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★児童・生徒指導54★生徒指導提要から考える その8(ガイダンス)

今回も「生徒指導提要」を読んで、考察をしてみたいと思います。あくまでも、読んで感じたことや考えたことなどの、個人の一見解です。また、読み進めながら書いていくため、全体像を見通した内容になっていなかったり、解釈の仕方が変わっていったりする可能性もあります。

前回に引き続き、生徒指導の方法について見ていきます。生徒指導の方法として、「児童生徒理解」「集団指導と個別指導」「ガイダンスとカウンセリング」「チーム支援による組織的対応」の4つが挙げられています。

今回は、「ガイダンスとカウンセリング」について考えをまとめていきます。

生徒指導提要では、「学習指導要領 総則編」の「児童(生徒)の発達の支援」(括弧内は、中学校と高等学校での表記)の「1 児童(生徒)の発達を支える指導の充実」の「(1) 学級経営(高等学校はホームルーム経営)の充実」において、ガイダンスとカウンセリングの重要性が説明されていると述べられています。

学習や生活の基盤として、教師と児童(生徒)との信頼関係及び児童(生徒)相互のよりよい人間関係を育てるため、日頃から学級経営の充実を図ること。また、主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと、個々の児童(生徒)の多様な実態を踏まえ、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリングの双方により、児童(生徒)の発達を支援すること。

学習指導要領 総則編(文部科学省)

ガイダンスという観点からは、

学校生活への適応やよりよい 人間関係の形成、学習活動や進路等における主体的な取組や選択及び自己の生き方などに 関して、全ての児童生徒に、組織的・計画的に情報提供や説明を行います。

文部科学省「生徒指導提要」P26

と説明されています。

カウンセリングという観点からは、

児童生徒一人一人の生活や人間関係などに関する悩みや迷いなどを受け止め、自己の可能性や適性についての自覚を深めるように働きかけたり、適切な情報を提供したりしながら、児童生徒が自らの意志と責任で選択、決定 することができるようにするための相談・助言等を個別に行います。

文部科学省「生徒指導提要」P27

と説明されています。

さて、ガイダンスという視点で考えてみると、私たち教師はときに、情報提供や説明を十分に行わないにも関わらず、子どもたちに自ら判断して行動することを求めてしまうことがあるのではないかと感じます。

「学校生活への適応」「よりよい 人間関係の形成」「学習活動や進路」等に関して、子どもたちに必要な情報を示すことは、子どもたちが学校というん場で集団生活を行い、主体的に学んでいく上で欠かせないことです。

望ましいとされる姿や行動、人間関係形成における「よいこと」「よくないこと」、学習における学び方、進路を考える際の材料となる情報など必要な情報は多々あります。しかし、ときに、子どもたちはそれらを既に「知っているもの」と考え、これまでの経験や得てきた知識に頼って物事を進めてしまったことが私自身あったことと思います。それにも関わらず、子どもたちが立ち止まったり、失敗したりしたときに、それを否定するような指摘をしてしまったこともあるかもしれません。

「これまでに教わっているはずだ」「当然、知っているはずだ」という思い込みに囚われることで、今現在の子どもたちに行うべきガイダンスが不足してしまっているという状況は避けないといけません。

そして、ガイダンスというと、一方的な説明であり、説明者の求める一定の方向へ導くものとイメージするかもしれません。学習や学校生活上、そのような側面の必要性もあると思います。しかし、ここでのガイダンスの重要性は、子どもたちの納得感を重視した対話型のガイダンスが望ましいのではないかと考えています。

生徒指導提要に明記されている、「学校生活への適応」「よりよい 人間関係の形成」「学習活動や進路」等におけるガイダンスとはどのようなものが望ましいのか。道徳的なことや情報が多岐に渡るもの、教師自身が理解が深まっていないものもあり、必ずしも教師が「与える」というかたちでは示すことができないものも含まれています。端的に言うと、「正解のない」ことです。例えば、よりよい人間関係において必要な要素は子どもたち個々にとって違いますし、必ず「こうすべき」という道筋があるわけでもありません。その教師の経験上では「よい」かもしれませんが、現代を生きる子どもたちにとっては既に「よい」ものではなくなっているかもしれません。このような、「正解のない」話題も必ず出てくることでしょう。

そのため、ガイダンスとは言っても、状況や内容によっては、子どもたちの納得感を重視した対話型のガイダンスであることも必要ではないかと考えています。教師からの説明により「情報を提供する」ことも必要ですが、状況や内容によっては、「子どもたちの中に学校生活上の寄る辺となる情報が形成される」ことを狙いとしたガイダンスも行われる必要があるのではないでしょうか。

次回は、「カウンセリング」についても考えをまとめていきたいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。