鴨沢芹

顔を見てはいけません

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  • 禍話傑作選(自分用)

    個人的に大好きな禍話(リライト)の自分用メモです

最近の記事

思い出の三枚目(禍話リライト)

同窓会に行ったんですよねこないだ。 ああいうのって、卒業アルバムに載ってる住所に連絡が来るじゃないですか普通。 全員が全員、卒業後もまめに連絡取ってるとは限らないから、まず実家まで手紙が来て、それをいちいち転送してもらうみたいな。 何人かそういう連絡取りづらい人がいたらしいんですよ。 だから同窓会の会場で、よかったら今の住所教えて、って紙を回すみたいな、そういう流れがあったんですね。 思いつくのって言ったらそれぐらいなんですよね。 そのときに僕も自分の住所書いたからなの

    • カーテンだけが(禍話リライト)

      猫の写真を撮ってたときの話なんですよ。 ぶらぶら散歩してたら、ある家の縁側に猫ちゃんがいて。 ボロボロの誰も住んでない廃屋みたいなとこだったんですけどね。 かわいいなぁ、なんて思ってカメラ向けてたら、背後から 「教えてあげようか」 そう声を掛けられたんです。 振り返ってみたら知らないおばあさんが立ってて。 「この辺には昔から住んでて詳しいからね、教えてあげるよ」って。 一瞬なんのことかな、って面食らったんですけど、 あぁ、このおばあさん、私が廃墟の写真を撮りに来たと思って

      • 墓に囲まれてはいなかった話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

        今は四十代のAさんが、大学三年生の時の体験だそうです。 彼は元は関東出身なのだそうですが、大学は地元を離れたところに進学したそうで。 ええ、地域はちょっと、伏せさせてほしいって。 Aさんの友人に、いわゆる苦学生というやつがいて。 「金がない」が口癖で、奨学金借りながらバイトもして、服は一年中着回し。ご飯はまかないか友人の奢りで済ませるっていう、徹底した倹約ぶりで。 そんな彼、すごく広い部屋に住んでいたそうなんです。 まぁ広いと言っても、中はそれなりにボロいんですよ。 築年

        • 面の老人の家(禍話リライト)

          「別にオチもなんにもない話なんですけどねぇ」 そう言ってその人は話し始めた。 ◇ ◇ ◇ 小学校の三年生ぐらいまで、よく行ってた家があったんですよ。 両親に連れられて。 僕、ずっとそれ、父方か母方のお祖父ちゃん家だと思ってたんですけどね。 後から知ったんですけど、どちらでもなかったみたいなんですよね。 いつも行くのは冬休みのどこかだったかな。田舎のでっかいお屋敷で。 修学旅行でみんなで寝るような、大きな和室がずっと続いてるようなとこで。 でも小四から急に行かなくな

        思い出の三枚目(禍話リライト)

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        • 禍話傑作選(自分用)
          4本

        記事

          人形を取りに行く(禍話リライト)

          その家には、人形を取りに行くよう頼まれていたのだという。 A君には、B君という小学校から高校までずっと一緒の友達がいた。 家も近所で、小さい頃からよく遊びに行かせてもらっていたそうだ。 B君の家には、彼の父方の祖母も一緒に住んでいた。 気さくな人で、A君が遊びに行くといつもキャラメルなどのおやつをくれたという。 彼らが高校生の時、そのB君の祖母が体調を崩して入院した。 きっかけは些細なことだった。家の中で転んだのが最初で、そこから坂道を転がるように悪くなっていった。

          人形を取りに行く(禍話リライト)

          机の奥の手紙(怖い話)

          この作品は創作です。読んでいる人に幻覚・幻聴や霊障をもたらすことは絶対にありません。 私の話を信じないでください。 子どもの頃のばつの悪い思い出って、誰にでもあると思うんですよ。 私の場合は小学四年生のときでした。 小学生が使う「おどうぐばこ」ってあるじゃないですか。はさみや三角定規を入れておくようなやつ。 当時通っていた小学校では、A4くらいの結構大きなサイズのものを使っていて。 その学校の慣習で、おどうぐばことその蓋を机の中に入れて、簡単な引き出しとして使っていたん

          机の奥の手紙(怖い話)

          風呂場で吊るしてあるならそれは鳥よけではない話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          僕が学生の頃なんで、二〇〇〇年くらいの話ですよ。 あの頃ってまだ、カメラ付きケータイも出てきたばっかだったじゃないですか。画質も全然で。 どっか行って写真撮るときって、まだまだ普通のカメラが主流でしたよね。 同じサークルにA君って子がいて。ちょっと気が弱いタイプだったんです。 僕ら写真系のサークルで。 写真「部」じゃないってところがミソなんですよ。わかるでしょ。 要するにゆるい、半分飲みサーみたいなところです。 ああいうとこって、絶対チャラい先輩がいるじゃないですか。まぁ

          風呂場で吊るしてあるならそれは鳥よけではない話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          キャッチボールのおじさん(禍話リライト)

          これは私が知人のAさんから聞いた話である。 平成も1ケタの時代、当時20代だったAさんは高校教員として働き始めた。 これはその初めての赴任先で起こった出来事だという。 その高校の校舎は、戦後の子供が多い時代に作られたものだったらしい。 昇降口が2か所ある大きな校舎で、Aさんが赴任した頃にはもうほとんど使われなくなった区画があったという。 人が来ない場所といっても、やはり放課後の見回りはしなくてはならない。 若手だったAさんは校舎の見回りも進んで買って出ていた。窓や戸が施錠

