見出し画像

スクールカウンセラーはなぜ臨床心理士だけ認められていたのか?

こんにちは、誰かにとってのあしながおじさんです。現在、スクールカウンセラーには、臨床心理士だけでなく公認心理士も認められるようになりました。しかし以前は、なぜ臨床心理士のみがスクールカウンセラーとして認められていたのでしょうか。

①はじめに

この話は私が大学院時代にある教授から聞いた話です。その教授は、学校教育で活かせる心理学の研究者であり、不登校親の会の研究などもされていた方です。現在、ご存命がどうかわかりませんが、学校心理学のなかでは権威的な存在だったと思われます。信じるかどうかはあなた次第です。その点をご了承ください。

②カウンセリングにおける二大巨頭の違い

西の河合隼雄、東の国分康孝という言葉をご存知でしょうか。河合隼雄は日本臨床心理士資格認定協会を設立し、臨床心理士の資格整備にも貢献した、臨床心理士の始祖とも呼べる方ではないでしょうか。一方、国分康孝は、カウンセリング心理学の専門家であり、構成的グループエンカウンターを世に広めた第一人者です。この二人は、立場がまるで違います。

河合隼雄の臨床心理学によるカウンセリングは「治療モデル」です。箱庭療法、音楽療法、家族療法など、「〇〇療法」がつくことからもわかると思います。簡単に言えば精神疾患という「病気を治療する」ものが河合隼雄の立場です。

一方、国分康孝の立場によるカウンセリングは「育てる(予防・開発)カウンセリング」です。前述した構成的グループエンカウンターや、キャリアガイダンスなど、教員が学級経営や生徒指導に活かせるものが多いです。

学校って基本的には精神疾患でない「普通の人」が多いです。学校で問題を起こしている子どもたちの多くは、発達課題をクリアできずに困っているという捉え方が妥当だと思われます。それなのに治療モデルの臨床心理士だけがスクールカウンセラーとして認められることになったわけです。

③なぜ治療モデルの臨床心理士だけがスクールカウンセラーになった?

ここからの内容は、実は有料公開にしたかったものですが、私のポリシーに反するので無料公開です。

実はこれ、行政と日本臨床心理士資格認定協会との癒着によるものです。

文科省事務次官の天下り先を、河合隼雄が用意することにより「スクールカウンセラーは臨床心理士のみ認める」という規制が生まれました。これにより、臨床心理士の就職先と成り手を増やすことができたというわけです。そうすれば日本臨床心理士資格認定協会も儲かるしね。ただ、私たちとしては、結局自分たちの利益のためかよって残念な気持ちになりますね。

でも「治療モデル」の臨床心理士が増えたところで、学校現場では十分に力が発揮されないわけです。そんな中で国分康孝の手法も広がり、予防開発的アプローチの方が先生たちに知られることになりました。ちなみにですが、有名なQ-Uを作成した諸富さんは、国分康孝の弟子にあたります。

またこのような「臨床心理士だけ」という仕組みを変えるべく今後「公認心理士」が誕生するんだと、私は当時聞きました。

ただ、カウンセリング技術は臨床心理士が最も優れているともその教授は言っていました。

もし、これまでカウンセラーとうまくいかないと思った経験のある方、大勢いらっしゃるのではないでしょうか。少しでも「あ、そういうことか」という気づきになればと思っています。

なんだかすごく残念な気持ちになってしまいますが、このような教育行政での規制や天下りは増え続けています。

その結果、教職員を苦しめ、子どもたちを苦しめるという悪循環…

政府には当然ながらしっかりしてもらいたいものですが、まず我々から変わっていく必要があるのかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?