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2024.2月(5冊ログ)

今月も「5冊」の本を紹介していきます。

1. #「書く力」の教室 1冊でゼロから達人になる

誠実と素直しか最後には残らない。「ライター志望者の大学生」が対話形式で「書く力養成講座」を受ける。書き方だけではなく、ライターとしてどのような仕事ぶりで信頼を獲得していくかの話が面白い。

ライターはクライアントから仕事を受ける。題材とゴールが渡されて出来上がった文章は「クライアントとの共同制作物」になる。そこでライターに必要なのは何か、そのポイントが仕事の質に影響する。

「書く力」の話ではあるけれど、仕事への姿勢やクライアントとの合意形成、文章から受け取れる深さと読んだ人の気持ちの動き方までの内容が入っている。書くことはただ文字を連ねているだけではない。ライターと関わるクライアント側のビジネス書としてお勧めです。もっといい仕事がしたい人はぜひ。

2.#うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真

“写真をはじめる前に、人間をはじめましょう。”と本書にあることが最高だった。こころが映し出されてしまう写真には、心地よさ・悪さを無意識に感じ取ってしまう。その感覚はなぜ起こったのかを考えると写真を見るのが面白くなり、撮る感覚も格段に変わる。

著者であるカメラマン幡野広志さんの、子どもに対する感覚を綴った本や記事が好きでこの本を手に取った。子どもを撮った写真を見ると、親の気持ちがわかる。今の家族に、未来の子どもに何を伝えたいのか。写真を通じて伝わる夫婦のコミュニケーションの話でもあり。

本当に写真がすきな人におすすめの本。写真がすきでただ撮っているんだけどもう少し理解を深めたい人が読むと、楽しい喜びと発見があるはず。

3.#つまらない夜に取り残されそうで

cakes、note連載からの書籍出版。ライター嘉島唯さんのエッセイストデビュー作品。自分で文章を発信し続けることができる文化から出てくるエッセイの面白さを存分に味わった。

就活、社会人として。専門学校、仕事終わりと週末、毎日終電。野垂れ死ぬ覚悟、死にてぇな。拗らせ女子、マッチングアプリとマーケティング、つまらない男にひっかかる。休職、異業種転職。クリエイティブな仕事、酔っぱらった時のAmazon。

共感という言葉では全然追い付かない。日々の記憶をとにかく最速で抹消しようと思っていた日々が蘇った。あの時にこういうエッセイがあったら、彩を感じて冒険するくらいのバイタリティを持つことができたかもしれない、ドラマ化希望。

4.#運は遺伝する

本当はもうなんだかんだ、人間の知能や才能、行動や思考は遺伝子で決まっているんだろうけど、それを言ってしまったら夢や希望がなくなるから言わないんだろうなぁ、と思う。しかし研究は日々進み、無視できなくなってきている。

努力せよ!挑戦し続ければ、あきらめなければ夢は叶う!誰だって、何にだってなれる!というメッセージを壊してはいけないから。しかしこの先100年以内くらいには、この風潮ではないかもしれないし、むしろ「遺伝でしかない」とわかっている研究を世に出さないなんて、できないだろう。

この遺伝子を絶やしてはいけない、この遺伝子を残しておかなければいけない、というのが人間の本能だとすれば、人間という存在が生き延びるためだけに、この世の人間が生きている気がしてくる。遺伝子を受け、その遺伝子を存分に生かすことで楽にスムーズにこの世で暮らし、受け継ぐべき遺伝子に最適な組み合わせの遺伝子を見つけて新しい人間を生み出してこの世を去る。これこそが至極真っ当なのかもしれない。

5.#低コスト生活

お金の使い方にはストレスが現れる。お金を使う前に頭を使う。日常を消化するのではなく目を向ける。節約系の本は、その時代の考え方のトレンドがわかるから面白い。

預金先取り、余剰金捻出、0円生活、投資、株主優待、固定費の大幅削減、変動費削減の優先順位。ポイントは同じでも、今はその中をどう考えることが共感されているのかがわかる。

だいぶ「モノを必要と思わされる情報」からの離脱が進んでいるようで、「必要と思ってないのに買ってしまうトラップ」が、広告の限界を加速させていくように思う。購入のハードルを下げるための支払の先延ばし、最短到着、不在時でも受取可能、付属プレゼントにクーポン券。それに助けられてきた過去はあれど、振り返って買ってモノへの記憶と愛着はどれほどのものか。

具体的にコストを減らす方法が考え抜いて研ぎ澄まされた事が伝わり、結果的にシンプルになっているところがとても面白い。押しつけはなく、モノを通じて心と向き合うステップに著者の考えがそっと添えてある心地よさに整えてもらった気持ち。

おわり。
今月も読んでくださってありがとうございました。来月も書きますので良かったら遊びに来てください。

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#読書

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