見出し画像

この題名には意味がある。『薬屋のひとりごと』感想

薬は、けっこう飲んできた方です。

風邪薬にせよ、漢方にせよ、なんにせよ。

あれ、苦いんですよね。

だから、口に含むときも。

息を止めるようにして、飲む。

もしくは、口に水を含んで。

その上に、薬を乗せるようにして、飲む。

そんな事をしながら、苦みと戦っていた記憶です。


はてさて。

今回、ご紹介するライトノベルは、日向夏先生の『薬屋のひとりごと』(単行本は、2012年9月刊行。文庫は、2014年8月刊行)です。

薬って、あまり飲まない方が良いと個人的には思っています。


今回のあらすじって?

今回も、「BOOK☆WALKER」さんから、引用させていただきます。

大陸の中央に位置する、とある大国。その皇帝のおひざ元に一人の娘がいた。
名前は、猫猫(マオマオ)。
花街で薬師をやっていたが現在とある事情にて後宮で下働き中である。
そばかすだらけで、けして美人とはいえぬその娘は、分相応に何事もなく年季があけるのを待っていた。
まかり間違っても帝が自分を“御手付き”にしない自信があったからだ。
そんな中、帝の御子たちが皆短命であることを知る。今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、興味本位でその原因を調べ始める。呪いなどあるわけないと言わんばかりに。
美形の宦官・壬氏(ジンシ)は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。
人間には興味がないが、毒と薬の執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる噂や事件。
きれいな薔薇にはとげがある、女の園は毒だらけ、噂と陰謀事欠かず。
壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。
稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。

薬屋のひとりごと(ヒーロー文庫) - ライトノベル(ラノベ)│電子書籍無料試し読み・まとめ買いならBOOK☆WALKER (bookwalker.jp)


今度の舞台は、「架空の中華っぽい国」です。

そこで少女が、宮中で現れる謎を、薬の専門知識で解決していく話です。

本当にライトノベルは、何でもありで、大好きです。


「ひとりごと」の意味

さて、この作品を説明すると。

いわば「スカッとする」系と言えば良いでしょうか。

主人公である猫猫が、現代でも通用する、薬の専門知識を武器に、様々な事件を解決していくわけですが。

他の登場人物は、ほとんどその知識が無い。

そんな彼・彼女らに対して、「こういうことだ」と事件のあらましを説明する、といった構図です。

でも主人公である猫猫は、あくまで「ひとりごと」という体裁を取っています。

何故か。

それはこの作品の、中華っぽい世界観が由来しているのだと思います。


天上人と説明されている、帝。

そして、他の武官や文官たち。

彼らよりも、知識が豊富であることは、この世界では死を意味します。

天上人よりも、詳しくあってはいけない。

武官や文官でさえも。

だから、そんな存在がいたら始末する。

そんな価値観が、あるのだと思います。


故に、あくまでも猫猫は、「薬屋のひとりごと」という形をとっている

そして理解のある皆が、それとなく聞く形を取っている。

故に、その「ひとりごと」で事件が解決するときもあれば。

しないときもある。

それが、この作品の最大の魅力なのではないかと、思ってしまう訳なのです。


「小説家になろう」での連載を経て

この作品は、元は「ネット小説」です。

「小説家になろう」という、小説を無料で投稿し、閲覧できるサイトから生まれました。

故に、この本の構成も、普通の長編小説のような形ではありません。

2,3000文字の短編が「1話」という形を取っており、言ってしまえば、「短編集」のような体裁となっています。

それ故に、話が細切れのような形となっています。

ですが、これがネットでの小説の形であると考えています。

言ってしまえば、書く側の都合と言う奴ですね。

ネットで掲載されていたお話を、誤字脱字を修正して、本という媒体に持ってきたような形になっています。

これは、新しい小説の形なのではないかと、思ってしまうのです。


結局、おもしろいの?

面白いです。

後宮を舞台として起こる、ミステリー的な展開。

薬の専門知識と、「ひとりごと」による、一つの解決策。

話が面白く、ぐいぐいと、引き込まれました!


なお現在、アニメが絶賛放送中となっています!(2023年11月時点で)

こちらも大変面白いので、お暇があれば、鑑賞を是非とも薦めさせていただきます!



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?