春の夜の演奏会
日曜日の夜
真っ暗な部屋の窓辺で
風呂上がりの火照りを
冷ましながら微睡みの一時
目を閉じて夜の囁きに耳を傾ける
ジィーージィーーと
闇の中で何かが鳴いている
得体は知れないが不思議と心地よい音色
時折アパートの前の線路を
電車が走っていく時だけ
ジィーージィーーは
ガタンガタンと飲み込まれ
走り過ぎるとまた
ジィーージィーーと
何事もなかったかの様に歌い出す
闇の向こうのそいつらは
僕が息を潜めて
聞き耳を立てている事に
気づいているのだろうか
四月の夜の怪しくも軽やかな音色で
満たされる日曜日
真っ暗な部屋の窓際で一人
贅沢な演奏会に癒される一時
夜が深まっていく
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