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「2棟の賃貸マンション再生プロジェクト」   持続可能なコミュニティとエコシステムのデザイン Vol.1

何を実現したか

東京都杉並区にある古い2棟の賃貸マンションをリノベーション工事をする事で、自然を体験し、持続可能なコミュニティを形成できる空間に生まれ変わった。
家庭菜園や果樹園で収穫し、夏はクワガタ取り、秋はどんぐり拾いなど、住民同士が交流し、心豊かな日常生活を送る。
さらに長期的にコミュニティを醸成するため、賃料、部屋の面積が異なる2棟の賃貸マンションをライフステージに合わせて住み変え、無理なく同じ地域に住み続ける事が出来るコミュニティ醸成型賃貸マンションを完成させた。

1棟目と2棟目のマンションも緑に恵まれたロケーション
1棟目と2棟目のリノベーション工事後

2棟の賃貸マンションへの課題

共通した課題は、賃貸サイトでは、賃料、面積、築年数等で比較されるだけの賃貸物件であった。当然、古く慣ればなるほど価値が下がる。結果、賃料を下げるしかなく、この先の持続可能なマンション経営に課題が出ること明白だった。各マンションの個別の課題は以下となる。

1棟目の賃貸マンション
45年前に竣工した建物で、老朽化が進み、樹木が鬱蒼として暗い印象であった。入居率は40%であり、空室が目立つ活気のないマンションであった。

2棟目の賃貸マンション
築30年の特徴の無い普通のマンションであった。今後は築年数の新しい近隣の競合物件に対して、競争力が年々低下して行く建物であった。

リノベーション工事前 1棟目のマンション 薄暗い中庭 
リノベーション工事前 2棟目のマンション 特徴の無い普通のマンション

このプロジェクトへの要望

マンションオーナーからの要望は、ご両親が建てたマンションを建て替えるのではなく、リノベーションを施し蘇らせる事であった。
居住者が幸せに暮らせる賃貸マンションにし、この地域を好きになり、長期的に住み続けてもらえる事。さらには、地域恥じない建物に生まれ変わらせ、地域に良い影響を与える事であった。

デザインを始める前に

先ずは、幸せな暮らし方とは何かを定義する事にした。
また、その背景にある社会課題に向き合う事から始めなければ、デザインは機能不全を起こしてしまうと考える。
現地の調査と共に、このようにプロジェクトの背骨となるコンセプトを考え始めた。

幸せに暮らすとは

"地域幸せ風土調査"によると、近隣に友人が多く住んでいる事で、幸せに寄与する事が理解できる。一方、全国の孤独死の3分の1は東京23区で起きている事実がある。
東京では孤独を生む都市が形成されており、幸せに暮らす事が難しいと推測される。当然、”幸せ”とはさまざまな定義が出来るが、このプロジェクトの背骨としては、孤独を生み出す都市の仕組みを変革する事を目指す事にした。

友人の数(縦軸)と幸福度(横軸)は、友人の数が多いほど幸福度が上がる事が理解できる。


「2棟の賃貸マンション再生プロジェクト」  持続可能なコミュニティとエコシステムのデザイン Vol2へ続く
https://note.com/lively_dietes46/n/na1a8e84c8118


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