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霞ヶ関ワークライフ11

こんにちは。
見習い官僚(ゲイ)のるうです。
新しい部署に異動して、3か月が経つ。
ようやく担当する係の全貌が見えてきたところ。
割モメって、ウザすぎん?

心機一転すぎる部署異動!?🤨

着任早々、法改正の直後ということもあって、慌ただしく、なすがままに日々を過ごしてしまった。

省庁の人事異動は、民間でいう業界を跨いだ転職レベルで、まったくやることが違うので、ほんとうに困惑する。異動したとき、何を意識するとよいのか、あらためて考えてみたい。

・外部要素の把握
要するに関係者をすべて理解してしまうのが、一番手っ取り早く、自分の置かれている立場を客観的に理解しやすいと思いました。

仕事は、どこからか発生して、自分の手元に流れ付き、そしてどこかにつないでいくもの(雨水が川になり海に流れていくように)。

とすると、その全体の流れを真っ先に把握すれば、自分の置かれている立場がわかるはずです。

具体的にいうと、
・どんな関係団体がいる?
・なんの議員連盟が関与している?
・団体との関係性、何を要求してくる?
・地方自治体との関係性、何を要求してくる?

これらをまるっと、異動当初に把握してしまうと、とても仕事の理解がしやすくなる気がします。

・関連する法律
これは言わずもがな、法、規則、通知等を把握する必要があります。ベテラン職員に聞いてしまって、列挙してもらうのもよいと思います。

全てを把握するのは正直難しい(膨大な量があるから)です。

とくに、僕のような期間限定職員は、あくまで頻出する法律等のみの把握でOK。受験勉強の頻出問題だけやる感覚です。

・内部要素の把握
所管事項まとめの資料や、関連する審議会などの最終取りまとめ資料、中長期的な課題が何があるかを把握する。

わりと先にこれら内的要素を深く勉強しようとする人が多い気もするけど、先に述べた外部要素を先に把握したほうが、仕事としてはスムーズにいく思います。

正解はないのだろうが、先輩官僚たちに聞いてみたい。

前例主義とそれを破壊する管理職

官僚のマインドとして前例主義というものがある。民間だって、過去例を参考にまずはやってみよう!というのは、よくあることです。

しかし、官僚たちは前例に倣うというレベルではなく、前例とまったく同一でやれるかどうかを先ず考えます。

なぜなら、一度確定した仕事(文書)は、完璧に確認がなされているはずだし、一度オフィシャルになった以上は、下手に変更して突っ込みが入るリスクを作りたくないからです。

お察しのとおり、これは良くも悪くもあり、安定した仕事ができるメリットがある反面、変わり映えのない成果となるデメリットも考えられます。

僕の所属する課の課長は、非常に前例主義に拘らない方で、どんどん新しいことを部下に指示される方でした。
とても仕事人で尊敬できるのですが、一方で部下がオーバーワークになりがち。仕事好きな官僚からは評判が良く、ほどほどで行きたい官僚からは、キツイ存在にみえます。

数%しかいない管理職(課長以上)の官僚たちにも、いろんなタイプがいるようです。

これを書いていて、黒澤明監督の「生きる」を思い出しました。

みんな大好き、落とし所

国の仕事は、範囲が広すぎて、こちらを立てればあちらが立たず、あちらを立てればこちらが立たず、という状況によく陥る。
Win-Winって何?と思ってしまうくらいに。

そこである程度の妥協点を模索することになる。
課題に対して、すぐに妥協点を察してしまうのは官僚の性なのかもしれない。

先に述べた、前例主義が嫌いな管理職に、早々、落とし所をいってしまうと、それも悪い印象ととられてしまう。ほんとにちゃんと考えたのか?と詰められるわけです。妥協案をどのタイミングで出すかの作戦も担当は練らねばいけません。

割モメの悪夢

国会議員、地方議員、関係団体等から質問がだされると、省としての回答を作成するのが、官僚の一つの仕事です(来庁すれば直接対応もする)

テーマによって、ほとんどが◯省◯局◯課が対応すると事前に判別できますが、稀にまったく箸にも棒にも引っかからない質問、どこの局のどの課が対応するのか不明なんだけど、、のようなことがおきます(抽象度が高い質問のときとか)。

そんなとき、この割モメという名の戦争の火蓋がきられます。官僚どおしの本気の

仕事の押し付け合い

例え話をしてみます。
我ながらアホみたいな例ですが・・

とある商店街の組合に、40年にわたり利用している一般市民から、「フルーツトマト🍅を買えるようにしてほしいです」との要望が入った。
さっそく組合会長は、会議でこの課題を商店街の店主たちに投げかけます。

会長:フルーツトマトですから、まずは八百屋で検討してもらっていいですか?

八百屋:トマトは既に扱ってます。うちはオチで(※オチ=手を下げます、やりませんの意)。フルーツなんですから、果物屋でしょう。

果物屋:フルーツトマトは、トマトであって、野菜ですよ。うちはオチで。

八百屋:なまえの冒頭フルーツなんですから、果物屋でしょう。うちはフルーツなんて名前のものは扱ってないです。オチで。

果物屋:フルーツトマトは、ただの商品名ですよ。トマトは野菜です。ナス科の植物。ナスは八百屋で扱ってるじゃないですか?うちはオチで。

八百屋:野菜の定義が間違ってます。植物学の分類なんて関係ないです。スイカは野菜ですが、果物屋で扱ってますよね。それに、トマトは枝になって果実ができる点でも、果物といえます。うちはオチで。

果物屋:それをいったら、ピーマンも果物になってしまう。定義によりけりで、根拠にならない。社会通念でいえば、トマトは野菜でしょう。うちはオチで。

八百屋:お申し出の市民は40年も商店街をご利用らしいですね。うちはまだできて一年です。果物屋は長いこと営んでいて、この方も利用されてきたのではないですか。貢献されては?

果物屋:むしろこの方はほとんど当店の利用はないですね。果物はお求めじゃないのでは。むしろ野菜を普段からお買い求めになってるのではないですか。うちで扱ったら、わざわざ手間ですし、この方のためになりませんよ。

こんな感じで、どちらかが折れるまで続く・・

ちなみに、農水省によればトマトは野菜だそうです。


八百屋と果物屋が、それぞれ押し付け合う◯◯課の官僚ということになります。
あれこれ最もらしい理由をつけて、堂々と押し付け合っているのはなんだか奇妙で、まるでSNSのレスバトルを見せられている気持ちになります😅

傍から見ている分には笑える気もするのですが、当事者は、心底気分が悪くなるいやな仕事です。

一度でも自分の課で拾ってしまうと、次に同様のテーマで質問されたとき、この前対応してましたよね?今回もよろしく!とおなじみの前例主義が発動してしまうので、意地でも他課に押し付けるか、よくても複数部門で対応するという相打ちに持ち込もうとするのです。

民間人の僕からすれば、なんて不毛な時間だろうと感じるのですが、これ以上、仕事を増やしたくない!私の当代で受けてなるものか!と息巻いてるのです(怖)

それもこれも、仕事が溢れていて、人手不足からくる心の余裕のなさが原因だと感じます。

なんとかならんのか、これ・・(切実)

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