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幻獣園

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2023年3月の記事一覧

【幻の生物を紹介】エキドナ

【幻の生物を紹介】エキドナ


【エキドナ】神話に名を残す怪物たちの母

下半身が蛇、上半身が美しい女性の姿をした怪物で、「テュポーエウスの洞産」に棲んでいたとされる。
古代ギリシャの叙事詩『神統記』ではペガサスの兄弟であるクリュサオルの子として、『ギリシャ神話』では奈落そのものの存在タルタロスと、大地の母神ガイアの間に生まれた子とされており、その出自ははっきりしていない。
美しい上半身に誘惑された旅人や、家畜を引きずり込んで

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【幻の生物を紹介】ウンゴリアント

【幻の生物を紹介】ウンゴリアント

【ウンゴリアント】賞欲なクモの怪物が辿った末路

映画の原作となったイギリスの人気小説『指輪物語』に登場するクモの怪物。
太陽も月もない暗黒の世界で生きていたため、光を渇望し、ついには周囲の光を喰い尽くしてしまった。
さらには闇の国を支配していたモルゴスと共に神の国を襲撃し、光る二本の木の樹液を吸い尽くして枯死させる。
その後、モルゴスが所持していた宝をすべて喰らった怪物は、モルゴスを殺そうとする

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【幻の生物を紹介】海坊主

【幻の生物を紹介】海坊主

【海坊主】世界中に伝承を残す禿頭の巨人

世界各国の海に棲むと言われ、日本では妖怪に分類される。
大半は禿頭の巨人という姿で伝えられており、数メートルから数10メートルの巨躯を持つという。
日本の伝承に見られる海坊主は、船を転覆させたり、目撃した漁師たちに不漁を招いたりと、災いをもたらすものというイメージが強い。
美女に化けて男を溺死させる、座頭に化けて女を殺す.....といった話も存在する。

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【幻の生物を紹介】ヴクス・カキシュ

【幻の生物を紹介】ヴクス・カキシュ

【ヴクス・カキシュ】人間の支配を目論んだ巨人

マヤ神話に現れる巨人で、エメラルドの輝く歯と金銀の身体を持つ。
山々の向こうに横たわる地平線を眺めるほどの巨体であるが、ナンセの木になるサクランボの実を食べて生きていると言われる。
巨人ではなく、怪鳥の姿で描かれることもある。
神々が人間を創造しようとした時、支配者になろうと目論んだが、フンアフプー、イシュバランケの二人の神が仕組んだ罠により計画は頓

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【幻の生物を紹介】アヤカシ

【幻の生物を紹介】アヤカシ

【アヤカシ】船乗りを驚かせた巨躯の海蛇

妖怪を多く描いた江戸中期の絵師・鳥山石燕が、『今昔百鬼抬遺』にて紹介している巨大な海蛇。
「あやかし」の名がつけられているが、その特徴から、茨城県沖に出現した妖怪イクチのことだと思われる。
この海蛇は数キロメートルにも及ぶ長い身体を有しており、船に遭遇すると、上をまたいで通り過ぎることもあった。
だが通過するまでには数時間から数日もかかるうえ、蛇の全身から

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【幻の生物を紹介】アーヴァンク

【幻の生物を紹介】アーヴァンク

【アーヴァンク】湖底に棲む怪物の意外な弱点

イギリスはウェールズの伝承に現れる、湖底に棲む怪物。
名前の由来はアル・アーヴァンク湖であり、この湖に発生する渦の正体は怪物アーヴァンクであるとされた。
怪物は鋭い爪と牙を持っており、近くを通りがかった者を水中に引きずり込んで貪り喰らうという。
だが、美しい乙女には弱く、かどわかした乙女の膝枕で眠っているところを、村人と牡牛によって捕らえられたという逸

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【幻の生物を紹介】アハ・イシュケ

【幻の生物を紹介】アハ・イシュケ


【アハ・イシュケ】美しい姿で通行人を背へ誘う

アイルランド語で「水の馬」と呼ばれる馬の怪物で、塩水湖や沼の中を主な棲家とする。

男性や鳥の姿をとることもあるが、伝承に見られる姿の多くは毛並みの美しい馬として描写されている。

この馬が岸辺で草を食んだり、水場で跳ねているところへ通りがかっても、決して馬の背中にまたがってはいけない。

背中の強力な粘着力をもって捕らえられ、そのまま水中に引きず

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【幻の生物を紹介アダンダラ】

【幻の生物を紹介アダンダラ】

【アダンダラ】男性を恐れさせるアフリカの怪猫

アフリカ中部で暮らすアザンデ族が、妖術を使うとして恐れている動物のひとつ。

明るい体色とらんらんと輝く目を持つ化け猫の姿を見た者は、命を落とすとされる。

伝承によれば、猫と交わった女性がアダンダラを産み落とすとされ、また王室の後宮で女性同士が関係を持つことを「アダンダラのようだ」と形容することもある。

一説には男性がアダンダラの姿を見ると死ぬと

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【幻の生物を紹介】アスピドケロン

【幻の生物を紹介】アスピドケロン

【アスピドケロン】海上に浮かんでいる姿は島の如し

ギリシア語で「アスピドケローネ(蛇しの意)」とも呼ばれる。
その名のとおり巨大な海亀や魚のような姿をしており、海上を浮島のように移動する。硬い皮膚には海藻が張りつき、浮かんでいる姿は島にしか見えない。
体躯に似合わず主食は魚で、ロから甘い香りを放ち、寄ってきた魚たちを食べていると言われる。この怪魚は『千夜一夜物語』『動物誌』など様々な物語に登場す

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【幻の生物を紹介】アメミット

【幻の生物を紹介】アメミット

【アメミット】罪人の心臓を喰らう冥界の断罪者
かの「死者の書』にも登場する、三状が合わさった姿の怪物。
ライオンの身体と前脚、ワニの頭、カバの後脚を持ち、オシリスの法廷で死者の審判に立ち会う。
法廷では死者の心臓を天秤に載せ、彼の生前の行動が正しきものだったかを裁くのだが、有罪判決が下った者は天国へ行けないとされた。
そして、有罪となった瞬間に彼の心臓はアメミットに喰われてしまうのだ。
魂は不滅で

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