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シリーズ かくれ念仏

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#真宗

【連載】かくれ念仏/No.11~鹿児島の真宗民語その3~

【連載】かくれ念仏/No.11~鹿児島の真宗民語その3~

五劫様

真宗の本尊である阿弥陀仏の像を拝むと、容易に一向宗信仰の嫌疑がかかるので、かくれ門徒の中には法蔵菩薩の像を祀り、これを「五劫様」と称した。

なぜ法蔵菩薩像を用いたかというと、五劫思惟の修行によるあばら骨の透く姿が、釈迦の苦行像に見えるため、一向宗の嫌疑があっても、これはお釈迦様だと言い逃れられたからだという。

この像は、齊藤家の二代目、齊藤全流が鋳造し、同型のものがいくつか遺っている

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【連載】かくれ念仏/No.9~鹿児島の真宗民語その1~

【連載】かくれ念仏/No.9~鹿児島の真宗民語その1~

鹿児島の真宗民語

鹿児島の開教使がもっとも痛感した障害は言語の壁であったという。
現代においても薩隅方言がむずかしいというのはよく聞く話。
訳の分からない言葉を浴び続ける日々に辟易しただろうことは想像だに難くない。それはさながら国外開教である。

しかし、鹿児島には、真宗との邂逅によってうまれた独特の真宗民語(門徒ことば)もある。

土徳の籠るそれらの言葉は、〝真宗〟と〝鹿児島〟という、形而上下

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