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ジュリーに土!「土を喰らう十二ヶ月」


閲覧ありがとうございます。今日は、沢田研二さん主演、水上勉氏原案の映画「土を喰らう十二ヶ月」を観たコレアレを書いておこうと思います。


土を喰らう十二ヶ月は、妻を亡くした(12年前)作家のつとむさんが、山に一人で暮らしながら、畑を耕したり、竹林で筍を取ったり、キノコを探しだしたりして、自然が与えてくれる食物を、精進料理にして、日々暮らしていくストーリーです。
恋人の若い編集者がいたりして、彼女が訪れてくれた時、一緒に食べる食事会は、とても楽しく美味しく感じます。
物語的には、日常を淡々と過ごしていく上で、身内が亡くなったり、自分が倒れたりと、山にいなくても、起こる出来事が描かれています。


恋人役、松さんが可愛いです。

主演は、沢田研二さん。
ジュリーです!ジュリーに土!相撲取りじゃないけど、ジュリーに土とは、あまりフィットしません。


若きジュリー。宝塚の男役帽子かぶり

ジュリーには、筍より、バーボンが似合いそうです。だから、合わないんじゃないかなと思いました。序盤は、なんとなく違うんじゃないかな。大丈夫かな。と思いながら、観ていましたが、


犬のさんしょといっしょ。

こういう犬連れたおじさんに出くわしても、「ジュリー」だ!とは、思わないでしょう。
見事に、「スターオーラ」を封印して、山で暮らす孤独で料理を愛する初老の男性に、なりきっています。つとむさんにしか、見えません。


この映画の原案になった、水上勉氏の本ですが、
わたしは、実は、知っていました。知っているだけで読んだことはありません!(なぜイバる)
なぜ、知っていたかというと、かの有名な料理漫画、「美味しんぼ」で、山岡さんが絶賛していたからです。


新聞社なのに本たちの扱いが雑!

美味しんぼでも、良く、取り上げていますが、
「素材」の美味さを過多な調味料で殺さず、煮る、切る、茹でる、焼く、蒸す。などの、昔からの手法で一品を作り上げるほど、簡単そうで、難しいことはありません。
だから、水上氏は、自分で決めるのではなく、
畑に聞く。竹林に聞く。キノコに聞いたのでしょう。

物語が進むにつれ、ジュリーがだんだんと水上氏に見えてくるから不思議です。


小説家のイメージ。

映画の中のつとむさんもですが、料理をする時、
食べてもらう相手を考えながら、また、糧になる自然が与えてくれた食材に感謝しながら、作る時こそ、尊い時間はありません。自分のことより、他人のこと、または、集う皆さんのことを考え、「美味しくなりますように」と、願い、思いを込めるのは、徳を積むことだと思います。


今の時節柄、ショッピングモールなどで、七夕の短冊を見かけますが、みんなが思い思いのことを書いています。

「世界が平和になりますように。」

「みんなが健康になりますように。」

こういう願いは、七夕の神様も、見ているかもしれません。

「朝、起きたら、横浜流星になってますように」

「ラクして痩せられますように」

という煩悩まみれの短冊は、七夕の神様もスルーすることでしょう。

つとむさんは、禅寺に口べらしで預けられた経験があり、精進料理の知識があります。普段、口にする料理も、添加物など入ってない、自然なものが多いです。

なのに、ある日、心筋梗塞にて、倒れてしまいます。わたしから見て、健康的な生活だなと感じていたので、びっくりしました。
「病は人を選ばないんだな」と、怖くもなりました。
幸運なことに、つとむさんは一万人に一人という希少な幸運で、生還し、よろよろと、山の自分の家に帰ってきます。


里芋を焼いたもの。めちゃ美味しそう

山に帰ってきたつとむさんは、「死」について、
考えたくなります。
人間は、生まれた時から、「あなたはいつか死ぬでしょう」と、約束された生き物です。

でも、「死にたくはない。」、「おそろしい」、
「苦しみたくはない」

生命への欲求が、悲しく叫びます。

つとむさんは、毎晩、「今夜、死ぬかもしれない」
「死んだつもりで」眠りに就きます。

そして、翌朝、目覚めたら、

「今日も、生きている。この世にありがとう」

と、心で感謝し、畑に向かいます。


梅干し!映画観て、いつか、チャレンジしたくなりました

つとむさんは、「死神を恐れず、仲良くなるように。死を自然なことだと思えるように」自分で意識改革を行おうと決心します。


「命」は、いつか、消えていくもの。と、覚悟して、
自然が育んだ野菜や生物などの「命」をいただいたなら、感謝し、「決して一人で生きているわけではないのだ」、「生かされているのだ」のだと、謙虚になること。は、人間の義務だなと思いました。


死神とは、おそろしげな名前ですが、神様の一員ですから、「命」をだいじにしている人間のことはだいじにしてくれると思います。そばには、まだまだ、寄りたくはないなと感じると思います。

いつ、「さあ、行こうか。」と、迎えが来るかは、神様しか知りませんが、1日、1日、ほんの一瞬でいいから、自然という奇跡に感謝する時間は、持つべきだなと思いました。


この映画の料理は、料理研究家の土井善晴さん作成です。とても、好きな料理家さんです。


土井さんのインスタはフォロー中


「土を喰らう十二ヶ月」、今日のおやつは、
ポテチよりふかし芋にしとこうかなと、思わせる作品です。

原案となった書籍は、買い求めたいなと思います。

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