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著: あきふゆ

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あきふゆによって書かれたお話たちです。
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記事一覧

【短編小説】クールなあの子

綺麗な桜が咲き乱れる春、私は2つ下のクールな君に恋をした。
今日は桜ヶ丘高校の入学式。新入生たちの初々しい姿とこれからの学校生活に期待をするキラキラした目が懐かしいなあ。
「新入生たちは、きらきらしててまぶしいな。私も生徒会長としてしっかりしなくてはいけないな」
「そんなに気を張らなくても、十分しっかりしてるよ、一華は」
「ありがとう、夏希」
私を褒めてくれる心優しいこの子は夏希。中学からの親友

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【短編小説】モフモフ

【短編小説】モフモフ

街中が緑と赤に染まり始め、クリスマスを感じさせられる季節になってきた。だが、俺には関係ないことだ。毎年クリスマスもバイトの俺は、どれくらい忙しくなるんだろう、ワンオペとかになったら嫌だなあとか、繁忙期くらい時給あげてくんないかなあとか、そんなことばかりを考えながら家に帰った。家に着くと、扉の前に白くて丸いモフモフしたものが落ちていた。いや、何だこれ。家出たときはなかったよな?手のひらサイズで、かわ

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【短編小説】月

【短編小説】月

「サービスですよ」いつものように俺にだけのステージがはじまる。月に1度、満月の夜にしかこの街に訪れることはないが、毎度天女と見紛うほどの、美しく、力強い舞を見せてくれる。「今日も見に来てくれたんですね、晴(はる)」「ああ。今日も綺麗だったよ、葉(よう)」「ふふ、どうもありがとうございます」「言っておくが、お世辞とかではないからな」葉は、わかったわっかたとでもいうかのように、ふふとほほ笑むだけだった

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【短編小説】お前ってやつは

【短編小説】お前ってやつは

「おーい!梓(あずさ)~、今からラクダに乗りに行かない?」「はぁ???ラクダ?あんたここがどこだかわかってんの?」「うん!東京!」「東京のどこにラクダがいるってのよ」「うん、だから今からエジプトに行くの!!」「エジプト!?鳥取砂丘とかじゃなくて?」「じゃなくて!」今日も今日とて分からない。本当に分からない。この訳の分からないことを言っているのは幼馴染の棗(なつめ)。小さいころから家も隣、小、中、高

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