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〝笑いあればそこに幸あり〟ケンカするほど仲が良いふたり

私には3人の孫ちゃんがいる。

長女の子ふたり(男の子・女の子)と、
長男の子ひとり(男の子)だ。

今日は言葉を色々と覚え始めた長女の下の子(2歳になったばかりの女の子)と、上のお兄ちゃん(3歳半の男の子)のお話だ。

俗に言う〝年子〟。

ちょっぴり気の弱いお兄ちゃんと、勝気で豪快な妹。

側から見れば〝年子〟というより〝双子〟のようなもので、間違いなく妹のハナはお兄ちゃんのコータのことを〝お兄ちゃん〟ではなく〝同レベルの同居人〟だと思っているに違いなかった。

それを証明できる場面に私は昨日、遭遇したのだ。

昨日は娘が仕事だったため、朝から孫ふたりの子守を受け持っており、私が家事をしている側でいつものことながらふたりはまたケンカを始めた。

いつも決まって原因はおもちゃの取り合い。

3歳のお兄ちゃんのコータは〝お兄ちゃん〟の自覚があるらしく、妹のハナに対しては時には優しく何かと構ってあげることも多いのだが、おもちゃに関してはなかなかそういう訳にはいかず、最近ではハナが遊びだしたおもちゃを横取りすることが目立っていた。

ハナを泣かせ、その度に周りの大人に叱られるのだが、彼は彼なりのプライドみたいなものがあるらしく、それがいけないことだとはなかなか理解ができないようであった。

私はふたりがケンカを始めた時は、いったんそれを見守ることにしている。

何が原因でケンカが始まったのか、ハナはどう思っているのか、コータはなぜ怒っているのか。

しばらく分析しながら見守り、いよいよ取っ組み合いになったところで間にはいる。

力では負けていない妹のハナ。

ハナよりお兄ちゃんのコータが泣かされていることもある。
でもコータの涙はきっと悔し涙。

でもそのおもちゃで先に遊び出したのはハナ。
ハナは横取りされて悔しいから奪い返そうとする。
それがまた悔しくてハナより強い力で勝とうとするコータ。

最近力も強くなってきたハナは、絶対に手を離さない。
互角に勝負をする。

3歳の子に説明しても無理かなー、などと思いながら私はコータに話す。

「そりゃコーちゃん、ハナが遊んでたおもちゃいきなり取ったらハナは泣くよー?
コーちゃんも遊んでるおもちゃ急に取られたらイヤでしょ?
どうしてもそれで遊びたかったら違うおもちゃ持っていって、〝交換してー〟って頼んでみたら?
いきなり取ったらダメなんだよー?」

するとコータは行動に出た。

ハナが持っていたのは、まぁまぁ最近パパとママに買ってもらった音の出るパトカー。

コータが手に持ってきたのは、まぁまぁ昔に私が買ってあげたキャリアカーに乗っていたまぁまぁ簡単な装備の車。

コータがヒクヒク泣きながらそれを出しハナに言う。
「こ…こうかんしてー」

ハナがあっけらかんとコータに返事する。
「いやーーー」

…そりゃそーだよね…。

コータは再び大号泣。
私の方にかけより
「ハナちゃんが…ハナちゃんが…イヤって」

作戦失敗に終わってしまった発案者としては、ヨシヨシと頭を撫でるしか出来ない。

しかしその後、今度はハナが行動に出た。

泣き叫ぶお兄ちゃん、いや同レベルの同居人を見て何を思ったのだろう。

トコトコと歩いてきてコータの肩に手を乗せながらこう呟き、パトカーを差し出したのだ。

「ねぇねぇだいぞーぶ?
 ねぇねぇ、はい、かしてーは?」

おぉーーー!妹よーー。
君は泣き叫んでいる同居人の心配をしたのかい?

間違いなく、お兄ちゃんより妹のほうが大人だった。

私は爆笑したいのを必死に抑え、平静を装いながら
「ハナちゃんえらいねー、コータ良かったねー」
とハナを褒め、コータに〝ありがとう〟を言わす。

泣き叫んでいたコータはケロッと泣き止み、ご機嫌でパトカーで遊び出したかと思いきや、次の瞬間もう違うおもちゃで遊んでる始末…。

本当にそのパトカーで遊びたかったのではなく、お気に入りのおもちゃをハナに取られるのがただただイヤだっただけなのだ。

まぁでも、お兄ちゃんとしてのプライドはやっぱりあるんだろうなと思う。

それはそうだろう。
私は末っ子として生まれたから、上の子の気持ちは想像でしか言えないのだが、今まで周りの大人が自分だけを見ていてくれたのに、ある日突然やってきて、優しくしなさい大事にしなさいと言われ、何でもかんでも半分ずつになってしまうのだ。

時にはそうやっておもちゃの取り合いをするのも、育っていく上で大事なことなのだ。

大切なのは周りの大人の反応だ。

放ったらかしにするのではなく、また頭ごなしに一方的に叱るのでもなく、お互いの言い分をちゃんと聞いてあげること。

その上で解決策を一緒に考えてあげることが、一番大切なことだと私は思う。

さっきまでケンカしてたかと思いきや、今度は何やらふたりで戯れ合いながらクローゼットの中からキャッキャと笑い声が聞こえてくる。

「ばーばー?コータとハナちゃんどーこだ?」

と突然かくれんぼが始まる。


ハナはコータのマネばかりして、コータはハナをずっと見ている。

なんやかんや言っても仲良しのふたりということだ。


妹のハナの最近の口グセが、

「わたしはハナでしゅ」

ママに聞いてもどこで覚えたのか分からないと言う。

遊んでいても、ご飯を食べていても、突然思い出したように天使のような笑顔で自己紹介をしてくれる。

外国人の方が慣れない日本語で話すような言い方。
それが可愛くて本当に面白い。

決まって私は『知ってるよ〜♪』と返す。

ハナのその言い方がどこかで聞いたことのあるような気がして、必死で思い出す。

そして辿り着いたのが、昭和の時代に一世風靡した志村けんの〝変なおじさん〟だった!

〝私(わたす)が変なおじさんです〟

ハナがテレビでそれを見たかどうかは不明だが、私はそこからふたりに〝変なおじさん踊り〟を教え出した。

「変なおーじさーん、変なおーじさーん」

手を叩きながら踊ると、見事にめちゃくちゃウケて、めちゃくちゃ笑ってくれたのだった。

まさか昭和の時代を共に生きた私が〝志村けん〟という名コメディアンのギャグを孫たちに教える日が来るとは…!

〝笑いあればそこに幸あり〟

きっとこれからも、

コータとハナも、
私も、
家族も、
この街も、
そして日本も…

きっときっと…

「だいじょぶだぁ〜〜〜〜!!」





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