都合の良い幻想
今まで、自分自身の日常について、深く考えを巡らせたことはあまり無かったように思う。
嬉しくなるのは、
悲しくなるのは、
嫉妬を感じるのは、
辛いと感じるのは、
幸せを感じるのは、どんな時だろうか。
きっかけは、ある方からの一言。
「日常生活で、みなつさんが幸せだなと感じる時って、どんな時ですか。」
さも当たり前かのように投げかけられた質問に、私自身も、深く考えることなく答えようとしたが、言葉はなかなか浮かんできてはくれなかった。
私にとって、幸せを感じる時は、いつなのだろう。
その後、時間を見つけては、先の質問を自問自答してみた。
そこで自分の中に見つけた答えは、
朝、ちょっぴり早起きをし、通勤時間帯を避け、不思議といつもより新鮮に感じる空気の中を駅に向かって歩いている時。
最後の一粒と思って食べたチョコレートの影に、もう一粒が隠されていた時。
珍しく綺麗に見える夕焼けの中を、車の屋根を開け放し、目を細めながら運転している時。
朝目覚めたら、琥珀が私の脇腹に頭と片腕を乗せ、すやすやと、たまにぴくりと夢を見ながら眠っていた時。
雨の日には1人で美術館に行き、好きな作品を誰にも邪魔されずに、眺めている時。
考えてみると、ふわりふわりと色々な場面が頭に浮かぶ。
幸せな瞬間って、意外とたくさんあるものだ。
しかし同時に、疑い深い自分も存在している。
本当にこれは私にとっての幸せなのだろうか。
壊れかけた自分をどうにかつなぎとめるための、都合の良い幻想でしかないのではないか。
そんなことを考えながら、今日もまた、自問自答を繰り返す。
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