          キャッチボールのおじさん(禍話リライト)

          雷鳴(禍話リライト)

          話の詳細から察するに、二十年近く前の出来事ではないかと思う。 ある大学の、理系の研究室での話である。 その研究室では機器の番をしなければならない関係で、夜間も学生が残っていた。 ある深夜、学生のAさんが一人で研究室に残っていたときのことだった。 廊下を誰かが歩いてくる音がした。しかし部屋の外は真っ暗だったという。 電気も付けずにどうしたんだろうと思ったが、足音はAさんのいる研究室の前で止まった。 コンコン、とノックをして部屋に入ってきたのは、研究室の先輩のBさんだった。

          雷鳴(禍話リライト)

          死んだ記録の落書き(禍話リライト)

          【注意】この記事には動物への暴力を示唆する表現が含まれます。 ある海水浴場での話なんですけど。 友達に誘われて遊びに行って。 泳いだり、写真撮ったり。普通の夏休みですよね。 途中でお腹痛くなっちゃって、トイレに行きたくなったんです。 場所がわからなくて、少し探してようやく見つけて。 奥まった、なんか変なところにあったんですよ。 後から聞いたら、どうやらそこは今は使われてないトイレで。本当はもっと近くに新しいトイレがあったみたいなんですけど。 結構汚くて、臭いもきつ

          死んだ記録の落書き(禍話リライト)

          『N号棟』観た感想

          なかなかにレビューがひどかった『N号棟』を観ました。 個人的にはそんなにひどいと思わなかったです。ただ、材料は揃えたのにレシピが途中でどっか行っちゃったので別のを拾ってきましたみたいな、絶妙に良さが殺されていて惜しいというか、そういう感想は抱きました。 (まぁ、だからレビューがひどいんだと思うんですけど) 以下は、ネタバレを含む個人の感想です。 私はいわゆる考察をするのが苦手なので、映画の結末、真相や裏設定について、何か自分の意見を述べるというものではありません。 それ

          『N号棟』観た感想

          缶蹴りの集合写真(禍話リライト)

          Bさんの話 私が高校のときなので、もう20年以上前ですかね。 うち、進学校ではあったんですけど、たまにタバコ吸ってる奴もいるみたいな学校で。そういう、生徒の素行が両極端な高校ってあるじゃないですか。 それで、うちの学年にも不良っぽいのが何人かいたんですよ。 何年のときか忘れたんですけど、夏休み明けに登校したら、クラスの不良2人が欠席してて。 サボりかなと思ってたら、担任の先生が「あいつら入院することになったんだ」って。 それだけでもびっくりしたんですけど、それが2人だけ

          缶蹴りの集合写真(禍話リライト)

          式場の地下 ほか(禍話リライト)

          式場の地下 視聴者からのおたより 一 以下、「視聴者からのおたより 一」「視聴者からのおたより 二」は、私の元に視聴者から寄せられたメッセージの抜粋です。 2つの投稿はそれぞれ別の視聴者からのものですが、これらは同じ日に届いたものです。 視聴者からのおたより 二 以上の2通のメッセージを受け取った直後、以前にある体験談を送ってくれた視聴者の方からメッセージを受け取りました。 提供した体験談をツイキャスで話さないのか、という内容でした。 該当する建物がまだ残って

          式場の地下 ほか(禍話リライト)

          うしろの███(禍話リライト)

          わりと大きめの公園でトイレに入ったときの話なんですけど。 個室が2つあって、その向かいに小便器が並んでるっていう構造だったんですよ。そのトイレ。 僕は個室に入ってて。 そしたら男の子がトイレに入って来たんですよね。 外に向かって「そこにいてよー?」とか言いながら。 個室に入ったわけではなくて、小便器で用を足しに来たみたいで。 トイレの外から「早くしなさいよ、お母さん入れないからね!」っていう若い女性の声がして、お母さんが外で待ってるんだなって。 そしたらその子、「緊張

          うしろの███(禍話リライト)

          安い部屋とピンポン玉(禍話リライト)

          「そういうの」って、こちらがなかなか相手をしないと、もっと嫌な感じで存在をアピールしてくることがあるんですよね。 私の知り合いの方がね、親戚の家に居候っていうのかな。一部屋借りて住まわせてもらってたことがあるんですって。 親戚の家とは言っても、ちゃんと家賃払ってて。 でもそれがすごく安かったって言うんですよ。 2、3万とかじゃなくて、数千円っていうレベルで。 空き部屋を使わせてもらってて、そこに元から綺麗なベッドが置いてあって。 それ使っていいよって言われてたから、ご厚

          安い部屋とピンポン玉(禍話リライト)

          外から何かを開ける音がする話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          マンションの外廊下って、よく聞いてるといろんな音が聞こえてくるんですよね。 急な休みとかで、普段学校や仕事に行っている時間帯に珍しく家にいると、思わぬ音が聞こえてくることがあります。 まあ、だいたいはガスメーターの確認とか、宅配の人が荷物を置いていく音なんでしょうけど。 自分の知らない間にこういう音がしてたんだなって。自宅のことってよく知っているようで、実は知らないこともたくさんあるんですよね。 最近気付いたんですけど、かくいううちのマンションも、午前3時とか4時になると外

          外から何かを開ける音がする話(禍話リライト/忌魅恐NEO)