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★児童・生徒指導51★生徒指導提要から考える その5(課題予防的生徒指導と困難課題対応的生徒指導)

今回も「生徒指導提要」を読んで、考察をしてみたいと思います。あくまでも、読んで感じたことや考えたことなどの、個人の一見解です。また、読み進めながら書いていくため、全体像を見通した内容になっていなかったり、解釈の仕方が変わっていったりする可能性もあります。

前回の、生徒指導の構造として、2軸3類4層構造から考えていきます。今回は、「課題予防的生徒指導」に分類される「課題未然防止教育」・「課題早期発見対応」と、「困難課題対応的生徒指導」について考えをまとめていきたいと思います。

「課題未然防止教育」は、「常態的・先行的(プロアクティブ)」に、全ての児童生徒に対して行われるものであり、

全ての児童生徒を対象に、生徒指導の諸課題の未然防止をねらいとし た、意図的・組織的・系統的な教育プログラムの実施です。 具体的には、いじめ防止教育、SOS の出し方教育を含む自殺予防教育、薬物乱用防止教育、情報モラル教育、非行防止教室等が該当します。生徒指導部を中心に、SC 等の専門 家等の協力も得ながら、年間指導計画に位置付け、実践することが重要です。

文部科学省「生徒指導提要」P20

と説明されています。

そして、「課題早期発見対応」は、「即応的・継続的(リアクティブ)」に、一部の児童生徒を対象に行われるものであり、

課題の予兆行動が見られたり、問題行動のリスクが高まったりするなど、気になる一部の児童生徒を対象に、深刻な問題に発展しないように、初期の段 階で諸課題を発見し、対応します。例えば、ある時期に成績が急落する、遅刻・早退・欠 席が増える、身だしなみに変化が生じたりする児童生徒に対して、いじめや不登校、自殺などの深刻な事態に至らないように、早期に教育相談や家庭訪問などを行い、実態に応じて迅速に対応します。

文部科学省「生徒指導提要」P21

と説明されています。

「困難課題対応的生徒指導」は、「即応的・継続的(リアクティブ)」に、特定の児童生徒を対象に行われるものであり、

いじめ、不登校、少年非行、児童虐待など特別な指導・援助を必要とする特定の児童生 徒を対象に、校内の教職員(教員、SC、SSW 等)だけでなく、校外の教育委員会等(小中高等学校又は特別支援学校を設置する国公立大学法人、学校法人、大学を設置する地方 公共団体の長及び学校設置会社を含む。)、警察、病院、児童相談所、NPO 等の関係機関 との連携・協働による課題対応を行う

文部科学省「生徒指導提要」P21,22

ものと説明されています。

未然防止・早期対応・個別対応は、生徒指導において重要であることは間違いありません。子どもたちの心身に重大な被害を与えてしまうような問題に発展しないように、また、発展している場合には、これらの視点に沿って丁寧に対応していくことが必要であると思っています。

さらに、「困難課題対応的生徒指導」の説明で述べられていることが非常に重要であると感じます。以下に引用します。

生徒指導と言うと、課題が起き始めたことを認知したらすぐに対応する(即応的)、あるいは、困難な課題に対して組織的に粘り強く取り組む(継続的)というイメージが今も 根強く残っています。しかし、いじめの重大事態や暴力行為の増加、自殺の増加などの喫緊の課題に対して、起きてからどう対応するかという以上に、どうすれば起きないように なるのかという点に注力することが大切です。

文部科学省「生徒指導提要」P22

いじめの重大事態、暴力行為、自殺といった、子どもの心身に重大な影響を与える状況は何としても避ける必要があることは、先にも述べました。そこで、大切になるのは、日頃から子どもたちの安心・安全につながる働きかけがどれほどできているか、という視点に立つことだと思います。

教師の言動やふるまいは子どもたちに影響を与えることはもちろん、子どもの言動への教師の対応の仕方やヒドゥンカリキュラムと呼ばれるようなものが、その後の学級の雰囲気や在り方を左右することになります。

先生方がこのような言動を意識されていることは言うまでもないことかもしれませんが、私自身としては、教師も失敗や間違いをすることもあると思っています。(もちろん、重大な過ちはおかしてはいけませんが)その際に、教師がしっかりと反省したり、誤ったりする姿を子どもたちに示すことが重要であると思います。自分のふるまいがよくない影響を与えてしまったと自覚したら、それを子どもたちに伝える。そのような在り方が教師の信頼を生むと思っています。

少し話が脱線してしまったかもしれません。

また、私がもう1つの大切な視点であると考えていることとして、「トラブルから学ぶ」ということもあると考えています。

何度も述べているように、心身に重大な影響を及ぼす事態は避けなくてはいけませんが、子どもたちは人間関係等に関する軽微なトラブルもたくさん経験します。

トラブルとまではいかないような、些細な意見の食い違いや主張のぶつかり合いのようなことも起こるでしょう。

いずれにしても、そこから何も学ぼうとしなければ、「嫌な出来事」で終わってしまうようなことはたくさんあります。

教師が必要な介入をすることで、そのような出来事を「学びの機会」にすることが大切だと思っています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。