2浪宅浪体験記⑨ ~stand by me~
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孤独に押しつぶされそうになりながら、重い足取りで会場の前に到着した。
そこには思いもよらない光景があった。
僕は目を丸くした。
高校生活で嫌と言うほど見てきた顔の人物がそこに立っていた。
整った顔だがどこかふてぶてしさが残る、いつも見ていた顔のガタイが大きい男が立っていた。
そう、高校生活のほとんどの時間をともにした友人がそこに立っていたのだ。
僕はとっさに「なんでここにいるの!?」とつぶやいた。
「はぁ!?応援しにきたやつに言う第一声がそれかよ!」
彼は地元からかなり距離の遠い大学に進学したにもかかわらず応援のためだけに朝早くから来てくれていたのだった。
嬉しかった。ただただ嬉しかった。僕は孤独ではなかった。
と同時に応援してくれていたのにほとんど勉強してこなかった僕が情けなくて恥ずかしくてそしてなにより申し訳なかった。
「ごめん。」
そう心の中でつぶやいた。
つづく
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