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児童・生徒指導㊿生徒指導提要から考える その4(発達支持的生徒指導)

今回は「生徒指導提要」を読んで、考察をしてみたいと思います。あくまでも、読んで感じたことや考えたことなどの、個人の一見解です。また、読み進めながら書いていくため、全体像を見通した内容になっていなかったり、解釈の仕方が変わっていったりする可能性もあります。

生徒指導の構造として、2軸3類4層構造が示されています。

生徒指導の2軸として、

① 常態的・先行的(プロアクティブ)生徒指導  
② 即応的・継続的(リアクティブ)生徒指導  

文部科学省「生徒指導提要」P18

生徒指導の3類として、

① 発達支持的生徒指導
② 課題予防的生徒指導
③ 困難課題対応的生徒指導

文部科学省「生徒指導提要」P18

そしてこれらが、全ての生徒に対して行われるもの、一部の生徒に対して行われること、特定の生徒に対して行われるものとして、4層構造に整理されるものと説明されています。

さて、今回は「常態的・先行的(プロアクティブ)」であり、全ての児童生徒に対して行われる「発達支持的生徒指導」について考えをまとめてみます。

「発達支持的生徒指導」は、

特定の課題を意識することなく、全ての児童生徒を対象に、学校の教育目標の実現に向けて、教育課程内外の全ての教育活動において進められる生徒指導の基盤となるものです。発達支持的というのは、児童生徒に向き合う際の基本的な立ち位置を示しています。すなわち、あくまでも児童生徒が自発的・主体的に自らを発達させていくことが尊重され、その発達の過程を学校や教職員がいかに支えていくかという視点に立っています。すなわち、教職員は、児童生徒の「個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達を支える」ように働きかけます。

文部科学省「生徒指導提要」P20

と説明されています。

教師は、子どもたちが「個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達」させることができるような関わり方を求められています。

生徒指導の実践上の視点の説明でも述べられていた4つが満たされるようにすることによって、「個性の発見」と「よさや可能性の伸長」に対する前向きな気持ちを子どもたちが抱くようになるのではないでしょうか。

端的に言うと、4つの視点について私は、「共感的」な雰囲気により、ありのままでいることができ、「自己決定」していこうという意欲が高まる。それらが、成り立っていることが心身に安全と安心をもたらす、と考えました。

このような学級の環境の中で、ありのままの自分の「個性」を捉え、その「よさ」や「可能性」を伸ばしていこうとする気持ちが生まれてくる。「よさ」や「可能性」を伸ばしていくための、「自己決定」を行うことができる、と思います。

また、教師にとっては、「児童生徒に向き合う際の基本的な立ち位置を示しています。」と述べられているように、「児童生徒が自発的・主体的に自らを発達させていくことが尊重され」るようにし、それを支えるための生徒指導の在り方を、自分の中に落とし込んでおく(マインドセットにしておく)ことが非常に重要であると思います。それは、経験により身に付いていくかもしれませんし、もともと生まれ持った性格や価値観の影響も大きいかもしれません。書籍や学びの場で学ぶことを通して、少しずつ自分の内面に積み重なっていくこともあるかもしれません。いずれにしても、知識として頭の中に入っているだけでは、「児童生徒が自発的・主体的に自らを発達させていくこと」を尊重し、支えるという点が抜け落ちてしまったような振る舞いや言動等をしてしまうことがあります。教師はこの基本スタンスを内面に落とし込めるように努める必要があると感じます。

そして、「発達支持的生徒指導」の説明の中に、具体的な働きかけの例示も様々なものが示されています。一部の例示だけでも、子どもたちにとって必要とされる力は数多くあることが分かります。教師がこれらの力についての理解を深めておくことはもちろん大切ですが、担任教師一人で子どもたちがこれらの力を高めていくようにすることは困難でもあると感じます。「生徒指導提要」のこの後にもきっと述べられているのだと思いますが、チームとして、継続的に子どもたちを支え「続ける」ことと、一担任としては、「自分が子どもたちに伝えたいこと」を焦点化して、意志をもって向き合うことが必要であると感じました。



私自身、子どもたちを「支える」「尊重する」ことが全くできていなかったときがあったと反省しながら、この記事を書いています。みなさんは、「発達支持的生徒指導」の説明を読んでどのように考えますか。ぜひ、教えてください。ここまでお読みいただきありがとうございました。