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実家通信

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週に一度、都内の実家に泊まりで通っています。 こちらのnoteマガジンには、認知症で要介護認定を受けた母と過ごす時間の記録、ぼやきを含めたつぶやきなどをまとめています。 実家から…
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#実家

夕食後、実家に一つだけある苺スプーンで苺をつぶしイチゴミルクを作っていたら母が自分もそうしたいと言う。スプーンを渡したら「こりゃ便利」と嬉しそうにつぶしている。練乳と牛乳をかけてあげたら「こりゃ美味しいわ!」とまるで初めて食べたかのように無邪気に喜んでいる。’忘れる’ことも佳き。

すっかり歯も弱くなってしまった母は、固いものを嫌がる。入れ歯だから歯ではなく、歯茎が弱くなったということか?母の最近のお気に入りは、ネギトロ、茶碗蒸し、プリン、あんパン、蒸しパン、はんぺん…などなど。付き合って食べていたら、なんだか私も頭フワフワしてきたような。おせんべ食べたい。

きのう初めて母を

きのう初めて母を

きのう初めて母をお風呂に入れた。
すっかり足腰が弱くなり、認知機能も衰え、実家の古いお風呂に1人で入るのが難しくなってきたから。

着替えを手伝うことはしていたけれど、お風呂の介助は初めて。
私は服を着たままで。
腕まくり足まくりをしたら気合いが入った。

まだ寒いので、重ね着しているから服を脱がせるのも一苦労。一枚、一枚…脱ぐのにも時間がかかる。やっとのことでスッポンポンになった母は、痩せてしま

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週に一度のおツトメ。夕方、実家に着くと母が驚いた表情で「どうしたの??」という。「毎週来てるでしょ」「お母さんのごはん作りにきたよ」と返してもワケわかってない。もう慣れたけど。台所に行くとテーブルにジャムの瓶。トースターにはパンが用意されている。母なりに夕飯の準備をしたらしい笑。

実家でもヒヤシンスが開いていた。部屋中によい香りが漂っている。母は姉に「ニンニクの花が咲いた」と言ったらしい。笑。確かに球根の形が似ているね。母の記憶にあるニンニクと、この形が結びついたのだ。お母さん、よく思い出したね。香りとともに花の生命力がここにいる人たちに光を与えてくれる。

実家で迎える朝。高齢の母と生きづらさを抱える姉によりそうため、週に一度、実家に泊まる。こうしてもう3年くらい。自分が育った家なのに、実家だとあまり眠れない。暑さでさらに眠りづらい。毎週毎週、老いること、弱ることをみせてもらう。重たくて切ない朝。ベランダの鉢植えに露草が咲いていたよ

実家のベランダは南向きで日当たり最高。今日は日差しが強くて暑いくらい。
毎週来るたびに母が弱っている。わからないことだらけになってしまったね。何度も同じことを聞かれてイライラする私。悲しい。切ない。
それでもお母さんカエルの眼差しはやさしい。いつまでも母の背中にのっていたい私。

実家帰りのつぶやき。今日のお昼は蕎麦。長野から月に一度届く蕎麦はその昔父が始めた定期便。加減の難しいお蕎麦を母はいつも美味しく茹でてくれた。私の茹で加減は今一つ。古いサツマイモを天ぷらにして添えたら母は「天ぷらよく揚げたね」と何度も何度も繰り返す。小さな私は褒められて喜んでいる。