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全然ライトじゃないよ☆「あやかしがたり」感想

小難しい話は、けっこう好きなタイプです。

難しいと思って勉強して考えた先にある「何かすごい事」。あるじゃないですか。

それを感じられるというか。なんというか。

それだけでしか味わえない物って、あると思うんですよね。

例えば、シンギュラリティ(※)とか。

※シンギュラリティとは
人工知能(AI)が人類の知能を超える転換点(技術的特異点)。または、それがもたらす世界の変化のことをいう。米国の未来学者レイ・カーツワイルが、2005年に出した“The Singularity Is Near"(邦題『ポスト・ヒューマン誕生』)でその概念を提唱し、徐々に知られるようになった。カーツワイルは本書で、2045年にシンギュラリティが到来する、と予言すると共に、AIは人類に豊かな未来をもたらしてくれる、という楽観的な見方を提示している。

シンギュラリティ(しんぎゅらりてぃ)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)


で、なんでこんな話をしているのかと言えば。

本日のライトノベル、渡航先生の『あやかしがたり』(2009年5月刊行)についてな訳なのです。

ちなみに渡先生は、今でも続いているライトノベル『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』の作者様でもありますね。



今回のライトノベルのあらすじ

紀伊國屋書店のウェブストアより、あらすじを引用させていただきます。

ガガガ大賞受賞!侍エンタテインメント!
妖怪、もののけ、魑魅魍魎……「あやかし」たちが跋扈する、その昔。

江戸にて剣の修行に励む新之助は、剣の腕は抜群だが、心は内気な悩める若侍。帰郷の道中、新之助は「拝み屋」と名乗る怪しい男・ふくろう、そして不思議な力を持つ娘・ましろと出会い、一緒に故郷の山手藩に行くことに。しかし、藩には「あやかし」がらみの陰謀が起きていた……。

敵か味方かあやかしか、犬神、化け猫、呪術、剣術が入り乱れ、火花を散らす侍エンターテイメント、いざ!

ライトノベルのみならず歴史小説・時代小説ファンにもおすすめの痛快剣術バトル。第3回小学館ライトノベル大賞、ガガガ大賞を受賞。審査員の田中ロミオ氏に「達者な筆致と高い完成度」と絶賛された、時代活劇シリーズ。

あやかしがたり / 渡 航【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア (kinokuniya.co.jp)

なんと今回のライトノベルは、時代劇です!

もうこの時点で、他のライトノベルと一線を画してるよ!!


簡単にまとめると、こんな話

「あやかしが見える若きサムライが、自分の生まれ故郷で起こる領主騒動に巻き込まれ、あやかしに見せられた人間達と戦う」話です。

……うん。また書くけど。

こんなライトノベル、ほとんど見たことがないよ!


で、面白いの?

意外や意外。

面白いです。

江戸時代を彷彿させる時代設定。

独特の描写センス。

昔の日本の言葉が、これでもかとばかりに出てきますが。

それが、この作品の雰囲気を出しており、なんともいえない空気感です。

その独自性、すばらしい!


ただね

ネットで、この作品の感想を散見すると。

作者様が、「売れない」という事をネタにしているという文章がよく出てきます。

で、素人である私の感想といたしましては。


でしょうね、です。


例えの話をします。

ライトノベルの読者が、カレーが食べたいといって、カレーを注文します。

すると大体のライトノベル作品は、「カツカレー」とか「ハンバーグカレー」を出してきます。

欲しい物に、ちょっとした物をプラスαする。

そうすると、ライトノベル読者は大満足します。

この構図は、どの商品を売るときでも考えられる展開だと思います。


で、今回の『あやかしがたり』についてですが。

カレーを注文したライトノベル読者に対して。


満漢全席を出してきたようなイメージになってしまっているのです。


満漢全席が悪いんじゃありません。

ライトノベル読者は、カレーが食べたかったのです。

そこの食い違いが、売れなかった理由ではないかと、私は考えてしまうのです。


まあ、言ってしまえば

時代劇になれていない読者にとって、非常に小難しい作品になっているのです。

そこが非常に惜しい。


ただ、逆に言えば。売れなかったからこそ。

現在も続いているライトノベル『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』が、生まれた訳ですから。

非常に、賛否が分かれる作品になっています。


ですが。時代小説や歴史小説が好きな人にとっては、非常におすすめします。

また受賞当時から逆算して、渡先生が、22歳の時に書かれた小説ですので。

「こんな若いのに、これだけの作品が描けるのか!?」

と、驚いてもらうのも、非常に有意義なのかもしれません。


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