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アイドルノススメ ~分断の時代~

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アイドル冬の時代からグループアイドルの時代、日本の音楽史の変遷の中でアイドルというものが確立されていきます。様々な視点からアイドルという事象を掘り下げます。
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#AKB48

アイドル分断の時代 日向坂46の新曲に見る上流

アイドル分断の時代 日向坂46の新曲に見る上流

日向坂46の3枚目のシングル『こんなに好きになっちゃっていいの?』のMVが公開された。何度か繰り返し再生しながら思ったのは、これが上流の存在なのだということだった。

このnoteで繰り返しアイドルの分断について語っているが、インディーズや地下アイドルの状況について語ることは多かったが、上流について触れる事はあまり無かった。意図してたものではないが、どこかで読んだ人とコンテクストを共に出来る機会を

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アイドルと田村ゆかりと桃井はること

アイドルと田村ゆかりと桃井はること

勘のいい声ヲタならこの2項目に共通するキーワードはすぐに出てくる。だが、反対にアイドルヲタクはそのキーワードが出てきても何のことか分からない、という現象がまさに分断の時代の認識となっている。

それは、中学生の頃、いわゆる投稿雑誌の1ページに載っていた真ん中分けのツインテールに魔法少女のようなフリルの衣装を着た子に目を奪われた。時代はアイドル冬の時代、水野あおいの姿だった。

(今見ると、STUの

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アイドルと「本物」について考える

アイドルと「本物」について考える

 TwitterのTLで流れてきたこの記事。海外にてサッカーの監督養成学校に通う河内さんが書いた内容だが、web時代のサッカーと今後の日本サッカーの在り方について非常に鋭く批評した良記事である。これを読んで、少し思うところがあった。

「コンテンツ」と化したものを受動的に受け取るのは根幹への理解がなく、「本物」に触れる必要があると書かれている。読み砕くに、「自らの手でサッカーを作ってきた」=「本物

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「アイドルは成長の物語だ」というマーケティングに異を唱えたい

「アイドルは成長の物語だ」というマーケティングに異を唱えたい

実際にそんな話をしている分析の記事を山ほど読んだ。しかし、これに違和感を覚えるのだ。今、アイドル業界が突入しているフェーズは「成長の物語」だろうか?何も知らない子が花開く様と評するのであれば、開いた花は枯れ落ちるというのか。

 

【”分断の時代”への突入】

このマガジンの最初でも、アイドル業界というのが分断の時代に入っているという話をした。メジャーとインディーズ、黎明期のTIFで混ざりかけた

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NGT48「夢を死なせるわけにはいかない」公演は究極の侮辱行為だと言っておきたい

NGT48「夢を死なせるわけにはいかない」公演は究極の侮辱行為だと言っておきたい

(注:長文になります)

映像を見終わって、数時間が経つ。ゆっくりと咀嚼するのは、沸き上がってくる胃のむかつきと止め処の無い感情だ。個人的に「夢を死なせるわけにはいかない」公演は、AKB48グループの劇場公演のオリジナルセットリストの中で一番好きな公演だ。だから、これを見たら、自分がどんな感情になるかは想像出来た。ただ見ずに物事を言うのは容易い、見た上で言葉を吐かねばならないと思って見た結果の言葉

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「総選挙なきAKB 衰退の過程か」という記事を読んで思ったこと

「総選挙なきAKB 衰退の過程か」という記事を読んで思ったこと

まずはこの記事を必読してから、読んでいただきたい。

記事内には様々な要因が内混ぜに書かれているが、どうも芯を捉えていないような気がするのだ。特に、劇場への回帰という締めくくりに関しては疑問がある。

【そもそもAKBが衰退していないと思っているのか】

記事の中で、総選挙による総投票数が増加した2013年について触れられている。前田敦子が前年に卒業、指原莉乃がこの年、初めての1位を取った年なのだ

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アイドル戦国時代の終焉

アイドル戦国時代の終焉

最初に述べておきたいのは、アイドル戦国時代は終わった、ということだ。アイドルブームにおいて、様々な事務所、全国地方のアイドルというのが生まれた状況を指して、アイドル戦国時代と言われてきたわけだが、今年、アイドルは新たなフェーズへと突入しようとしているのである。

 

【何が起こっているのか】

では、アイドル業界に何が起きているのか。いくつかのポイントをまとめてみた。

・戦国時代を支えたグルー

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