと、NETFLIXは社内ルール、業務ルールに関して試行錯誤をしながらも、どんどんルールを撤廃、もしくはとてもシンプルな物に替えているのである。

「優秀で常識のある社員は、たいがいのことは細かくルール化しなくても、適宜、会社のビジネスに貢献する方向で判断できる。」
という信念のもと、こうしたルールが社員のやる気を失くさせ、仕事へのモーメンタムを阻害するというのがNETFLIX経営陣の考え方である。


これは、山口周著の「ニュータイプ」に書かれている、
「これからの時代は、「ルールに従うのでなく、自らの道徳観に従う」
とも符合する。

NETFLIXで具体的に撤廃されたとする主なルールの一覧が以下になる。

・休暇規定
・意思決定の承認
・出張規定
・承認プロセス
・KPI(重要業績評価指標)
・MBO(目標管理制度)
・合意形成による意思決定
・成果報酬型ボーナス

出典 : No Rules Rules

意思決定の承認、承認プロセス、KPI、MBO等のルールがないというのはちょっと想像ができないところである。
休暇規定、出張規定がないというのは、イメージできるが、実際にどうワークするのかはやはり疑問は残る。

本書によると、出張規定や、会社の備品を購入するなどの経費使用に関しては、シンプルなルールが1つだけ設定されていた。
それは、
「会社のお金は自分のお金のように使う」
というもの。

すると、派手に自分のお金を使っているスタッフが、同じ勢いで会社の経費を使い過ぎたことから、今は、
「ネットフリックスの利益を最優先に行動する」
に改められたということである。

2.日本の会社における承認業務の簡素化


ここまでドラスティックする必要はないが、日本の会社でも社内ルールや社内承認、申請手続きの簡素化には、大いに取り組めばよいと思う。
そうすることにより、

  • 申請、承認業務にかかるリソースを削減できる。

  • 社員が管理されているという閉塞感を解放することができる。

まず、簡単に効果を出せるのが、承認、申請書のたぐいを全てデジタルに移行することである。こうすることにより、

  • 申請書がオフィスを巡回する時間を大幅に減らせる。

  • 決裁者以外の情報シェア目的の人には、CCでシェア。決裁者レイヤーを薄くできる。

  • 決済や申請の案件別件数や、それが完了するまでのリードタイムなどを簡単にモニターできる。これが、次の改善策の手を打つのに役立つ。

更には、以下の項目も検討してみるに値する

  • 申請書に載っている決裁者の数を大幅に減らす。情報を知る必要がある人にはCCでシェアする。

  • 経費を使うのに、基本、事前申請は不要とする。(若しくは、5万円の出費まで事前申請不用等)

  • 給与体系を年俸制にして、残業時間の管理をしなくても済むようにする。

中小企業で、社員数が100名以下程度の部隊であれば、社員の顔は全員分かるので、ルールをどんどん簡素化する。そして、ルールに当てはまらず、判断が分からないケースは、社長と管理部長でその都度判断。そうした判断記録を、社員がだれでも見られるように社内サーバーに上げておけばよい。

欧米では、社員がcorporateのクレジットカードを使用するケースが多く、出張費や経費の使用記録はデジタル化され、そこに申請者がKey boardで簡単な使用理由を追記。上長がそれをapproveという具合に、シンプルな清算プロセスが一般的である。

更に、私が働いていた会社では、各人の使用履歴を社内でオープンにしていた。

3.自由と責任の重さ


最後に、経費関連のルールやプロセスを簡素化すれば、悪さをする社員がでるのではという懸念についてである。
それは、必ず出てくる。
悪さをする社員をゼロにするよりも、全社員に関わる効率を上げる方が圧倒的に優先事項なので、コンプライアンスが起こるのは仕方がない、と捉えるべきである。

そして、コンプライアンスが起こったときの対処の仕方がより重要となる。
自由と責任は背中合わせということを、社員に予めよくシェアしておくこと。
そして、プロセスの簡素化を利用して、悪事を働く人が出た場合は迷わず処罰(場合により解雇)をするというのが、このオペレーションのキモとなる。

コンプラインスが起きたからといって、間違っても承認手続きや清算手続きを元の複雑なものに、絶対戻してはいけない。

悪事を働いたのが、筋の悪い社員のケースはあまり問題にならない。
そういう社員は経費ルールをより厳しくしたところで、いずれは、ルールを破り、会社に害を与える可能性が大きい。

シンプルな経費管理にして、こういう社員の悪事がみつかるというのは、会社にとっても悪いことではない。
不正内容をしっかりと確認して、厳正に処罰を行えばよい。

注意が必要なのは、仕事でヒーロー的な人が、つい出来心で不正をしてしまうというケースである。
実は、以外にこういうケースが多い。
そして、こういうケースをどう取り扱うは極めて重要である。

よくあるのが、社長や人事部長が、「本人も強く反省しているので、今回は口頭で厳しく注意」などと、実質、ほぼ処罰なしで、社内にも隠密に済ませてしまうというパターンである。

正しい手順は、ヒーロー社員の場合でも、基本は罰則するか、解雇である。
そこで何も無かったかのようにして、ルールを曲げるようでは、自由豁達な仕事場は作れないと思った方がよい。

社内でルールを徹底する方法は、まずは、社長からしっかりとルールを守ることである。できれば、社長の使用した経費も他の社員同様公開するのがよい。そして、少額であっても、一切私用のものを会社に請求しないという行動を社長自らとることにより、社員はルールを意識することとなる。

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