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【音楽コラム】人生の泣き笑いを感じる5曲【夜明けはいつ来る?】

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〜9月30日 01:30

音楽って、素晴らしいものですよね。
(金曜ロードショー風)

人生、何かと泣きたくなるようなことが多いわけですが。
日々をやり過ごしているうちに、気づけば時間ばっかりが経っています。
もう二十年経った、三十年経った、と言われても、にわかには信じられません。
絶対信じてやるものか、という気にもなってきます。
しかし、身の周りを見ていても、人はみんないつか亡くなってしまうのも事実で、自分もまた例外ではありません。
それならば、悲しみ苦しみを踏まえた上で、せめて生きているうちは楽しげな人でいたい、と思えてきます。
すると、今まで過ごしてきた時間の一瞬一瞬が、ひどく愛おしく感じられてきます。
なるたけ全てを肯定しつつ、おかしみや愛おしさを感じながら、笑って生きてゆきたい。
そんな気持ちで、大好きな5曲を選んでみました。
それではどうぞ!👇


①「Disco2000」 Pulp

90年代半ばのイギリス、ブリット・ポップというムーブメントの中でも一際異彩を放っていたPulp。
男女混成多人数バンドで、変なキーボードの音色とか、ギターの代わりにバイオリン担当がいたりして、何だか劇団みたいな雰囲気でした。
その言わば看板主演男優が、ジャーヴィス・コッカー。
ふにゃふにゃした理系風イケメンで、デーモン・アルバーンやリアム・ギャラガーとはまた一味違ったポップ・アイコン。
しかし実は1970年代末にバンドを結成し(デイヴィッド・ボウイがベルリンにいたころですよ!)、あまりに長い下積み期間を経てようやくブレイクした、究極の苦労人でもありました。
その代表曲と言えば、ギリシア人大富豪の娘とのやり取りを通してイギリス社会を風刺した「Common People」。

(ちなみに当時の雑誌でイエモンの吉井さんと対談して、『サンプルCD聴いてくれました?』『対バンしたら負けねえよ』と食い気味のロビンソンに対し、『ホテルにCDプレーヤーないからまだ聴いてないんだ』などとさらっと受け流してしまうジャーヴィスであった)

PULPは人生のペーソスを描く名手でもありましたが、中でもお勧めしたいのがこの「Disco2000」。
キラキラしたサウンドとメロディによって描かれるのは、幼なじみの女性との再会の顛末。

「2000年になったら会おう、君の赤ちゃんも連れてきていいよ」というのが泣けます。
今はもう、2024年です。

②「SURVIVE」 David Bowie

史上最高のアーティストかもしれないデイヴィッド・ボウイ。

星の数ほどある、星のように素晴らしい(スターマン!)名曲群の中から、この歌を選ぶ人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
しかし、彼の全てのアルバムを聴いてきた私が一番好きなのは、この「SURVIVE」なのです。

70年代にアーティストとして、80年代にポップスターとして、最盛期を迎えたボウイは、90年代にアート路線へうまく戻りきれず、良いような良くないような、徹底的にクサするほどでもないが称賛するほどでもなく、マニア受けとも言い切れない、モソモソした迷走期に入ります。

そういう迷走期の中でも、「ゲームのサントラとして作り始めたが思ったより良かったので自分の名義にした」という、どう考えても名作になりそうもない来歴を持つアルバム『hours…』に、この曲は収録されています。

このタイトルを一見すると、さしずめ「生き残れ!」「生き残ったぞ!」みたいな曲に思えるのではないでしょうか。
ところが、全くそんな内容ではありません。
昔の叶わなかった愛の思い出を、今もって何も叶えられたことがない、という視点から歌ったものです。

Where's the morning in my life? /
 (僕の人生の朝はどこにある?)
Where's the sense in staying right? /
 (しっかり保たれる感覚はどこにある?)
Who said "Time is on my side"? /
 (『時は味方』だなんて誰が言った?)
I've got ears and eyes but nothing in my life /
 (耳も目もあるけど 僕の人生には何もない)
But I'll survive your naked eyes  /
 (それでも君の剥き出しの瞳に)
I'll survive /
 (僕は残るだろう)

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