「恋するキューピッド」 第19話:穴
テニスコートから出て、近くのベンチに座り、ペットボトルの水を勢いよく飲む。そして、大きく息をつき、荒い呼吸をする。
「はぁはぁはぁ、これで……わかったか」
僕は隣に座る霞さんに邪悪な笑みを向ける。
勝った。1ゲーム4点先取という短い試合だが、なんとか勝てた。
「よくわかりました。天使先輩は馬鹿だと」
「なんでだよ!」
「普通、挑発に乗りますか。せっかく好きな人と来てるのに」
「……すぐに戻るよ」
僕は腕で額の汗を拭い、立ち上がろうする。しかし、服の端を霞さんに