全然ライトじゃないよ☆「あやかしがたり」感想
小難しい話は、けっこう好きなタイプです。
難しいと思って勉強して考えた先にある「何かすごい事」。あるじゃないですか。
それを感じられるというか。なんというか。
それだけでしか味わえない物って、あると思うんですよね。
例えば、シンギュラリティ(※)とか。
で、なんでこんな話をしているのかと言えば。
本日のライトノベル、渡航先生の『あやかしがたり』(2009年5月刊行)についてな訳なのです。
ちなみに渡先生は、今でも続いているライトノベル『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』の作者様でもありますね。
今回のライトノベルのあらすじ
紀伊國屋書店のウェブストアより、あらすじを引用させていただきます。
なんと今回のライトノベルは、時代劇です!
もうこの時点で、他のライトノベルと一線を画してるよ!!
簡単にまとめると、こんな話
「あやかしが見える若きサムライが、自分の生まれ故郷で起こる領主騒動に巻き込まれ、あやかしに見せられた人間達と戦う」話です。
……うん。また書くけど。
こんなライトノベル、ほとんど見たことがないよ!
で、面白いの?
意外や意外。
面白いです。
江戸時代を彷彿させる時代設定。
独特の描写センス。
昔の日本の言葉が、これでもかとばかりに出てきますが。
それが、この作品の雰囲気を出しており、なんともいえない空気感です。
その独自性、すばらしい!
ただね
ネットで、この作品の感想を散見すると。
作者様が、「売れない」という事をネタにしているという文章がよく出てきます。
で、素人である私の感想といたしましては。
でしょうね、です。
例えの話をします。
ライトノベルの読者が、カレーが食べたいといって、カレーを注文します。
すると大体のライトノベル作品は、「カツカレー」とか「ハンバーグカレー」を出してきます。
欲しい物に、ちょっとした物をプラスαする。
そうすると、ライトノベル読者は大満足します。
この構図は、どの商品を売るときでも考えられる展開だと思います。
で、今回の『あやかしがたり』についてですが。
カレーを注文したライトノベル読者に対して。
満漢全席を出してきたようなイメージになってしまっているのです。
満漢全席が悪いんじゃありません。
ライトノベル読者は、カレーが食べたかったのです。
そこの食い違いが、売れなかった理由ではないかと、私は考えてしまうのです。
まあ、言ってしまえば
時代劇になれていない読者にとって、非常に小難しい作品になっているのです。
そこが非常に惜しい。
ただ、逆に言えば。売れなかったからこそ。
現在も続いているライトノベル『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』が、生まれた訳ですから。
非常に、賛否が分かれる作品になっています。
ですが。時代小説や歴史小説が好きな人にとっては、非常におすすめします。
また受賞当時から逆算して、渡先生が、22歳の時に書かれた小説ですので。
「こんな若いのに、これだけの作品が描けるのか!?」
と、驚いてもらうのも、非常に有意義なのかもしれません。
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