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#久留米青春ラプソディ
久留米青春ラプソディ vol.10
<<vol.9の続き>>
タンクトップ君の右の拳が僕の顔面をとらえる。恐らく右眼あたりだろう。
その強い衝撃とともに、背後のレンガの壁で後頭部を強打。
多分一瞬なのだが、TVの砂嵐のように視界が壊れる。
でも、不思議なことに痛みは感じない。頭は驚くほど冷静だ。
倒れてはいけない、絶対に。
僕はそれだけを考えていた。
相手がこういう集団の時、倒れてしまったら「顔面キック」という恐ろしいパ
久留米青春ラプソディ vol.9
夏が終わる。
1年で1番大好きな季節。
もうそりゃ、ダントツで。
夏の何が好きって、そりゃ全部が好き。
家から出た時のモアッとした空気も、突然の雨の匂いも、セミの泣き声も、見上げるほどの入道雲も。
そんな夏の終わりに思い出す出来事がある。
それは、18歳の夏のお話。
夏のある日。
僕は高校の友達、T君とD君とお隣の県、佐賀で開催される夏祭りに出かけた。
僕には2パターンの友達がいて、
久留米青春ラプソディ vol.8
(汗と涙の野球部物語 編 最終話)
いよいよ、最後の大会前日。
僕は興奮と不安で落ち着かなかった。
今までの歩みが不思議と頭をよぎる。
入部初日、同級生がたった3人だったこと。
一つ下の経験者メンバーの入部に喜んだこと。
そして、僕が暴力という最低の形でそのメンバー全てを失ったこと。
その後の辛い時期。3年生3人と入学したばかりの1年だけのチーム。勝てない日々が続いた。正確に言うと、
久留米青春ラプソディ vol.6
(汗と涙の野球部物語 編 第5話)
中学校を出るとすでに日は暮れ、少し肌寒い風が僕を通りぬける。
いつもとは違う帰り道。鈍行しかしか止まらない地元の小さな駅をすぎると、長い下り坂が見えてくる。
その坂を降りると右手にウメが住む小さなアパートが見える。
小学生の時に何度か遊びにきたことがあるこの場所にこうして訪れてみるとなんだか不思議な気持ちになった。
僕は自転車を止めると2階の部屋の窓を